数多の若い才能がひしめくフットボール界では、世代交代が活発だ。鵜の目鷹の目のスカウト陣が各国に情報網を張り巡らせ、未来のチームを担う有望株の獲得を模索している。
【動画】英メディアも驚嘆した５歳の神童！ サルマンくんの仰天プレーをチェック

　そんななか、イングランド屈指の名門アーセナルがスカウトしたひとりの少年が話題となっている。ゼイン・アリ・サルマン君というわずか５歳の少年をアカデミーに招き入れたと、現地時間10月22日に英公共放送『BBC』など複数メディアが報じたのだ。

　無論、アーセナル史上最年少のプレーヤーである。『BBC』によれば、４歳の頃からサルマン君に目をつけていたクラブは、年齢に似つかわしくないハイセンスなボールタッチと体幹の強さに惚れ込んだという。

　アーセナルのスカウトであるスティーブン・ディーンズ氏は、『BBC』のインタビューでサルマン君の非凡な才能を「この子はやってはいけないことをやっていると思った」と褒めちぎる。

「ボールの蹴り方を見てほしい。彼ほどの年齢ではあまりに細かくて、複雑な動きなんだ。その姿を見て、私はすぐ友人に電話で確認した。そしたら『彼は4歳（当時）だ』と言うじゃないか。驚いた私は友人に『嘘だ。それは無理だ。幼稚園児にあの動きはできないだろ！』とまくし立てたよ。まもなくご両親に話を聞きに行き、いくつかのトレーニングへ連れ出した。そしたらそこでも彼はまた、同じことをやってのけたね。いつもそうしているようにだ」
  　とはいえ、彼はまだ５歳だ。ゆえにアーセナルのスカウト陣に対しては、各国で「行き過ぎた行為だ」という批判的な見方も出ている。

　オランダ紙『Telegraaf』で取材に応じたPSVのユーススカウト、リニ・デ・グルート氏は「こんなの馬鹿げているよ。まだ歩き始めたばかりじゃないか」と危惧。また、英国で各国のユース年代を取材しているジョナサン・ハーディング記者は自身のTwitterで、次のように警鐘を鳴らした。

「この業界がどれほど壊れているかの証拠が、このニュースに詰まっているよ。彼はまだプレースタイルを固めている段階であること、コーチやスカウトがこの年齢の子どもを見ていること、さらに本人が『難しい』と認めている３～４歳上のカテゴリーでプレーさせていること、４、５歳では到底理解できない能力に関する言葉や知識が溢れ出ていること。狂ってるよ」

　今後もサルマン君の動向が注目を集めるのは必至だ。と同時に、ティーンエイジャーにもなっていない少年に対する早すぎる青田買いは、論議の的となるだろう。

構成●THE DIGEST編集部