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「誰も信じていなかった」冨安健洋がボローニャにもたらした恩恵。若きベルギー人DFの道標に

THE DIGEST編集部

2021.10.25

アーセナルでも欠かせぬ戦力になった冨安は古巣の選手にも影響を与えているようだ。(C)Getty Images

 今夏の移籍市場最終日にボローニャからアーセナルに加入した冨安健洋。プレミアリーグ第4節のノリッジ戦でスタメンとしてデビューを飾って以降、リーグ戦では不動の右SBとして全試合に出場。開幕3連敗と最悪のスタートを切ったチームが、彼の加入以降は無敗を続けており、その貢献度は高く評価されている。

 守備面ではデュエルにおいて圧倒的な強さを発揮し、攻撃でも積極的な姿勢を示している22歳の日本代表DFは、アーセナルの選手にも強い印象を与えたようだ。今夏、ブライトンから加入し、冨安と最終ラインを形成しているCBのベン・ホワイトもそのひとりであり、「彼は加入してすぐにフィットした。チームメイト全員が彼のことを愛しているし、ピッチ上でもよく働いている。本当に良くやっている」と称賛。人間的にも「良いヤツだ」と語っている(専門メディア『THE BOOT ROOM』より)。

 今後、ますますチーム内で存在感を増していくと思われる冨安だが、彼は退団したクラブにおいても、影響力を残しているようだ。2019年から3シーズンにわたってプレーしたボローニャで、彼は攻守両面でプレーの幅を広げ、選手として大きな成長を遂げたが、そんな彼に感銘を受け、カルチョの古豪で海外挑戦の一歩を踏み出した選手がいる。

 それが、今季よりベルギーのオーステンデから1年間のレンタルで加入したアルトゥール・テアテだ。21歳のU-21ベルギー代表DFは、ここまでセリエA5試合に出場し、最初はSBとして交代出場し、以降は3バックの左サイドとしてスタメンに定着。攻撃ではすでに2ゴール1アシストを記録しており、早くもその能力を発揮している。
 
 ベルギーが輩出した新たな守備のタレントは、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』のインタビューの中でボローニャを武者修行の場に選んだ理由として、ミハイロビッチ監督とともに冨安の存在を挙げた。

「ベルギーでは対戦したこともあるトミヤスがボローニャに移籍し、今はアーセナルでプレーしている。僕は自分自身に、トミヤスは価値のあるクラブ(ボローニャ)を選んだのだと、言い聞かせている。ここには、プロジェクトとリスペクト、そして這い上がろうという意志があるんだ」

 また、ジャーナリストのクラウディオ・ベネフォルティ氏は放送局『TMW』のニュースで、冨安について「ボローニャに加入した時、誰も彼のことを信じていなかったが、多くの金を生み出すエクセレントな存在となった」と称賛するとともに、加入から「すぐにクオリティーの高さを示した」テアテを「トミヤスと同じ道を辿れる選手」だとして太鼓判を押している。

 いかにボローニャにおいて冨安の存在が大きかったかが、これらのことからも窺い知れる。移籍金だけでなく、こういった形でも古巣に恩恵をもたらせるのは、さすがと言えよう。アーセナルでも、さらにその価値を高めていくことが求められる。

構成●THE DIGEST編集部