40歳まで現役を続けた後にエルチェで指導者に転身したニノは、「もしマドリーから一人獲得できるなら、キリアン・エムバペやヴィニシウス・ジュニオールらではなく、フェデを選ぶ。ハードワークと謙虚さがあり、どこで起用されても気概を持ってプレーし、決して逃げ出さないからだ。すべての指揮官が、自分のチームに欲しがる存在だよ」と絶賛している。
しかし昨シーズン、そのバルベルデ像は崩壊した。「右SBでプレーするために生まれてきたわけではない」と試合前日に言い放ってウォーミングアップを拒否したチャンピオンズリーグのカイラト戦での出来事を皮切りに、シャビ・アロンソ監督が解任されると、その混乱を招いた戦犯の1人として本拠地サンティアゴ・ベルナベウでブーイングを浴びた。極めつけは、口論の末に切り傷を負って病院へ搬送される事態となった、オーレリアン・チュアメニとの喧嘩騒ぎだ。しかも捲土重来を期したワールドカップでもウルグアイ代表はグループリーグで敗退し、バルベルデはマルセロ・ビエルサ監督との確執問題まで浮上した。
『AS』紙などにコラムを寄稿するジャーナリストのハビエル・アスナール氏は、その変貌について「何かがひび割れてしまったように見える。つい最近まで、バルベルデへの愛は、すべてのマドリディスタを繋ぐ絶対的な合意だった。チームが最悪の状況に陥っても、彼だけは批判から免れていた。ルカ・モドリッチが絶頂期にある時でさえ、先発させるためにベンチに置くよう求める声があり、それが冒涜のように聞こえることすら一回もなかった」と綴っている。
スペイン最大手のラジオ局『Cadena SER』の人気番組司会者を務めるジャーナリストのヘスス・ガジェゴ氏は、チュアメニとの事件後に「キャプテンマークの重責よりも、個人の感情的な苛立ちを優先させてしまった」と断じ、シーズン終了後にはさらに厳しく論じている。「若手のお手本であり、献身的なハードワークによってスター軍団の中で自らの居場所を築いた謙虚で寡黙な男が、今や出場できないと不満を表し、周囲に悪い雰囲気を作り出すトラブルメーカーに変貌したかのように映る」
騒動後、チュアメニとともに放出を求める声も高まったが、『AS』紙は「現在のクラブ上層部はバルベルデを不可欠な存在とみなしている一方、チュアメニに関しては条件さえ整えば売却も辞さない構えを見せている。さらにバルベルデは、ダニエル・カルバハルの退団に伴いファーストキャプテンに就任する。新任のモウリーニョは、素早くオープンなスペースへと展開して相手ゴールに迫る堅守速攻を掲げるにあたり、バルベルデに極めて重要な役割を与えるつもりだ」と伝えている。
ファーストキャプテンとなれば、これまで以上にピッチ内外で注目も責任も増す。だからこそガジェゴ氏は「態度を改め、心を開いて誠実に語り、必要なら謝罪し、再び敵を作らずにプレーする。かつての自分を取り戻さなければならない」と改心の必要性を訴える。アスナール氏もコラムの最後を「バルベルデが、再びバルベルデに戻ることを願う」という言葉で締めくくっている。
文●下村正幸
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