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「風景を変えた」「チームの“閃き”」後半に覚醒した久保建英、EL2戦目も現地メディアの評価は上々

THE DIGEST編集部

2020.10.30

ELのカラバフ戦に先発した久保は、75分までプレーした。(C)Getty Images

 10月29日(現地時間)、ヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ第2節が行なわれ、ビジャレアルはアゼルバイジャンのカラバフを3-1で下し、2連勝を飾った。

 中立地イスタンブールでの一戦、久保建英は前節シワススポル戦、ラ・リーガ第7節のカディス戦に続いての先発出場を果たし、パコ・アルカセルと交代する75分までプレーを続けた。

 4-1-4-1の2列目左サイドに立った前半はボールに触れる回数も少なく、なかなか攻撃に絡めなかったが、後半に入るとポジションを広げて躍動感を増し、鋭いドリブル、的確なパスで幾つもチャンスを作り出すなど、大いに存在感を示してみせた。

 終盤に先制を許し、残り10数分間で逆転というハードな試合を、ウナイ・エメリ監督は「前半は予想よりも悪い試合だった。後半、相手にゴール(78分)を許したことで、我々は10分間でそれまでの80分の仕事を果たした。そして、正当に勝利を収めた」と振り返るとともに、自チーム、そして久保を、次のように評した。

「このコンペティションでは、大会へ敬意を表しながらも、多くの選手を起用し、若者たちに責任感を植え付けたいと考えている。彼らはしっかり準備し、高いレベルの中でも良くやっている。(交代出場の十代選手)アレックス・バエナとジェレミは、とても良かった。久保とサム(チュクウェゼ)も良いプレーだった」

 現地メディアも久保に対しては、後半のプレーを高く評価。日刊紙『AS』は、途中出場で2ゴールを挙げた殊勲者パコ・アルカセル(3点満点)に次ぐ2点をこの日本人選手に与え、寸評では「後半に解き放たれ、風景を完全に変えた」と綴った。
 
 加えて同メディアは、「攻撃におけるチームの"閃き"」と久保を形容し、69分のハウメ・コスタへのスルーパスなど、数々の得点機をチームメイトに提供したことにも言及している。

 日刊紙『El Pais』は、「左サイドで他の選手と分離された」前半とは打って変わり、後半は「左に限定されることなく、より自由に動き回り、チュクウェゼにクロス、ハウメ・コスタにスルーパスを、それぞれ通した」と、好意的に報じた。

 バルセロナの日刊紙『MUNDO DEPORTIVO』も、前後半で全く対照的なプレーだったと綴るとともに、「快適だと感じるセンターに、より多く現われた」と、久保の適性ポジションについても触れている。

 最後に、久保の所有元であるレアル・マドリーの専門メディア『Defensa Central』は、「右か左か」でエメリ監督の考えと久保の主張が食い違っていると指摘しながらも、今回も久保がスタメン起用され、75分間のプレー時間を与えられたことを評価。惜しいシュートを放ち、複数の決定機を作った19歳を「チームの中でベストだった」と称賛した。

 FWジェラール・モレーノの復帰により、今後の起用法が注目されている久保だが、このような評価を得たELでのプレーが、エメリ監督の判断にどんな影響を与えるのか。11月2日のラ・リーガ第8節バジャドリー戦で、いかなる陣容が並ぶかが楽しみだ。

構成●THE DIGEST編集部