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ハーランド父を引退に追い込んだキーンの“殺人タックル”を元マンC会長が回想「彼は立てよ、クソ野郎と…」

THE DIGEST編集部

2021.03.07

自身の強烈なタックルでピッチに倒れ込むハーランドを、キーンが激しく罵る。両者の遺恨はいまだ消えていない。(C)Getty Images

 1990年代後半から2000年代までプレミアリーグで黄金期を築いたマンチェスター・ユナイテッド。名将アレックス・ファーガソンが作り上げたチームにあって、歴史に残る名手たちを挙げるとすれば、それこそ切りがない。

 多士済々のなかでも異質だったのが、元アイルランド代表MFのロイ・キーンだ。ファーガソンをして「彼は時にチームを支配する」と言わしめた絶対的なリーダーにして闘将。93年から05年の夏に退団するまでレッドデビルズの中軸であり続けた。

 当然、キーンの気性の荒さと闘争心がラフプレーに繋がることもしばしばあった。なかでも、「プレミアリーグ史上最もレッドカードに値するプレー」(英紙『The Sun』)と語り継がれるのが、01年4月21日のマンチェスター・シティとのダービーで、アルフ・インゲ・ハーランドの膝に悪質なタックルを見舞ったシーンだ。

 そもそも両者には深い因縁があった。97年に当時リーズでプレーしていたハーランドからタックルを受けたキーンは、前十字靭帯損傷の大怪我を負い、約1年間を棒に振るはめになっていたのだ。

 のちに「間違っていたとは思わない」と言い放ったキーン。紛れもない報復タックルを受けたハーランドは、「あれからフルマッチを戦うのが難しくなった」と、2年後に31歳で引退を余儀なくされた。

【動画】ハーランド父に対するロイ・キーンの「報復殺人タックル」はこちら
 キーンの"殺人タックル"に、いまでも怒りを滲ませる人は少なくない。当時、マンチェスター・Cの会長を務めていたデイビッド・バーンスタイン氏は、米メディア『The Athletic』の取材に対して、「あれは冷血な男の、人間として見るに堪えない行為だった」と断じた。

「私はキーンを今でも許すつもりはない。あの時に彼はピッチに倒れ込んだハーランドに『おい! 立てよ、クソ野郎』と言ったんだ。あの彼の振る舞いが『あぁキーンらしいね』と受け入れられたことは、正直に言ってゾッとするものだった」

 現在は英衛星放送『Sky Sports』の人気解説者に転身したキーンだが、バーンスタイン氏は、「私はキーンがテレビに映るたびに電源を消すんだ。あの彼がいまだにサッカーに関わり、ご意見番として論じているなんて、愕然とするね」と複雑な心境を吐露した。

 周知の通り、被害者となったこのハーランドの息子は、今をときめくドルトムントのFWアーリング・ハーランドである。今夏にメガクラブ行きの噂が絶えない超逸材は、かつて父を引退に追いやったキーンがレジェンドOBとして目を光らせる、マンチェスター・Uでプレーすることになるかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部
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