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NBA

『ベイビー・シャック』が引退。2006年日本開催の世界選手権で、アメリカ代表を破ったギリシャの巨漢

小川由紀子

2020.12.13

 しかし、キャリアに終止符を打つことを決めた今、スコーツァニティスは達観したように語る。

「恵まれたキャリアだった。もちろん、もっと良くできたのではと思えることもある。でも、物事が起こる時には必ず意味があるものだ。偉大なチームに所属できて、そこで素晴らしい人たちに出会えたことに感謝している」

 見た目は強面で、ふてぶてしい印象を与えがちだが、誠実で謙虚な人柄は彼の発言の端々に滲み出ていた。彼のコメントには、いつも自分が置かれている環境や、神様や家族、友人たちへの感謝、チームメイトへの尊敬、称賛があった。

 最近は表舞台から遠ざかっていたにもかかわらず、彼の引退のニュースは欧州の主要スポーツメディアで一斉に報じられ、なかには『ヨーロッパで最も愛されたビッグマンがコートを去る』と見出しをつけていたものもあった。

 今後は若手選手の指導にあたりたいと、スコーツァニティスは将来の展望を語っている。「ギリシャには才能のある若者が大勢いる。彼らを育て、チャンスを与えてあげられる側になりたい」のだと。
 
 ちなみに、『ベイビー・シャック』と呼ばれるのは、本人はあまり好きではなかったらしい。シャックとはもちろん、NBAで活躍したレジェンド、シャキール・オニールのことだが、ある日友人から「本人に知られたら、いつか対戦した時ボコボコにされるぞ!」と言われたからだそうだ。お気に入りはもうひとつのニックネーム、『ビッグ・ソフォ』。確かに、『ベイビー・シャック』と呼ばれる選手は今後も現れるだろうが、『ビッグ・ソフォ』の愛称はおそらく永遠に、彼ひとりのものだ。

 ソフォの登場は、その堂々とした体躯、プレースタイル、キャラクターなど、すべてがセンセーショナルだった。ギリシャ代表では初のアフリカ系選手だったことで、極右集団から「ギリシャ人ではない」と激しい攻撃も受けた。それでも「HELLAS」のユニフォームに身を捧げて身体を張り、ギリシャのバスケ史に残る数々の名勝負を生み出した。そんな彼の存在が、ヤニス・アテトクンボのような後進たちの未来をも切り拓いたのだ。

文●小川由紀子

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