海外サッカー

負債合計は約1兆円…スーパーリーグ構想に賛同した12チームの“窮状“に海外メディアも注目

THE DIGEST編集部

2021.04.22

レアル・マドリーのペレス会長が主導したスーパーリーグ構想は崩壊寸前。同リーグは「プロジェクトを再構築するための最も適切な手順を再検討する」と発表している。(C)Getty Images

 サッカー界に激震を走らせた、欧州の主要12クラブによるスーパーリーグ創設。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長らの主導による新構想は、世界中から激しい拒否反応を示され、発表から2日後にはプレミアリーグ勢が撤退を表明するなど、早くもその見直しを迫られている。

 ペレス会長は、コロナ禍で甚大な経済的ダメージを追ったサッカー界を救うためにスーパーリーグ創設は必要なものであるとし、これは決してビッグクラブのためだけのものではなく、全てのクラブに恩恵をもたらすものだと主張。また、UEFAやFIFAからの搾取に"対抗"するものであり、チームの競争力を高め、ハイレベルな試合をファンに提供できると、そのメリットを説明していた。

 しかし、世界中の多くのメディアはこの崇高な理念よりも、各クラブの財政的に逼迫した状況に注目し、それがこのプロジェクトに参加に同意した理由であると見ている。その中でスポーツ専門メディア『90min』のイタリア版は、12クラブが具体的にどれだけの負債を抱えているのかを紹介し、各々の現状を綴っている。

 最高額はチェルシーの15億1000万ユーロ(約1857億円)! 石油王ロマン・アブラモビッチの財力で繁栄を遂げてきたクラブは、このところの高額の移籍金と選手へのギャラの支払いで負債を膨らませ、スタンフォードブリッジからの入場料収入が途絶えたことも、マイナスの増加に拍車をかけたという。

 2番目はトッテナムで、12億8000万ユーロ(約1574億円)。「これだけかけてもプロジェクトは成功しなかった」(同メディア)スパーズに続くのは、今冬に深刻な財政難が発覚して多くの主力選手の売却の必要性にも迫られたバルセロナの11億7300万ユーロ(約1443億円)だ。
 
 マドリーの負債額は9億100万ユーロ(約1100億円)で、ペレス会長の動きもある意味納得できるだろう。一方、セリエAでは好調に首位を走るも、一時はオーナーである蘇寧グループによる売却も噂されたインテルは6億3010万ユーロ(約775億円)を計上している。

 以降は、マンチェスター・ユナイテッドが5億2860万ユーロ(約650億円)、アトレティコ・マドリーが4億9420万ユーロ(約608億円)、ユベントスが4億5800万ユーロ(約563億円)、リバプールが2億7200万ユーロ(約335億円)、マンチェスター・シティが2億ユーロ(約246億円)、ミランが1億5180万ユーロ(約187億円)。最も少額はアーセナルだが、それでも1億2540万ユーロ(約154億円)と莫大な額だ。

 ちなみに、これら12クラブの負債額を全て足したら1兆円にも達しようかという凄まじい額となる。マンチェスター・Uなどは2000年代から1000億円を超える負債を抱えてきたが、当時はその資産価値(当時で2000億円超)によって収支バランスは良好と評価されていたものである。放漫経営やどんぶり勘定の部分はあったかもしれないが、やはりコロナ禍がこれら全てのクラブの経営を狂わせたのは間違いない。

 何かにすがりつきたいと思うほどの各クラブの逼迫した状況が、今回の衝撃的な行動からも窺えるというものである。

構成●THE DIGEST編集部