「とにかく試合に出ないと上には行けない」
その言葉に、日本代表DF鈴木淳之介が考える欧州でのキャリアの積み重ね方が凝縮されていた。2025年夏、湘南ベルマーレからデンマークの名門FCコペンハーゲンへ移籍。初めての海外挑戦でありながら、負傷によりデビューが遅れたものの35試合に出場し、33試合でスタメン起用されている。公式ファンクラブが実施するサポーター投票によるクラブ年間最優秀選手にも選ばれた。
23歳のDFは今、異国の地で何を感じ、何を手にしようとしているのか。取材に訪れたコペンハーゲンで、海外生活の実感と今後のキャリアについて話を聞いた。
まず尋ねたのは、デンマークリーグで戦う難しさと魅力だった。
「体格は大きいですし、そういう中でコペンハーゲン自体、アグレッシブにやるチームなので、その中で相手を上回らないといけないところは、すごくやりがいがありますし、成長できるかなと思います」
日本では経験しにくい大柄な相手との競り合いを繰り返す。強度の高いプレーを求めるチームのなかで、自分自身も負けずに戦い続けなければならない。欧州の舞台で通用するために必要なものを、日々の試合から学べる環境だ。技術があっても、強さや速さに対応できなければ思い描くプレーは実現しない。リーグの特性とチームのスタイルが、鈴木に新たな要求を突きつけている。
デンマークリーグは欧州諸国から注目を集めているリーグであり、ここ経由で5大リーグへの移籍を目指す若手が集まる場所でもある。日本代表MF鈴木唯人はブロンビーでの2年間の活躍があって、ブンデスリーガのフライブルクへと移籍。そこで主力として確固たる地位を築いている。
そうしたリーグが持つ魅力や価値について、鈴木も強く感じている。
「おっしゃったようにステップアップできるようなリーグだと思います。身近な人、チームでも、5大リーグに行っている選手がたくさんいる。ヨーロッパ中から見られているリーグだと思います。ヨーロッパの大会にも出られるので、本当にすごくいいリーグだと思います」
10月15日のカンファレンスリーグ、ブラガ戦では鈴木もフル出場し、チームはポルトガルの強豪を3-0で下した。クラブが大舞台で勝ち進めば、より高いレベルの相手と戦う経験を積める。同時に、各国のスカウトに自分のプレーを示す機会にもなる。
だが、だからといって鈴木が移籍だけを見据えてコペンハーゲンでプレーしているわけではない。
「とにかくステップアップを目指している、というわけではないです。ただ、このチームで試合に出続けて、こういう試合で勝って、上に行けば行くほど、そういうチャンスは広がっていくとは思う。とにかく試合に出ないと上には行けないです。コペンハーゲンは大きなクラブなので、ここでやっていれば、おのずと誰かが見てくれる。とにかくチームで試合に出続けるというのは、本当に意識してやっています」
先のことを考えすぎるより、目の前のチームで必要とされ、試合に出続けること。結果を出して勝利に貢献すること。その積み重ねが次の扉を開く。今季のリーグ戦では先発を外れる試合もあり、出場機会が約束されているわけではない。だからこそ「試合に出続ける」という言葉には重みがある。先ばかり見て足元をおろそかにするわけにはいかないのだ。
チーム内にはポジション争いの厳しさがある一方で、ピッチを離れれば、異国の生活にもすっかり馴染んでいるようだ。チームメイトとの関係について尋ねると「全然問題なく大丈夫です」と即答した。特に気に入っているのが、人との距離感だという。
「みんな全然裏表がないです。いろいろと気にすることがないので、すごくやりやすいかなと思います」
移籍当初は言葉がわからず苦労したというが、今はコミュニケーションにも不安はない。ただし、生活環境まで日本と同じというわけにはいかない。これから迎える北欧の冬は日照時間が短く、寒さに加えて強い風にも悩まされる。
「朝起きても暗かったり、夜もすごく暗くて、なおかつ風も強くて雪も降ってなんで。なかなかタフな環境ですけど、これも悪いことではないと思うので。今しかない経験を、楽しみながらやっています」
少し苦笑しながらも、それに滅入っているわけではない。むしろそうした思いどおりにならないことさえ、今だからできる経験として受け止める。異国で結果を求められるプレッシャーも、文化や環境の違いも、鈴木にとっては成長につながる貴重な刺激なのだろう。
自分の成長のために日々努力を積み重ね、コペンハーゲンで信頼を勝ち取り、出場し続ける。その足元を見つめる姿勢こそが、鈴木淳之介の次の可能性を広げていく大きな力となるのだ。
取材・文●中野吉之伴
【現地発コラム】鈴木唯人とシェルハント、ピッチ上だけでなく日常でも縮まる2人の距離「ユイトには、近いうちに日本に行きたいって言っている」
