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海外サッカー

あまりにも“不確定要素”が多いブラジル代表の現状――ネイマール選出による「狂騒曲」とアンチェロッティ監督が抱える「光と影」【北中米W杯 現地発コラム】

THE DIGEST編集部

2026.05.29

6度目の世界一を目指すブラジル代表。(C)REUTERS/AFLO

6度目の世界一を目指すブラジル代表。(C)REUTERS/AFLO

 2002年の日韓ワールドカップ、横浜でブラジル代表がトロフィーを掲げてから、24年が過ぎた。

 長く、苦しい24年だった。待ち続け、失望し、監督は何度も交代し、内部崩壊も起き、酷い試合もあり、果たされない約束ばかりが積み重なった。サッカーを愛する者たちにとっては、悲しみの24年でもあった。

 世界の反対側、日本から帰国したあの日以来、セレソンは5度のW杯に出場しながら、一度も優勝できていない。14年の自国開催では準決勝でドイツに1対7という屈辱的なスコアで敗れた。あの悪夢を、ブラジル人は今も忘れていない。

 そして、26年ワールドカップが間もなくやって来る。もう一度世界王者になりたい、もう一度“ジョゴ・ボニート(美しいサッカー)”を見たい、もう一度笑い、泣き、歓喜したい、という希望とともに。

 しかし、今のブラジルは、また以前と変わらぬ同じ不安と疑問を抱えたまま本大会に向かっている。近年のセレソンは、「困難」という言葉だけでは表現できないほどの混乱期だった。

 カタールW杯後、ブラジルは何度も監督を交代した。準々決勝のクロアチア戦敗退後にチッチが辞任。暫定監督のラモン・メネゼスは3試合、フェルナンド・ディニスは6試合だけ指揮を執ったが、すぐに解任された。

 その後、正式監督に就任したドリバウ・ジュニオールは、何とかチームを立て直そうとしたが、結果は失望の連続だった。予想外の敗戦、ブラジルらしさを失ったプレー、明確な形が見えないチーム、そして何より、単純に弱かった。

 24年コパ・アメリカも悲惨な終わり方だった。1勝2分けのグループ2位で進出した決勝トーナメントでは準々決勝でウルグアイにPK戦で敗戦。その2か月後に迎えたW杯南米予選でも、ブラジルは浮き沈みを繰り返した。

 実際には「浮き」よりも「沈み」の方が遥かに多かった。試合によってブラジル代表は、まるで漂流しているように見えた。「深刻な危機」に陥っていたのは明確だった。問題は戦術面だけではなく、魂の部分にまで及んでいた点だ。

 そんな状況のなか、CBF(ブラジルサッカー連盟)は誰も想像しなかったことを成し遂げる。スペインまで飛び、カルロ・アンチェロッティを説得して、レアル・マドリードを離れてブラジル代表監督になるよう口説き落としたのだ。

 
 何の希望もなく、すべてが不可能に思われていた25年5月、アンチェロッティはブラジルへやって来た。欧州であらゆるタイトルを勝ち取り、スター選手の扱い方を熟知し、巨大なプレッシャーにも慣れた男。彼は、近代ブラジル代表史上初の外国人監督となった。

 それはまた「ブラジル国内には、もう任せられる監督がいない」という現実の証でもあった。年俸は1000万ユーロ(約18.5億円)。ブラジル代表監督史上最高額であり、世界でもトップ3に入る高給だった。

 就任から1年余り。W杯メンバー発表のわずか4日前の26年5月14日、CBFはアンチェロッティとの契約を2030年、つまり次回のW杯まで延長すると発表した。このタイミングは、あまりにも奇妙だった。アンチェロッティはまだ何も成し遂げていない。むしろ、日本戦を含め敗戦も経験している。それなのに、もう契約延長なのか。

 ブラジルでは、この契約延長はネイマール(サントス)の招集と関係しているという見方が広がった。アンチェロッティ自身は、おそらくネイマールを代表に呼びたくなかった。しかしCBF、FIFA、スポンサー、さらには代表選手たちまでが、「ネイマールを招集してくれ」と強く望んでいたというのだ。

 ネイマールがいることで全ての注目が彼ひとりに集まり、他の選手たちがプレッシャーから解放されるからだ。そしてアンチェロッティは、「ネイマールをW杯に連れていく」という条件を受け入れる代わりに、30年までの安定した4年間を手に入れたと、そう見る者も多い。

 ブラジルのルーラ大統領までもが、ネイマールを招集するようアンチェロッティに電話で要請した。「もしネイマールが身体的な準備できていて、本気の意志があるのなら、彼には代表に入る資格があると思う」。

 大統領はそう語った。それは単なる“大統領と代表監督の世間話”ではなかった。さまざま状況証拠を踏まえれば、アンチェロッティ自身がネイマール問題の最終決定権を持っていたとは思えない。
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