「すでにいるビッグマンたちをいかにうまく機能させるかだけでも、我々にとっては大きな課題だった」と語ったコレにとって、五輪前に突如加わる新参者は、チーム熟成の妨げになりこそすれ、プラス要素ではなかったのだ。

　結局エンビードはアメリカ代表の一員としてパリ五輪に出場。約17分のプレータイムながら平均11.2点、3.8リバウンド、1.0ブロックをあげて金メダル獲得に貢献したが、会場では彼がボールを持つたびにブーイングが起こり、「フランス代表にいてくれたら」といった声も聞かれなかった。

　ただ、コレは、今後はフランス代表も帰化選手を迎え入れることは避けられないかもしれないと現実的な状況も口にしている。
  「今ではほとんど伝統のようになっているように思う。帰化選手を採用していない国は、セルビア、リトアニア、フランスなどごくわずかだ。フランス代表も、いずれは同じ道を進むことになるように思う」

　とはいえ、今年のNBAドラフトでも６人（うち３人が１巡目）が指名を受けたフランスは、継続して有望な若手を輩出している。

　まだ当分は、帰化選手に頼る必要性はなさそうだ。

文●小川由紀子

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