その言葉に、日本代表DF鈴木淳之介が考える欧州でのキャリアの積み重ね方が凝縮されていた。2025年夏、湘南ベルマーレからデンマークの名門FCコペンハーゲンへ移籍。初めての海外挑戦でありながら、負傷によりデビューが遅れたものの35試合に出場し、33試合でスタメン起用されている。公式ファンクラブが実施するサポーター投票によるクラブ年間最優秀選手にも選ばれた。
23歳のDFは今、異国の地で何を感じ、何を手にしようとしているのか。取材に訪れたコペンハーゲンで、海外生活の実感と今後のキャリアについて話を聞いた。
まず尋ねたのは、デンマークリーグで戦う難しさと魅力だった。
「体格は大きいですし、そういう中でコペンハーゲン自体、アグレッシブにやるチームなので、その中で相手を上回らないといけないところは、すごくやりがいがありますし、成長できるかなと思います」
日本では経験しにくい大柄な相手との競り合いを繰り返す。強度の高いプレーを求めるチームのなかで、自分自身も負けずに戦い続けなければならない。欧州の舞台で通用するために必要なものを、日々の試合から学べる環境だ。技術があっても、強さや速さに対応できなければ思い描くプレーは実現しない。リーグの特性とチームのスタイルが、鈴木に新たな要求を突きつけている。
デンマークリーグは欧州諸国から注目を集めているリーグであり、ここ経由で5大リーグへの移籍を目指す若手が集まる場所でもある。日本代表MF鈴木唯人はブロンビーでの2年間の活躍があって、ブンデスリーガのフライブルクへと移籍。そこで主力として確固たる地位を築いている。
そうしたリーグが持つ魅力や価値について、鈴木も強く感じている。
「おっしゃったようにステップアップできるようなリーグだと思います。身近な人、チームでも、5大リーグに行っている選手がたくさんいる。ヨーロッパ中から見られているリーグだと思います。ヨーロッパの大会にも出られるので、本当にすごくいいリーグだと思います」
10月15日のカンファレンスリーグ、ブラガ戦では鈴木もフル出場し、チームはポルトガルの強豪を3-0で下した。クラブが大舞台で勝ち進めば、より高いレベルの相手と戦う経験を積める。同時に、各国のスカウトに自分のプレーを示す機会にもなる。
だが、だからといって鈴木が移籍だけを見据えてコペンハーゲンでプレーしているわけではない。
「とにかくステップアップを目指している、というわけではないです。ただ、このチームで試合に出続けて、こういう試合で勝って、上に行けば行くほど、そういうチャンスは広がっていくとは思う。とにかく試合に出ないと上には行けないです。コペンハーゲンは大きなクラブなので、ここでやっていれば、おのずと誰かが見てくれる。とにかくチームで試合に出続けるというのは、本当に意識してやっています」
先のことを考えすぎるより、目の前のチームで必要とされ、試合に出続けること。結果を出して勝利に貢献すること。その積み重ねが次の扉を開く。今季のリーグ戦では先発を外れる試合もあり、出場機会が約束されているわけではない。だからこそ「試合に出続ける」という言葉には重みがある。先ばかり見て足元をおろそかにするわけにはいかないのだ。
チーム内にはポジション争いの厳しさがある一方で、ピッチを離れれば、異国の生活にもすっかり馴染んでいるようだ。チームメイトとの関係について尋ねると「全然問題なく大丈夫です」と即答した。特に気に入っているのが、人との距離感だという。
「みんな全然裏表がないです。いろいろと気にすることがないので、すごくやりやすいかなと思います」
移籍当初は言葉がわからず苦労したというが、今はコミュニケーションにも不安はない。ただし、生活環境まで日本と同じというわけにはいかない。これから迎える北欧の冬は日照時間が短く、寒さに加えて強い風にも悩まされる。
「朝起きても暗かったり、夜もすごく暗くて、なおかつ風も強くて雪も降ってなんで。なかなかタフな環境ですけど、これも悪いことではないと思うので。今しかない経験を、楽しみながらやっています」
少し苦笑しながらも、それに滅入っているわけではない。むしろそうした思いどおりにならないことさえ、今だからできる経験として受け止める。異国で結果を求められるプレッシャーも、文化や環境の違いも、鈴木にとっては成長につながる貴重な刺激なのだろう。
自分の成長のために日々努力を積み重ね、コペンハーゲンで信頼を勝ち取り、出場し続ける。その足元を見つめる姿勢こそが、鈴木淳之介の次の可能性を広げていく大きな力となるのだ。
取材・文●中野吉之伴
【現地発コラム】鈴木唯人とシェルハント、ピッチ上だけでなく日常でも縮まる2人の距離「ユイトには、近いうちに日本に行きたいって言っている」




