金メダル最右翼と目されるエスポワール（フランス五輪世代の愛称）に激震が走った。現地時間６月25日に発表された東京五輪に向けたメンバー18名の大幅入れ替えを余儀なくされているのだ。
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　その顔ぶれは実力派が並んだ印象だった。当初、招集が想定されたキリアン・エムバペ（パリ・サンジェルマン）やダヨ・ウパメカノ（バイエルン・ミュンヘン）は選外となったものの、エドゥアルド・カマビンガ（レンヌ）やウィリアム・サリバ（アーセナル）、アミンヌ・グイリ（ニース）といった若手有望株が続々と名を連ねていたからだ。

　だが、このメンバー発表が大きな問題となっている。フランス全国紙『レキップ』によれば、フランス・サッカー連盟（FFF）は「選手とクラブとの合意を得ないままに発表した」というのだ。

　最終的な登録期限は６月30日までだが、なんとも優勝候補としてはお粗末なドタバタぶりである。周知の通り、五輪はFIFA主催大会ではないため、クラブ側に選手を送り出す義務はない。にもかかわらず、U-24代表を率いるシルバン・リポル監督は独断でメンバーを絞ってしまったようだ。
  　もちろん、クラブ側からは不満の声が噴出した。今夏のメガクラブへのステップアップが囁かれているグイリを保有するニースのジュリアン・フルニエSDは、地元放送局『RMC Sport』の取材で、「彼は東京には行かない」と断言している。

「彼は招集をされたが、東京には行かないし、行かせるつもりもない。そもそも前々からニースの選手は誰もオリンピックには行かないと示していたはずだ。今回の発表は不快であり、なによりも驚かされた。我が会長は、ノエル・ルグラエ（FFF会長）と話し合い、こちらの立場を明確にしていたんだよ。FIFAはクラブに義務を負わせていないので、我々には自分たちの権利がある」

　カマビンガやグイリ以外にも、多くの主力が五輪参加辞退の態度を明らかにしている。それだけにFFFは残り４日間でのメンバーの再考は避けられないだろう。この“お家騒動”とも言える緊急事態は、グループステージでフランスと対戦する森保ジャパンにとっていかなる影響をもたらすだろうか。

　発表されたフランス代表の東京五輪メンバー18名はこちら

【GK】
ポール・ベルナルドーニ(アンジェ)
ゴーティエ・ラルソンヌル(ブレスト)

【DF】
ブノワ・バディアシル(モナコ)
アントニー・カシ(ストラスブール)
ピエール・カルル(ミラン＝ITA)
クレマン・ミシュラン(RCランス)
ウィリアン・サリバ(アーセナル＝ENG)
マラング・サール(チェルシー＝ENG)

【MF】
エドゥアルド・カマビンガ(レンヌ)
マクソンス・カクレ(リヨン)
ジョナタン・イコネ(リール)
テジ・サバニエ(モンペリエ)※
フロリアン・トバン(ティグレス＝MEX)※
リュカ・トゥザール(ヘルタ・ベルリン＝GER)

【FW】
アンドレ・ピエール＝ジニャック(ティグレス＝MEX)※
アミンヌ・グイリ(ニース)
ランダル・コロ(ナント)
アルノー・ノルディン(サンテティエンヌ)

※オーバーエイジ枠

構成●THE DIGEST編集部