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国内バスケ

加入1年目からアルバルクの得点源に!スパーズ入りをパスし異国で成功を収めたデション・トーマスのキャリア<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.05.09

 ただ、以前に琉球ゴールデンキングスのキム・ティリも指摘していたように、週3試合、しかも土日の2連戦は初の体験で、慣れるまでは厳しいと感じるらしい。

 日本のファンの反応については、「彼らはダンクやシュートといった良いプレーがあると、敵の選手であっても、拍手したりするんだ! そんなことは初めてだったから最初は驚いたけど、彼らは純粋にバスケが大好きで、この競技を楽しんでいるんだと思う」と感心していた。

 そんなトーマスは夏にインディアナに戻り、選手仲間と一緒に子どもたちを対象にしたバスケットボールクリニックをするそうだ。

「自分はバスケットボールのおかげで、本当に恵まれた人生を送ることができている。幸せなことに、自分のようになりたい、なんて言ってくれる子どもたちも地元にはいる。僕自身まだまだ成長過程にいる分際だけれど、これからはもっともっと恩返しすることにも取り組んでいこうと思っているんだ」

 また、サパター氏とのインタビューで、“プロバスケ選手であることの良いことと悪いこと”という問いには、「良いことは、実力の世界であること。能力を高めること、そして自分の持つキャラクターで、どんどん境界線を広げていける」と答えたあと、じっくり考えて、悪いことは「時間」だと答えた。
 
「この世界は、すべてがものすごく速いスピードで進む。良い瞬間は、気づかないうちにあっという間に過ぎ、知らず知らずに時間を無駄にしてしまう。だから、一瞬一瞬にありがたみを感じて、じっくり味わうようにしないといけないと感じる」

 エネルギッシュなプレーや、左手から繰り出す鮮やかなシュートだけでなく、在籍する先々で、ファンの人気者になるのは、彼の人柄にもあるように思う。試合後のインタビューでも簡単な一言で済まさずじっくり答えていたり、相手の質問に対し「それはこういう意味で?」と聞き返している姿を見たことがあるが、人の話をしっかり聞いて正しく答えたい、という誠実さや頭の良さ、優しさの表われのように感じた。

 この夏で30歳。まだまだこれからも、多くのバスケファンを魅了してほしい選手だ。

文●小川由紀子
 
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