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海外サッカー

名手セスク、「全てデータが基本」となったサッカー界の現状を嘆く「イニエスタのような純粋なタレントはどうなる?」

THE DIGEST編集部

2022.03.29

バルセロナ時代には、イニエスタ(中央)やメッシ(10番)というファンタジスタと苦楽を共にしたセスク(右)。ゆえに彼は現在のサッカー界に思うところがあるようだ。(C)Getty Images

バルセロナ時代には、イニエスタ(中央)やメッシ(10番)というファンタジスタと苦楽を共にしたセスク(右)。ゆえに彼は現在のサッカー界に思うところがあるようだ。(C)Getty Images

 科学の進歩は、スポーツ界の発展にも大きく寄与してきた。とりわけプレー人口が多いサッカー界では、ありとあらゆる事象が「データ」として透明化。効率性やフィジカルを重視したものへと変貌しつつある。
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 欧州各国リーグなどを筆頭に過密日程が問題視されるサッカー界において、フィジカルに重きが置かれるのは、もはや必然ではある。だが、そうした科学による分析を必要以上に重宝している昨今の変化に疑問を投げかける選手もいる。元スペイン代表MFのセスク・ファブレガスだ。

 バルセロナのカンテラ(下部組織)で芸術的なパスサッカーの基礎を叩き込まれたセスク。16歳で移籍したアーセナルでは、名伯楽アーセン・ヴェンゲルの薫陶を受け、多士済々のプレミアリーグでも屈指の名手となった。

 プロキャリアは19年。その間に時代の変化を目の当たりにしてきた34歳は、母国紙『Marca』のインタビューで、昨今のサッカー界を「もうすっかり、サッカー界は変わってしまったんだ」と憂いている。

「4、5年前から変化は見られた。でも、もう誰もが気づけるレベルにまでガラっと変わってしまったんだ。僕は何人もの監督から指示を受けてきたけど、5人ぐらいの監督たちが、もう機械的なんだよ。

 すべてがオートマティズムに基づく方法論で、監督はどこまでボールを出していいのかを指示してくるし、選手はいつも正しいポジションに位置していなくてはならない。まるで試合がロボットのように定められているんだ」

 さらに「多くの監督が数字に執着している。仮に数字に満たない場合には、その監督は、『プレーする準備ができていない』とみなしてくるし、休みでもレベルを保つために数字を維持する必要が出てくる」と強調したセスクは、「その点で言えば、僕は少しオールドスクールな考えなのかもしれないね」と持論を続けた。

「これまでの自分はフィジカル的にも精神的にも、たいして練習に取り組まなくても素晴らしいシーズンを過ごせてきた。でも今はまるで、練習しなければ良い調子になることはあり得ないと言われているようなんだ。すべてが、科学やGPSによって割り出された数字が基本となったんだ」

「現代の監督が選手に求めているのは、フィジカルコンディションが最大限の選手たちなんだ。それが嘆かわしいことは分からないけど、サッカー界はそういうものになったんだよ。少しスピードには欠けるけど、とんでもない才能を持つ選手よりも、誰よりも強くて、速い選手の方がプレーできるようになった。それは間違いない」

 大きな変化を遂げたサッカー界。それによって「今の監督を見ていると不安を覚える」というセスク。「若い選手のなかにシルバやイニエスタのような純粋なタレントが出てきたらどうなるんだ」とも訴えた彼の主張は、サッカー界にどう響くだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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