「ユイトノジダイ」
「キョウオオキナカチ」
「サンシアイ、サンレンショウ、キュウポイント」
試合後、鈴木唯人とデニー・シェルハントが日本語で交わすショートクリップが、フライブルクでお馴染みになりつつある。日本語を話すシェルハントと、それを楽しそうに見守る鈴木。微笑ましい2人のやり取りだが、そこには今季フライブルクでさらに存在感を高めている鈴木の現在地を知るヒントがある。
2人の関係は、今季になって突然始まったものではない。
例えば昨季19節のケルン戦でのアシスト。ペナルティーエリア付近でボールを受けた鈴木は、相手が囲みに来るなかで前を向くと、センターバックの裏へ走り込んだシェルハントへ絶妙なタイミングでスルーパスを通した。そのままシェルハントが決めたこのゴールには、地元記者も「あのパスはすごい。あれで決まった」と驚きを隠さないほど。
鈴木自身もこのプレーには特別な感触をつかんでいた。
「いいタイミングで中に入ってきてくれて、センターバックの裏を取ってくれたので、いい動きだったと思います。どこに走り込むかを感覚で、ほぼ気配でしか見えてないですけど(笑)。でもようやくああいうシーンで点が取れたので、自分にとっては価値あるアシストだったかなと思います」
相手の動きを見極めながら、味方の走り込みを「気配」で感じてパスを出す。そこには、すでに2人の間に生まれていた感覚的なつながりがあった。
シェルハントも試合後、鈴木を称賛している。
「とてもクリエーティブな選手で、視野が広い素晴らしい選手だよ。お互いにうまくサポートし合えていると思うし、チーム内で彼の価値はとても高いものがある」
それから時間が経った今季、2人の関係はピッチの外でも深まっていった。開幕前のキャンプで、鈴木とシェルハントは同じ部屋になった。さらに今季はフライブルクに日本人選手が増えたことで、シェルハントは鈴木やほかの日本人選手と過ごす時間も増えていった。
9月、日本メディア向けのオンライン・ラウンドテーブルで、鈴木はシェルハントとの関係についてこんなエピソードを明かしている。
「キャンプで同じ部屋だったんですね。チームに日本人がすごく増えたこともあって日本語を教えたりしていたら、キャンプ後も日本語を勉強していたりとか、挨拶も日本語でしてくれたり。試合後の日本語でのひと言は、勝ったら恒例にしようとしているので楽しみにしておいて下さい」
こうして生まれたのが、試合後の日本語でのショートクリップ。日本語を教える鈴木と、日本語を覚えようとするシェルハント。2人の距離は、ピッチ上だけでなく、日常のなかでも少しずつ縮まっていった。
第4節のフランクフルト戦後、ミックスゾーンで取材に応じてくれたシェルハントは、2人の動画が日本で人気になっていることについて聞かれると、うれしそうにこう説明してくれた。
「ユイトは合宿の時に同室だったんだ。今季はチームにたくさん日本人選手がくるというのもあって、僕とフィリップ(トロイ)とユイトと、他の日本人選手と座って談笑しているときに、彼らが日本語で話しているのを聞いて『日本語を教えてよ』って言って、いろいろ話をしたんだ」
「彼らはここでドイツ語を学んでいるんだから、僕らも日本語を学ぼうかって。それってお互いすごくいいつながりをもたらしてくれると思ったんだ。日本語を学ぶのが楽しいって思えているし、日本語だけじゃなくて、日本の文化も好きだし、日本人選手のことも好きなんだ。ユイトには、近いうちに日本に行きたいって言っている。その時にちょっとでも日本語でしゃべれたらいいなって思っているよ」
フランクフルト戦では、シェルハントからのやわらかいクロスから鈴木の見事なゴールが生まれている。左サイドをスピードに乗って抜け出したシェルハントがゴール前に視線を送ると、相手のマークを受けている味方選手の後ろに、フリーで走りこんでいる鈴木の姿があった。そしてどんぴしゃのタイミングでボールにたどり着いた鈴木が右足を一閃した。
「後ろのスペースに走りこんでいるのが見えたから、ボールをうまくファーポスト際に送ろうって思ったんだ。うまくいってよかったよ。僕らはみんなお互いにすごくよく理解し合えているからね。楽しくプレーできているよ」
そう笑顔で語るシェルハントの表情が、関係性の良さを何よりも物語っている。すっかりチームに溶け込み、その関係性はどんどん深まっている。ピッチ上で阿吽の呼吸をみせるシーンが増えていることはまさにその表われだろう。
そんなシェルハントもフライブルクでレギュラーとしてのポジションを確保しつつあり、ドイツ代表入りを果たしている。2人の対戦が日本代表対ドイツ代表で見られる日も、そう遠い話ではないはずだ。
取材・文●中野吉之伴
【記事】「次なる世界最高GK」アストン・ビラ鈴木彩艶、評価がうなぎ上り「メニャン、アリソン、クルトワらと肩を並べる存在に」現地メディア激賞
「キョウオオキナカチ」
「サンシアイ、サンレンショウ、キュウポイント」
試合後、鈴木唯人とデニー・シェルハントが日本語で交わすショートクリップが、フライブルクでお馴染みになりつつある。日本語を話すシェルハントと、それを楽しそうに見守る鈴木。微笑ましい2人のやり取りだが、そこには今季フライブルクでさらに存在感を高めている鈴木の現在地を知るヒントがある。
