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日本代表

「蹴るまでは人生で最長の道のり」――“森保J批判”とも切り取られたシアラーの批評。実はPKを失敗した南野らを称えていた【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.07

勝敗が決した瞬間、人目をはばからずに涙した南野。そんな日本代表に厳しい意見を送ったシアラーたちの声は列島でも話題となった。(C)Getty Images

勝敗が決した瞬間、人目をはばからずに涙した南野。そんな日本代表に厳しい意見を送ったシアラーたちの声は列島でも話題となった。(C)Getty Images

 興味深い談義だった。

 現地時間12月5日に行なわれたカタール・ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で日本代表とクロアチア代表が対戦した際の出来事だ。

 まさに激闘だった。1-1で両国が120分を闘い終えて迎えたPK戦で日本は南野拓実、三笘薫、そして主将の吉田麻也がクロアチア守護神ドミニク・リバコビッチの好守に阻まれ、3-1で敗戦。日本サッカー史上初のW杯ベスト8の壁を越えられなかった。

 この一戦に熱視線を注いでいた大物たちがいた。それは英公共放送『BBC』で解説を務めた元イングランド代表のガリー・リネカー、アラン・シアラー、リオ・ファーディナンドだ。

 すでに日本でもシアラーたちが「PKの練習をしたことがないように見えた」と森保ジャパンの面々のキックに対して異論を唱えたという一報は伝えられている。実際その通りだ。彼らは南野たちのコースの甘くなったシュートを「とても不用意にも見えた」と論じていた。

 だが、実は彼らは同時にキックを失敗した心境を慮るコメントを残していたのである。
 
 まず、一石を投じたのは、元マンチェスター・ユナイテッドのファーディナンドだった。彼は「ここ(解説席)から批判をするのは簡単だけど、あの場所(ペナルティースポット)への道のりは本当に険しい道のりだよ」と実体験をもとにキッカーのメンタリティーについて触れた。

 すると、リネカーがこれに呼応し、「本当に険しいものだ。私の場合は人生唯一のPK戦はワールドカップの準決勝だった」と1990年のイタリア大会で繰り広げた西ドイツとの激闘を回想した。

「一人目のキッカーを決めるって時に誰かが私にボールを手渡したんだ。そこで『え、どうすればいいんだ?』って困惑したよ。『どうやってボールを持っていったらいいの?』『リフティングでもするか』ってね。それでようやくスポットにボールを置いても『走るか?』とか意味不明なことが頭をよぎるんだ」

 そして、「あのハーフウェーラインからの道のりは、はっきり言って、人生で最も長い道のりだよ。しっかりと決めた後は一瞬で終わるんだ」と語ったシアラーが、こう日本のキッカーたちにメッセージを送った。

「今大会の日本は本当に凄まじいプレッシャーと戦ってきたと思う。私は素晴らしかったと言いたい。だって、スペインとドイツを倒したんだよ。それだけでも凄まじい功績だ。こういう形での敗退は残念だね」

 日本ではキッカーのミスに対してSNSで批判の声もあった(それ以上に健闘を称えるコメントが圧倒的多数ではあった)。そのなかでシアラーたちのコメントは「レジェンドが日本を一方的に批判した」といいように切り取られたのだが、そうではない。現役時代に数多の修羅場をくぐり抜けてきた百戦錬磨の戦士たちは、負けたら終わりのPK戦に挑んだサムライたちの想いをしっかりと汲んだ意見を論じていた。

構成●THE DIGEST編集部

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