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海外サッカー

キャリアの斜陽期に差し掛かっても…モウリーニョ監督が生み出したCLリーグフェーズ最終節の劇的シーン「他の誰にも実現できないであろうドラマ」【現地発コラム】

片野道郎

2026.01.30

モウリーニョ監督率いるベンフィカが、R・マドリーに4対2で勝利した。(C)Getty Images

モウリーニョ監督率いるベンフィカが、R・マドリーに4対2で勝利した。(C)Getty Images

 1月28日、UEFAチャンピオンズリーグのリーグフェーズ最終節が、全18試合同時開催で行なわれ、ラウンド・オブ16に直接進出する8チームと、プレーオフを戦う16チームが決まった。

 8戦全勝のアーセナルを筆頭に、バイエルン、リバプール、バルセロナといった強豪が危なげなくラウンド・オブ16進出を決めたのに対し、「痛み分け」に終わったパリ・サンジェルマンとニューカッスル、ベンフィカに敗れたレアル・マドリーがトップ8から滑り落ちてプレーオフに回るなど、思わぬ番狂わせも少なくなかった。

 その中で最もドラマチックだったのは、そのマドリーを4-2で下し、ギリギリの24位でプレーオフ圏内に滑り込んだベンフィカの逆転劇。

 なにしろ、3-2でリードしていた後半アディショナルタイム97分の時点では、勝点(9)と得失点差(−3)で並びながら、総得点で上回るマルセイユが24位で、ベンフィカは25位。このままでは敗退の運命にあったベンフィカが、ラスト1プレーとなった敵陣でのフリーキックで、ゴール前に上がったGKアナトリー・トルビンがヘディングシュートを決め、得失点差でマルセイユを逆転。プレーオフ進出をもぎ取ったのだ。

 その瞬間、ベンチでプレーの展開を見守っていたベンフィカのジョゼ・モウリーニョ監督は両手を上げてガッツポーズで走り出し、ピッチサイドにいたボールボーイと抱き合ってスタンドのサポーターと喜びを分かち合った。今を去ること22年前の2004年、当時ポルトを率いる新進気鋭の指揮官だった彼が、オールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドをCL敗退に追い込んだ決勝ゴール(やはりセットプレーだった)の瞬間、ガッツポーズでタッチライン際を全力疾走した伝説的なシーンを彷彿とさせる映像だった。

 そのモウリーニョが25年の時を経てベンフィカの監督に復帰したのは、今シーズン開幕後の9月半ばのこと。積極的な補強で3年ぶりのリーグ優勝奪回を狙ったにもかかわらず、リーグ戦で下位チームに取りこぼしが続いただけでなく、CL開幕戦で無名のカラバフに2-0から逆転されて2-3で敗れたのに業を煮やしたマヌエル・ルイ・コスタ会長が、ブルーノ・ラージ監督の解任に踏み切り、その後任に収まった格好だった。

 モウリーニョは、トッテナム、ローマを経て昨シーズンからトルコのフェネルバフチェを率いていたが、今シーズン開幕直後の8月に行なわれたチャンピオンズリーグの予選プレーオフで、ほかでもないベンフィカに敗れて本大会出場を逃し、それを理由に解任されたばかりだった。そのわずか3週間後にはベンフィカの監督になっていたわけだ。

 
 だが就任後の歩みは、決して順調ではなかった。ポルトガルリーグではポルトとスポルティングの後塵を拝して3位に留まり、CLの第2節以降も3連敗で順位表の底に沈む。ようやく少しだけ光明が見えたのは、第5節でアヤックス、第6節でナポリに連勝して勝点6を積み上げ、プレーオフ圏まであと一歩の25位に浮上した12月のことだった。

 しかし、残り2試合の相手はユベントスとマドリー。さらに勝点を積み上げるのはまったく簡単ではなかった。事実、先週のユベントス戦は0-2の完敗。この時点で順位は29位までダウンし、もし最終戦でマドリーを下したとしても、プレーオフ圏内まで這い上がれるかどうかは得失点差次第という、きわめて厳しい状況に追い込まれた。

 そして迎えた最終節。ベンフィカとモウリーニョにとっての幸運は、マドリーがシャビ・アロンソからアルバロ・アルベロアへの監督交代から間がなく、チームとしてのまとまりを明らかに欠いていることだった。果たして試合は、エスタディオ・ダ・ルスを埋めたサポーターの大声援に後押しされたベンフィカが、互角以上の内容でマドリーと渡り合う展開になった。

 30分にキリアン・エムバペのヘディングシュートで先制されたものの、その6分後には若きタレント、アンドレアス・シェルデルップのゴールで同点に追いつき、前半終了間際には、7日前のユベントス戦で足を滑らせPKを外したヴァンゲリス・パブリディスが、その借りを返すようにPKを決めて逆転に成功。さらに54分にはシェルデルップが2点目を決めて3-1と突き放す。この時点で勝点は9。

 その4分後にエムバペが技ありの2点目を決めてスコアは3-2となったが、プレーオフ圏入りのライバルであるマルセイユ(勝点9)は、クラブ・ブルージュに0-3と大きなリードを許しており、ベンフィカは勝ち点で並んだだけでなく、試合前に4離れていた得失点差も一気にゼロまで戻していた。しかし、総得点ではマルセイユが上回っており、この時点でもまだベンフィカよりも上に留まっていた。

 試合の残り時間が少なくなる間にも、他会場ではプレーオフ圏外の28位にいたボデ/グリムトがアトレティコ・マドリーを逆転して同じ勝点9に浮上、得失点差でもベンフィカとマルセイユを上回ってプレーオフ圏内に入ってきたかと思えば、ボーダーライン上にいたアスレティック・ビルバオがスポルティングに逆転を許して圏外に滑り落ち、入れ替わりにアヤックスに勝ち越したオリンピアコスがプレーオフ圏内に再浮上するなど、順位は何度となく入れ替わった。

 
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