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海外サッカー

W杯隔年開催の“正解”はどこへ――。「権威は頻度に依存しない」と主張するFIFA会長の狙いは何か?「発展に再投資できる」

THE DIGEST編集部

2021.12.22

ヴェンゲルとともにW杯隔年開催を推奨するFIFAのインファンティーノ会長。はたして、彼らの提案が実現する日は訪れるのか。(C)Getty Images

ヴェンゲルとともにW杯隔年開催を推奨するFIFAのインファンティーノ会長。はたして、彼らの提案が実現する日は訪れるのか。(C)Getty Images

 FIFA(国際サッカー連盟)が提唱するワールドカップの隔年開催は、世界中で大きな議論を巻き起こした。

 FIFAのグローバル・サッカー開発責任者を務める元アーセナル監督のアーセン・ヴェンゲルが、「このスポーツが進むべき正しい道であると100%確信している」と主張した一方で、UEFA(欧州サッカー連盟)やCONMEBOL(南米サッカー連盟)は「イベントの価値の低下、選手の疲労、女子サッカーへの悪影響」を理由に猛反発。個人レベルでも、リバプールのユルゲン・クロップ監督やチェルシーのトーマス・トゥヘル監督ら多くの関係者が「金のために試合を増やすことばかり考えている」と痛烈に批判している。

 かたやAFC(アジアサッカー連盟)は、「世界中の全ての地域にとって潜在的な利益が引き出せる」と新案を支持し、マンチェスター・シティを率いるジョセップ・グアルディオラも「W杯は素晴らしく、サポーターはこれを楽しんでいる。2年ごとに見られるのではあれば、それは良いことだ」と、意外にも(?)歓迎。また、日本でも本田圭佑は「賛成」を表明し、反対意見に対して「慣れの問題」と指摘した。

 このように意見が二分するなかでも、FIFAはこのアイデアを引っ込める気は毛頭ないようだ。現地時間12月20日に207もの連盟が参加して行なわれたオンライン方式でのグローバルサミットにおいて、ジャンニ・インファンティーノ会長自らが、隔年開催のメリットを力説した。
 
 彼が強調したのは、経済的な恩恵だ。スポーツ界最大イベントの開催間隔をこれまでの半分に狭めることで、従来よりも約40億ユーロ(約5200億円)の増収が見込め、これによって各連盟には1400万ユーロ(約18億円)が分配されることになるほか、世界で200万人もの新たな雇用を生み出せるという。

 さらに「2年ごとのW杯開催は、スポーツと経済の両方の観点からも実現可能なものだ。世界中でサッカーの発展に再投資できることで、非常に大きな経済的利益をもたらすことになる」と訴えたインファンティーノ会長は、批判意見に対しても以下のように反論した。

「今日、各連盟と対話の場を持ったが、結論を下すまでには多くの時間を要するだろう。これについては分析し、研究することが必要だ。ただ、W杯が隔年開催になったとしても、大会の価値が落ちることはない。権威の上下は大会の頻度に依存はしないのだ。そうでなければ、我々はこの大会を40年ごとに開催すればいい」

 はたして、サッカー界の流れを根本から変えることにもなりかねない大改革は、このまま断行されるのか。またFIFAは、人々の賛同を得るための「正解」を見つけ出すことができるのか。その動きを今後も見守り続ける必要がある。

構成●THE DIGEST編集部
 

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