事実上の決勝戦だ。もちろん、もう一つの準決勝イングランド対アルゼンチン戦も必見のカードであり、どちらが勝ち上がっても難敵である点に違いはない。しかし大手ラジオ局『Cadena COPE』のスペイン代表番、エレナ・コンディス記者によると、スペインのロッカールーム内では「フランスを倒せば、優勝は俺たちのものだ」という声が多数上がっているという。
準々決勝でベルギーを下し、準決勝の相手がフランスに決まった直後、ラミネ・ヤマルは「フランスに対する恐怖など微塵もない。僕たちはこのような試合を戦うためにここまで来たし、今こそ彼らに勝つことだけを考える時だ。彼らが3大会連続で決勝に辿り着くか、あるいは僕たちが(EURO2024と2024-25シーズンのUEFAネーションズリーグに続いて)3度目の勝利を飾るかだ。もし誰かが恐れを抱くべきだとしたら、それは僕たちに対してだろう」といつもの強気の言葉を発したが、それはチームの総意でもある。
スペインのスポーツ紙『SPORT』のコラムニストであるジョアン・マリア・バトレ氏は、この大一番をこう展望している。
「間違いなく事実上の決勝戦であり、互いのスタイルが激突する一戦となる。スペインのポゼッション重視のパスサッカーに対し、フランスはスピードと縦への推進力を武器とするアタックで対抗する。すなわち、組織と個の真っ向勝負だ」
フランスの個の力が集中しているのが、キリアン・エムバペ、ウスマンヌ・デンベレ、マイケル・オリーセ、デジレ・ドゥエ、ブラッドレー・バルコラらを擁する前線だ。スペインメディアも、前線に関してはフランスのほうが優れていると認めている。『Cadena COPE』の番組向けのインタビューを受けた守護神ウナイ・シモンはこう語っている。
「フランスの前線の選手たちを走らせないといけない。そのためにはフリーの味方選手を見つけることが極めて重要になる。多くの場合、その起点になるのは僕だ。僕にプレスがかかった瞬間に別の味方がフリーになるわけで、そこを見つけ出さなければならない」
このシモンのインタビューがオンエアされた後に行なわれた識者参加によるディベートコーナーでは、フランス戦の明確な攻略法が提示された。まず、ボランチ2枚が中盤を司るフランスに対し、スペインが3~4枚で数的優位を作ってパスを回して主導権を握り、これまで守備を免除されてきたフランスの前線4人を強制的に自陣まで下がらせて走らせる必要がある。それが攻撃の威力を削ぐことに繋がる。
元スペイン代表GKサンティアゴ・カニサレス氏も、フランスの最大の脅威は「圧倒的な才能ゆえに、多くのチャンスを必要とせずにゴールを陥れる点だ」と指摘する。だからこそ、スペインはボールを保持して敵の前線4人を走らせ、彼らが攻撃に入る前に体力を奪う"ポゼッション・フットボール"が不可欠になる。
もちろんそのためには、自陣での不用意なボールロストを排除することが絶対条件だ。同局のスペイン戦の実況を務めるマノーロ・ラマ氏は「特に両センターバックが開いた局面でのビルドアップのミスは即座に致命傷になる」と強調する。また識者の一人であるゴンサロ・ミロ氏は「フランスにとって最大の脅威となるヤマルを警戒し、これまでの対戦相手同様に、対峙する左サイドバックへ手厚い守備のサポートを割いてくるならば、逆サイドや中央に広大なスペースが生まれる。その時こそ、網の裏を突くヤマルの輝きが解き放たれるはずだ」と付け加える。
フランスが今大会を通して示している最強の「個」を、スペインが綿々と受け継がれてきたパスワークという「組織」で封じ込む。そしてスペイン最大の個であるヤマルを中心に、相手の守備網を破って攻撃に出る。その当人が語るように、フランスを恐れる必要がないと言えるだけの力を、スペインはすでに証明している。
文●下村正幸
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準々決勝でベルギーを下し、準決勝の相手がフランスに決まった直後、ラミネ・ヤマルは「フランスに対する恐怖など微塵もない。僕たちはこのような試合を戦うためにここまで来たし、今こそ彼らに勝つことだけを考える時だ。彼らが3大会連続で決勝に辿り着くか、あるいは僕たちが(EURO2024と2024-25シーズンのUEFAネーションズリーグに続いて)3度目の勝利を飾るかだ。もし誰かが恐れを抱くべきだとしたら、それは僕たちに対してだろう」といつもの強気の言葉を発したが、それはチームの総意でもある。
スペインのスポーツ紙『SPORT』のコラムニストであるジョアン・マリア・バトレ氏は、この大一番をこう展望している。
「間違いなく事実上の決勝戦であり、互いのスタイルが激突する一戦となる。スペインのポゼッション重視のパスサッカーに対し、フランスはスピードと縦への推進力を武器とするアタックで対抗する。すなわち、組織と個の真っ向勝負だ」
フランスの個の力が集中しているのが、キリアン・エムバペ、ウスマンヌ・デンベレ、マイケル・オリーセ、デジレ・ドゥエ、ブラッドレー・バルコラらを擁する前線だ。スペインメディアも、前線に関してはフランスのほうが優れていると認めている。『Cadena COPE』の番組向けのインタビューを受けた守護神ウナイ・シモンはこう語っている。
「フランスの前線の選手たちを走らせないといけない。そのためにはフリーの味方選手を見つけることが極めて重要になる。多くの場合、その起点になるのは僕だ。僕にプレスがかかった瞬間に別の味方がフリーになるわけで、そこを見つけ出さなければならない」
このシモンのインタビューがオンエアされた後に行なわれた識者参加によるディベートコーナーでは、フランス戦の明確な攻略法が提示された。まず、ボランチ2枚が中盤を司るフランスに対し、スペインが3~4枚で数的優位を作ってパスを回して主導権を握り、これまで守備を免除されてきたフランスの前線4人を強制的に自陣まで下がらせて走らせる必要がある。それが攻撃の威力を削ぐことに繋がる。
元スペイン代表GKサンティアゴ・カニサレス氏も、フランスの最大の脅威は「圧倒的な才能ゆえに、多くのチャンスを必要とせずにゴールを陥れる点だ」と指摘する。だからこそ、スペインはボールを保持して敵の前線4人を走らせ、彼らが攻撃に入る前に体力を奪う"ポゼッション・フットボール"が不可欠になる。
もちろんそのためには、自陣での不用意なボールロストを排除することが絶対条件だ。同局のスペイン戦の実況を務めるマノーロ・ラマ氏は「特に両センターバックが開いた局面でのビルドアップのミスは即座に致命傷になる」と強調する。また識者の一人であるゴンサロ・ミロ氏は「フランスにとって最大の脅威となるヤマルを警戒し、これまでの対戦相手同様に、対峙する左サイドバックへ手厚い守備のサポートを割いてくるならば、逆サイドや中央に広大なスペースが生まれる。その時こそ、網の裏を突くヤマルの輝きが解き放たれるはずだ」と付け加える。
フランスが今大会を通して示している最強の「個」を、スペインが綿々と受け継がれてきたパスワークという「組織」で封じ込む。そしてスペイン最大の個であるヤマルを中心に、相手の守備網を破って攻撃に出る。その当人が語るように、フランスを恐れる必要がないと言えるだけの力を、スペインはすでに証明している。
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