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日本代表

「まったく同意できない」中国代表エースの“欧州挑戦推奨”に国内メディアは猛反発!「力不足の選手が行くべきではない」

THE DIGEST編集部

2021.09.16

サムライたちと激しいマッチアップを繰り広げたウー・レイ(右)。試合後には国内選手たちの実力に疑問を投げかけた。(C)Getty Images

サムライたちと激しいマッチアップを繰り広げたウー・レイ(右)。試合後には国内選手たちの実力に疑問を投げかけた。(C)Getty Images

 中国代表エースが放った言葉が小さくない物議を醸している。すべての発端となったのは、今月8日に行なわれた日本代表戦後に投稿された、ウー・レイ(エスパニョール)のメッセージだ。
【動画】ラ・リーガ公式が厳選したウー・レイのゴラッソシーンをチェック

 カタール・ワールドカップのアジア最終予選、中国は初戦のオーストラリア戦(0-3)に続く連敗スタートとなった。その日本戦(0-1)後、欧州へ戻るために訪れた空港で彼は大勢の日本代表選手たちに遭遇する。そして列強国との力の差を痛感したウー・レイは、ウェイボー(中国版ツイッター)上で次のような私見を述べたのである。

「いま、僕のそばでは、日本代表のほぼすべての選手がヨーロッパのそれぞれのクラブに戻る準備をしている。これには本当に感動した! 僕らとアジアトップチームとの差は非常に大きい。その差を直視しよう! 日々を無駄にしない方がいい!」

 もっとも、彼の言う“差”は明確だった。アジア・サッカー連盟の公式スタッツで、日本戦のボール支配率は、相手の70.1%に対して、中国はわずか29.9%。シュート数も3本のみで、枠内シュートに至っては0本だった(日本は18本)。

 日々ラ・リーガで、世界の一線級たちと凌ぎを削っているウー・レイ。彼は自身の実体験も含めて、ヨーロッパで戦う重要性を説いたのだ。
 
 その後には自身のブログで若手選手に対する欧州移籍の”ススメ”も説いた。そんなエースに対して、国内の反応は意外にも冷ややかなものが目立つ。スポーツ専門メディア『Sportscn』は「力不足の中国選手が、やみくもに行くべきではない」と断じ、「ウー・レイの意見にはまったく同意できない」として提言を続けた。

「中国サッカー界でエリートとされてきた選手たちは、ヨーロッパに到着しても、単なる通行人のように扱われてしまう。それは数え切れないほどの前例が証明している。ごく少数の選手を除いて、彼らのほとんどはベンチでキャリアを台無しにされるだけだ。そして彼らは最終的に帰国を余儀なくされる。逆に国内で実力が認められ、地位が向上すれば、個人は輝き続けるだろう」

 かく言うウー・レイも、エスパニョールで良好な状況にあるとは言い難い。今シーズンは4試合に出場しているが、プレータイムはわずか86分にとどまっている。そうしたエースの現況を踏まえた同メディアは、「若手選手の稚拙なレベルで欧州にトライするのは、大物になる可能性を秘めた選手を台無しにするのに等しい」と警鐘を鳴らした。

 はたして、世界基準のレベルを肌身で知るエースの言葉は、中国サッカー界に変革をもたらすキッカケとなるのか。国内の反応を見る限り、その兆しは見えない。

構成●THE DIGEST編集部
 
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