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日本代表

森保ジャパンが直面した2次予選特有の難しさ。「負け前提」で挑んでくる格下相手では強化面で大きな障害が

清水英斗

2019.09.11

先制点を挙げた中島は得意のドリブル突破だけでなく、的確なパスでも攻撃を牽引した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

先制点を挙げた中島は得意のドリブル突破だけでなく、的確なパスでも攻撃を牽引した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 カタールワールドカップ・アジア2次予選の初戦となるミャンマー戦は、日本が危なげなく2-0で勝利を収めた。

 アジア最強の呼び声高い日本に対し、ミャンマーは引いてくるのか、前からくるのか。その戦略は今ひとつ読み切れなかった。

 実力差を考えれば、引いてくる戦略が当然に思えるが、ミャンマーは初戦で格下のモンゴルを相手に0-1で敗れており、どうにか勝点が欲しい状況だった。また、この試合はミャンマーにとってはホームであり、雨季でピッチが荒れているため、足下でつなごうとする日本が苦戦しがちな状況でもある。これら複数の条件を踏まえれば、ミャンマーが前からアグレッシブにくる可能性も、ゼロではなかった。

 しかし、試合前に発表されたスタメンは、モンゴル戦で先発した16番MFシトゥ・アウンの代わりに、19番DFティン・タンウィンが加わっていた。このリストを確認すれば、相手の意図は、ほぼ解明できたと言える。ミャンマーは引いてくる戦略を選んだ。
 攻撃的な選手をベンチスタートにし、代わったDFティン・タンウィンは、左のディフェンシブFWとも言うべき役割を持った。FWながら、酒井宏樹のオーバーラップに対して、最終ラインまで下がってスペースを消し、反対側の13番カウン・シトゥとともに、時には6バックになるほど徹底的に引いてきた。ミャンマーのスタメンを見れば、ここまでは予想できたはず。

 実際、日本のキックオフは、それを確認するかのように、南野拓実からバックパスを出し、DFラインと柴崎岳らで、様子見のボール回しを行なうところから始まった。やはり、ミャンマーはプレスをかけてこない。日本は焦ってロングボールを蹴ることはなく、丁寧に、芝の状況を確かめながらパスをつなぐと、ゆっくりと敵陣へ侵入した。

 ただし、こうした状況で相手のペースに合わせすぎて、中盤で過剰に手数をかけ、横パスを奪われてカウンターを食らうといった事象が、過去の日本代表ではよく起きていた。しかし、森保ジャパンはそうした傾向からの変質が起きている。パスをつないで前線に人を送り込むと、中央へシンプルなボールを放り込み、ダイレクトな攻撃で、引いたミャンマーを攻め立てた。

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