サッカー界の歴史に残るレジェンド、ディエゴ・アルマンド・マラドーナが突然、この世を去ったのが昨年11月25日。ピッチ上での輝かしい伝説だけでなく、数々のスキャンダルでも話題を提供し続けたスーパースターの享年60という早すぎる死に、世界が驚き、深い悲しみに包まれたものである。

　昨年、脳腫瘍の手術を受けた後、病院から自宅に移って治療を続けていた最中に心臓麻痺を起こした彼の死については、医療チームの粗末な治療による過失致死の疑いもあるとして捜査機関も動き、今なおそれは続いている。

　そんな不世出の天才アルゼンチン人に対する追悼イベントは、当然ながらここまで様々な形で行なわれているが、新たに12月14日にサウジアラビアの首都リヤドでマラドーナを偲ぶ顕彰イベントが開催されることが発表された。かつて彼が在籍した２つのクラブ、バルセロナとボカ・ジュニオルスが対戦する親善試合「マラドーナ・カップ」である。
  　バルサは、マラドーナが海外進出を果たした最初のクラブであり、1982年スペイン・ワールドカップ後に加入し、２シーズンの在籍期間の中でコパ・デル・レイなど３つのタイトルを獲得。一方、ボカは彼の憧れのクラブであり、1982年にはリーグ優勝を飾り、95年に復帰すると３シーズンを過ごした後にここで現役引退、以降も熱狂的な「ボケンセ」としてスタンドから身を乗り出してチームを応援する彼の姿がたびたび見られたものである。

　マラドーナにとって所縁の深いチームによる親善試合開催決定に際し、バルサは公式サイトで「一周忌を過ぎて、この偉大なレジェンドを偲んでの親善試合が行なわれる」、一方のボカも「両チームがマラドーナに敬意を表する」「亡くなったアイドルが遺したレガシーへの顕彰である」と声明を出している。

　しかし、このイベントに対しては不満の声も上がっている。どちらもマラドーナを語る上で欠かせないチームではあるが、彼がキャリアの絶頂期を過ごした最も重要なクラブであるナポリが参加していないことに、多くの人々が違和感を覚えているからだ。