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NBA

ビル・ラッセル——ディフェンスでNBAに革命を起こした男が“真の勝者”となるまで【NBAレジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2022.08.14

「私とウィルトは競争相手であり、ライバルとの表現はふさわしくない。ライバル関係には勝者と敗者が存在するが、我々は2人とも勝者だった」と語るラッセルだが、チームとして必ず勝利を手にしたのはセルティックスだった。

 プレーオフでは直接対決が8回あり、チェンバレンの所属するチームが勝ったのは1966年だけ。「セルティックスでは誰も個人記録を気にしない。全員がチームの勝利のため、力をひとつに合わせている」とラッセルが誘ったように、抜群のチームワークが勝利を紡ぎ出した。
 
 チェンバレンが平均50.4点を叩き出した1961-62シーズンも、MVPに輝いたのは18.9点のラッセルだった。同年から3年連続MVP、通算5回の受賞はチェンバレンの4回を上回る。

「いろいろな要素が絡む個人賞に興味はない。私にはコート上の勝敗がすべてだ。ここには政治的な要素がなく、白黒がはっきりつけられるから」と語っていたラッセルだが、数字に表われない彼の貢献度が正しく評価された結果だった。(後編に続く)

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2009年7月号原稿に加筆・修正

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