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NBA

「話にならないようなレベルだった」。世界中を魅了した“1992年ドリームチーム”を取材した記者が当時を回想<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.07.31

 また、練習終わりにやるお決まりのシュート練習では、クリス・マリン(元ゴールデンステート・ウォリアーズほか)が、3ポイントを1本も外すことなく50本くらい連続で決め続ける姿を見て「まるでマシンのよう」だと、レベルの違いに驚愕したという。

 ただモナコ合宿は、このフランス戦だけでは終わらなかった。この試合後、この地で伝説の『ジョーダンvs マジックのスクリメージ』が行なわれたのだ。

 ジョーダンが「いろいろな意味で、自分が出た中で最高の試合」だと称したこのスペシャルマッチは、ジョーダン率いる白チーム(スコッティ・ピッペン、ラリー・バード、カール・マローン、パトリック・ユーイング)とマジック率いる青チーム(マリン、バークレー、デイビッド・ロビンソン、クリスチャン・レイトナー)が激突。
 
 アメリカ代表のチャック・デイリーHC(ヘッドコーチ)は選手たちに、「自分が持っているものをすべて出し尽くせ」と指示。これまでのバカンス気分を一気に払拭する、真剣勝負が繰り広げられた。

 試合はマジックチームが序盤からリードしたが、最後はジョーダンチームが逆転勝利。

「体育館には鍵がかかっていて、あの瞬間、あそこには、バスケットボールだけの世界があった。選手それぞれのDNAが剥き出しになって、誰がどれだけ勝ちたいのかもよくわかった。マジックはあのあと2日間もご立腹だったよ」

 のちにジョーダンはこの試合を振り返っているが、心身ともにリラックスした後でのこのヒリついたゲーム感覚が、本戦直前に、ドリームチームを最高の状態に仕上げたのだろう。

 撮影していたビデオテープをもとに、『Greatest Game Nobody Ever Saw』というタイトルで、ドキュメンタリー番組も作られている。30年前の栄光を振り返りつつ、モナコの体育館で繰り広げられたジョーダンの“最高の試合”を、ぜひ見てみたいものだ。

文●小川由紀子

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