目下、開催中のカタール・ワールドカップは日々熱戦が繰り広げられ、世界中が各国代表選手たちの一挙手一投足に熱視線を向けている。そうしたなかで、大会を取り仕切る人物の発言が波紋を広げている。
問題視されているのは、現地時間12月8日に英公共放送『BBC』の直撃インタビューを受けたナセル・アル・カテル氏だ。大会実行委員会のCEOという肩書を持つ同氏は、各会場などの建設に携わりながらも劣悪な環境が原因で亡くなったとされる出稼ぎ労働者たちについて問われ、「ワールドカップを成功させたのに、今頃こんな話をするのか」と一蹴。苛立ちながら、次のように言い放った。
「いまは大会の真っただ中だ。それに仕事中であろうと、寝ている間であろうと、死ぬのは自然なことだ。もちろん、大会を作るに当たって何人かの労働者たちは死んだ。その家族たちにはお悔やみを申し上げる。だが、これが私に対する最初の質問というのはおかしい」
さらに「労働者の死亡数に関するありとあらゆる報道はすべてが嘘だ。一部のジャーナリズムが物語をより悪化させ、人々を失望させている」とも語ったアル・カテル氏。しかし、2021年に英紙『Guardian』は、カタール開催が決定した2010年からの約10年間で主にアジアの5か国から訪れた6500人以上の外国人労働者(カタール政府は死者数が40人と公表)が亡くなっているとも伝えており、同氏の発言は波紋を呼んだ。
米人権団体『Human Rights Watch』のロスナ・ベグム代表は「彼の発言は、外国人労働者たちの死が防げたという真実を無慈悲に無視している」と糾弾。さらに英人権団体『Amnesty International』の移民労働権研究者を務めるエラ・ナイト氏も「彼らはすべての死亡事故が調査されていると言っているが、それは間違いだ。彼らはすべてを仕方がない犠牲としてきた」と断じ、こう続けた。
「労働者たちが極端な温度での仕事に伴う健康被害が明らかであるにもかかわらず、彼ら(カタール政府)は膨大な数の死亡を単なる『自然死』として片付け続けている。カタール政府は、数々の悲劇的な事件をすべて調査する必要がある。あの劣悪な労働条件の結果、愛する人を失ったすべての家族は、その損失に対する答えと救済を受ける資格がある」
なお、『BBC』によれば、労働者たちの死について国際サッカー連盟は「認識している」という。それだけに今後の調査と遺族たちへの救済措置が行なわれるかは、彼らもカギを握っていると言えそうだ。労働者たちの死が闇に埋もれることなく、きちんと詳細が解明されるのを願いたい。
構成●THE DIGEST編集部
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「いまは大会の真っただ中だ。それに仕事中であろうと、寝ている間であろうと、死ぬのは自然なことだ。もちろん、大会を作るに当たって何人かの労働者たちは死んだ。その家族たちにはお悔やみを申し上げる。だが、これが私に対する最初の質問というのはおかしい」
さらに「労働者の死亡数に関するありとあらゆる報道はすべてが嘘だ。一部のジャーナリズムが物語をより悪化させ、人々を失望させている」とも語ったアル・カテル氏。しかし、2021年に英紙『Guardian』は、カタール開催が決定した2010年からの約10年間で主にアジアの5か国から訪れた6500人以上の外国人労働者(カタール政府は死者数が40人と公表)が亡くなっているとも伝えており、同氏の発言は波紋を呼んだ。
米人権団体『Human Rights Watch』のロスナ・ベグム代表は「彼の発言は、外国人労働者たちの死が防げたという真実を無慈悲に無視している」と糾弾。さらに英人権団体『Amnesty International』の移民労働権研究者を務めるエラ・ナイト氏も「彼らはすべての死亡事故が調査されていると言っているが、それは間違いだ。彼らはすべてを仕方がない犠牲としてきた」と断じ、こう続けた。
「労働者たちが極端な温度での仕事に伴う健康被害が明らかであるにもかかわらず、彼ら(カタール政府)は膨大な数の死亡を単なる『自然死』として片付け続けている。カタール政府は、数々の悲劇的な事件をすべて調査する必要がある。あの劣悪な労働条件の結果、愛する人を失ったすべての家族は、その損失に対する答えと救済を受ける資格がある」
なお、『BBC』によれば、労働者たちの死について国際サッカー連盟は「認識している」という。それだけに今後の調査と遺族たちへの救済措置が行なわれるかは、彼らもカギを握っていると言えそうだ。労働者たちの死が闇に埋もれることなく、きちんと詳細が解明されるのを願いたい。
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