11月4日(現地時間)に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージ第3節、バルセロナは2-1でディナモ・キエフを下し、グループGの首位を守っている。
エースのリオネル・メッシは自らが倒されて得たPKで先制点を挙げ、他にも惜しいFKやヘディングシュートなどの見せ場を作ったが、試合終了間際の彼のある動きが収められたSNSの動画が、大きな論争を巻き起こすこととなった。
それは試合終了間際の90+3分、ハーフウェイライン付近にいるメッシが歩く傍らを、ボールを持ったキエフの選手が通り過ぎていく10秒程度の動画で、メッシは相手選手を目で追ってはいるものの、ボールを奪いに行く動きは全く見せなかった。
これが拡散した結果、メッシに対する批判的な声が多く挙がり、国内外のメディアも反応。日刊紙『AS』はマドリードのメディアということもあり、「メッシ、92分40秒。疲労がこのアルゼンチン人に打撃を与えたようだ」と皮肉を込めて報じている。
しかし、これに対して欧州サッカーメディアの『FOOTBALL CRITICS』は、批判は妥当ではないと反論。理由として、「93分での出来事」「バルサは自陣で守りを固めていた」「元々メッシに、この時間帯でのプレスの役割はない」「状況的にメッシにできることはない」を挙げ、他の選手がタイムアップの笛を待っている状況だったことも付け加えた。
そして「実際にメッシのバルサへの貢献度が落ちたかどうかにかかわらず、やはりこの夏の退団騒動が、人々にメッシが『諦めている』ような印象を与えるのだろう」と綴り、こうした動画を見る上での注意が必要であることを訴えている。
ただ、同メディアは「今のメッシが最適な状態でプレーしていない」とし、「それは彼が歳をとり、プレースピードが落ちているためだ」とも指摘している。
前日の記事では「メッシは今季、1試合平均4.6本のシュートを放っているが、一度も流れの中でゴールを挙げられていない」と報じ、その中には相手GKの好守という不運もあったが、最適な位置でシュートを撃てておらず、得点の期待値を示す「xG」は昨季の0.12から0.07に低下していると伝えた。
ラ・リーガ第8節のアラベス戦では、ボールロストの回数がチーム最多の18回だったことがファンを怒らせ、SNSが炎上したと『AS』が報じているが、PKでしかゴールが奪えていないことを含め、今季のメッシを語る上では「衰え」という言葉がついて回る……。
『AS』は11月2日付の記事で、メッシの偉大な先輩でアルゼンチンの英雄であるディエゴ・マラドーナが60歳になったことで「人生の角を曲がった」と表現し、同時に「33歳のサッカー選手にもそれは当てはまる」と綴っている。
「それは一夜にして起こらず、徐々に発生する。そして、以前は1年に91ゴールを生み出していた選手が、PK以外でゴールネットを揺らすことができなくなる。メッシはまだ、DFを悩ませるプレーができるが、最後のところでボールを失い、シュートが逸れ、相手GKに止められることが多くなった」
「イエス・キリストが磔にされ、アレキサンダー大王が命を落としたのと同じ年齢に達したメッシにも、生物学の法則によってキャリアの終焉が訪れる。今でも彼は注目に値する選手だが、自身のプレースタイルをスピードの低下に適応させる必要がある。過去の選手がそうしてきたように、レオにも同じ時がやってきた」
今でも試合の中で決定的な仕事を果たしているメッシだが、かつてのように全ての選手を抜き去るドリブラーから、より周囲を使う「戦略的な選手」になったといわれている。では、ここからさらにどのような変貌を遂げるのか。悩める王様の新たな“進化”が楽しみである。
構成●THE DIGEST編集部
エースのリオネル・メッシは自らが倒されて得たPKで先制点を挙げ、他にも惜しいFKやヘディングシュートなどの見せ場を作ったが、試合終了間際の彼のある動きが収められたSNSの動画が、大きな論争を巻き起こすこととなった。
それは試合終了間際の90+3分、ハーフウェイライン付近にいるメッシが歩く傍らを、ボールを持ったキエフの選手が通り過ぎていく10秒程度の動画で、メッシは相手選手を目で追ってはいるものの、ボールを奪いに行く動きは全く見せなかった。
これが拡散した結果、メッシに対する批判的な声が多く挙がり、国内外のメディアも反応。日刊紙『AS』はマドリードのメディアということもあり、「メッシ、92分40秒。疲労がこのアルゼンチン人に打撃を与えたようだ」と皮肉を込めて報じている。
しかし、これに対して欧州サッカーメディアの『FOOTBALL CRITICS』は、批判は妥当ではないと反論。理由として、「93分での出来事」「バルサは自陣で守りを固めていた」「元々メッシに、この時間帯でのプレスの役割はない」「状況的にメッシにできることはない」を挙げ、他の選手がタイムアップの笛を待っている状況だったことも付け加えた。
そして「実際にメッシのバルサへの貢献度が落ちたかどうかにかかわらず、やはりこの夏の退団騒動が、人々にメッシが『諦めている』ような印象を与えるのだろう」と綴り、こうした動画を見る上での注意が必要であることを訴えている。
ただ、同メディアは「今のメッシが最適な状態でプレーしていない」とし、「それは彼が歳をとり、プレースピードが落ちているためだ」とも指摘している。
前日の記事では「メッシは今季、1試合平均4.6本のシュートを放っているが、一度も流れの中でゴールを挙げられていない」と報じ、その中には相手GKの好守という不運もあったが、最適な位置でシュートを撃てておらず、得点の期待値を示す「xG」は昨季の0.12から0.07に低下していると伝えた。
ラ・リーガ第8節のアラベス戦では、ボールロストの回数がチーム最多の18回だったことがファンを怒らせ、SNSが炎上したと『AS』が報じているが、PKでしかゴールが奪えていないことを含め、今季のメッシを語る上では「衰え」という言葉がついて回る……。
『AS』は11月2日付の記事で、メッシの偉大な先輩でアルゼンチンの英雄であるディエゴ・マラドーナが60歳になったことで「人生の角を曲がった」と表現し、同時に「33歳のサッカー選手にもそれは当てはまる」と綴っている。
「それは一夜にして起こらず、徐々に発生する。そして、以前は1年に91ゴールを生み出していた選手が、PK以外でゴールネットを揺らすことができなくなる。メッシはまだ、DFを悩ませるプレーができるが、最後のところでボールを失い、シュートが逸れ、相手GKに止められることが多くなった」
「イエス・キリストが磔にされ、アレキサンダー大王が命を落としたのと同じ年齢に達したメッシにも、生物学の法則によってキャリアの終焉が訪れる。今でも彼は注目に値する選手だが、自身のプレースタイルをスピードの低下に適応させる必要がある。過去の選手がそうしてきたように、レオにも同じ時がやってきた」
今でも試合の中で決定的な仕事を果たしているメッシだが、かつてのように全ての選手を抜き去るドリブラーから、より周囲を使う「戦略的な選手」になったといわれている。では、ここからさらにどのような変貌を遂げるのか。悩める王様の新たな“進化”が楽しみである。
構成●THE DIGEST編集部