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日本代表

セリエAでかつての魅力的な「トップ下」が復活!? 伊紙が今オフの“兆候”に「蜃気楼か、長く続く傾向か?」と注目

THE DIGEST編集部

2022.08.12

イタリアでは伝統的なトップ下のポジションが復活しつつあるという。今季のセリエAの見どころのひとつとなりそうだ。写真は、左からブラヒム・ディアス(ミラン)、ロベルト・バッジョ、ロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)。(C) Getty Images

イタリアでは伝統的なトップ下のポジションが復活しつつあるという。今季のセリエAの見どころのひとつとなりそうだ。写真は、左からブラヒム・ディアス(ミラン)、ロベルト・バッジョ、ロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)。(C) Getty Images

 かつて「トップ下」というポジションは、サッカーの花形といわれ、攻撃と守備を繋ぎ、決定的なパスを通し、また自らもゴールを奪うという、最もテクニックに秀でた「10番」が担うものとされてきたが、近年は戦術や競技の変化そのものによって、その役割は消滅したとされている。

 ポジションとしては今でも存在するものの、その役割は守備面でもより多様になり、また攻撃については制約があるため、以前のように、いわゆる「ファンタジスタ」が存分にその能力を発揮できるというものではなくなっている。

【関連記事】イタリア代表の“名勝負“5選――溜め息が世界を包んだR・バッジョのPK失敗、「20世紀最高」と呼び声高い西ドイツ戦もエントリー

 イタリアでは、「トレクァルティスタ」と呼ばれるトップ下について、同国最大のスポーツ紙である『Gazzetta dello Sport』は、「20世紀の終わりとともに、その役割は消滅する運命にあるように見えた。名将ネレオ・ロッコ率いるミランでのジャンニ・リベラ、『不屈の最後の10番』といわれたロベルト・バッジョのような選手は存在を許されず、新たなミレニアムでは、100のタスクを課せられる中、セカンドストライカー、偽9番、レジスタ、インサイドハーフ、あるいはウイングへの“転身”を余儀なくされた」と振り返る。

 同メディアは「現在のサッカーは“ゲーム”から“スポーツ”へと変化し、選手にはより持久力とパワーが必要とされる」としながらも、「クオリティを欠いては、“筋肉”と“組織力”だけで勝つことは不可能」とも指摘。そして今夏、それを証明するかのように、カルチョの世界では、トップ下が復活する兆候が見られたという。

 8月7日に本拠地オリンピコでシャフタール・ドネツクと親善試合を行なったローマでは、キャプテンのロレンツォ・ペッレグリーニが「ネマニャ・マティッチと並んでMFとしてプレーすると見せかけ、かつてのトップ下ばりに攻撃面で輝きを放った」が(先制点もゲット)、その優雅に胸を張ってボールを運ぶ様や視野の広さは、70~80年代にフィオレンティーナの司令塔だったジャンカルロ・アントニョーニを彷彿とさせるものだったと同メディアは称賛した。

 昨季は守備的な役割かウイングの役割を果たしていたこのイタリア代表MFが攻撃的なセンターに戻されたのは、ジョゼ・モウリーニョ監督が「典型的な現代の10番」である新加入パウロ・ディバラと「パワーとスピードという、9番と11番の要素を兼ね備えた」ニコロ・ザニオーロのコンビ形成による「ユートピア」の形成を目指しているからだという。そして、「慎重なモウがこれを続けるかどうかまだ疑わしい」としながらも、この魅力的なアプローチに期待を寄せた。
 
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