2人の関係は、今季になって突然始まったものではない。
例えば昨季19節のケルン戦でのアシスト。ペナルティーエリア付近でボールを受けた鈴木は、相手が囲みに来るなかで前を向くと、センターバックの裏へ走り込んだシェルハントへ絶妙なタイミングでスルーパスを通した。そのままシェルハントが決めたこのゴールには、地元記者も「あのパスはすごい。あれで決まった」と驚きを隠さないほど。
鈴木自身もこのプレーには特別な感触をつかんでいた。
「いいタイミングで中に入ってきてくれて、センターバックの裏を取ってくれたので、いい動きだったと思います。どこに走り込むかを感覚で、ほぼ気配でしか見えてないですけど(笑)。でもようやくああいうシーンで点が取れたので、自分にとっては価値あるアシストだったかなと思います」
相手の動きを見極めながら、味方の走り込みを「気配」で感じてパスを出す。そこには、すでに2人の間に生まれていた感覚的なつながりがあった。
シェルハントも試合後、鈴木を称賛している。
「とてもクリエーティブな選手で、視野が広い素晴らしい選手だよ。お互いにうまくサポートし合えていると思うし、チーム内で彼の価値はとても高いものがある」
それから時間が経った今季、2人の関係はピッチの外でも深まっていった。開幕前のキャンプで、鈴木とシェルハントは同じ部屋になった。さらに今季はフライブルクに日本人選手が増えたことで、シェルハントは鈴木やほかの日本人選手と過ごす時間も増えていった。
9月、日本メディア向けのオンライン・ラウンドテーブルで、鈴木はシェルハントとの関係についてこんなエピソードを明かしている。
「キャンプで同じ部屋だったんですね。チームに日本人がすごく増えたこともあって日本語を教えたりしていたら、キャンプ後も日本語を勉強していたりとか、挨拶も日本語でしてくれたり。試合後の日本語でのひと言は、勝ったら恒例にしようとしているので楽しみにしておいて下さい」
こうして生まれたのが、試合後の日本語でのショートクリップ。日本語を教える鈴木と、日本語を覚えようとするシェルハント。2人の距離は、ピッチ上だけでなく、日常のなかでも少しずつ縮まっていった。
第4節のフランクフルト戦後、ミックスゾーンで取材に応じてくれたシェルハントは、2人の動画が日本で人気になっていることについて聞かれると、うれしそうにこう説明してくれた。
「ユイトは合宿の時に同室だったんだ。今季はチームにたくさん日本人選手がくるというのもあって、僕とフィリップ(トロイ)とユイトと、他の日本人選手と座って談笑しているときに、彼らが日本語で話しているのを聞いて『日本語を教えてよ』って言って、いろいろ話をしたんだ」
「彼らはここでドイツ語を学んでいるんだから、僕らも日本語を学ぼうかって。それってお互いすごくいいつながりをもたらしてくれると思ったんだ。日本語を学ぶのが楽しいって思えているし、日本語だけじゃなくて、日本の文化も好きだし、日本人選手のことも好きなんだ。ユイトには、近いうちに日本に行きたいって言っている。その時にちょっとでも日本語でしゃべれたらいいなって思っているよ」
フランクフルト戦では、シェルハントからのやわらかいクロスから鈴木の見事なゴールが生まれている。左サイドをスピードに乗って抜け出したシェルハントがゴール前に視線を送ると、相手のマークを受けている味方選手の後ろに、フリーで走りこんでいる鈴木の姿があった。そしてどんぴしゃのタイミングでボールにたどり着いた鈴木が右足を一閃した。
「後ろのスペースに走りこんでいるのが見えたから、ボールをうまくファーポスト際に送ろうって思ったんだ。うまくいってよかったよ。僕らはみんなお互いにすごくよく理解し合えているからね。楽しくプレーできているよ」
そう笑顔で語るシェルハントの表情が、関係性の良さを何よりも物語っている。すっかりチームに溶け込み、その関係性はどんどん深まっている。ピッチ上で阿吽の呼吸をみせるシーンが増えていることはまさにその表われだろう。
そんなシェルハントもフライブルクでレギュラーとしてのポジションを確保しつつあり、ドイツ代表入りを果たしている。2人の対戦が日本代表対ドイツ代表で見られる日も、そう遠い話ではないはずだ。
取材・文●中野吉之伴
【記事】「次なる世界最高GK」アストン・ビラ鈴木彩艶、評価がうなぎ上り「メニャン、アリソン、クルトワらと肩を並べる存在に」現地メディア激賞
関連記事
- 【現地発コラム】「今の自分を表しています」ヴォルフスブルクで今季無得点の塩貝健人がそう振り返ったシーンとは? 著者に漏らした心境「感覚の問題」
- 「次なる世界最高GK」アストン・ビラ鈴木彩艶、評価がうなぎ上り「メニャン、アリソン、クルトワらと肩を並べる存在に」現地メディア激賞
- 【現地発コラム】“失点しない”ではなく“得点を奪う” 結果至上主義だったセリエAが「スペクタクルなリーグ」に激変した背景「昨シーズンと比べて明らかに」
- カリアリDF菅原由勢の“イタリア語ノート”、現地で話題「すでにカッサーノよりうまい」「日本語を教えてくれ」「学ぶ姿勢が一番大切」
- 「タケは大スターになるべき存在」久保建英の不振にソシエダ地元紙が「大きな疑問符」と懸念




