去る12月13日に行なわれたカタール・ワールドカップ(W杯)の準決勝で、クロアチア代表に3-0と勝利したアルゼンチン代表。この完勝劇において大きく流れを手繰り寄せたのは、絶対的エースの一撃であった。
34分だった。エンソ・フェルナンデスからのロングパスに抜け出したフリアン・アルバレスが、相手GKドミニク・リバコビッチに倒されてPKを獲得。これを大黒柱のリオネル・メッシが豪快にゴール右上へと突き刺し、アルゼンチンは幸先よく先手を取ったのである。
もっとも、名手メッシと言えど、楽な局面ではなかった。というのも、今大会のリバコビッチは、とりわけPKにおいて抜群のビッグセーバーぶりを発揮していたからだ。
決勝トーナメント1回戦の日本代表とのPK戦で3本もストップした27歳の守護神は、続く準々決勝のブラジル代表とのPK戦で1本をセーブ。W杯史上最多となる1大会4本のPKを止めたGKとして名を刻んでいた。
ゆえにメッシにも少なからずプレッシャーはあった。では、いかにして偉大な10番は名手との対決を制したのか。35歳のクラックは、母国のスポーツ専門局『Tyc Sports』のインタビューで、緊張感のあった勝負の“舞台裏”を明かした。
「僕はヘロニモ・ルジとディブ(エミリアーノ・マルティネスの愛称)とともに、クロアチアのゴールキーパーの技術を学んでいた。僕らが話し合って見出したのは、彼がどれだけ動かずにこっちのキックを待っているか、という点だ。
だから、彼が動くのを待ってシュートするよりも、いきなり蹴って驚かせたほうがいいというのが最善の方法だった。時間をかければかけるほど難しくなっていくからね。だから僕は、ああやって蹴ることを決断したんだ」
ちなみにイギリスでGKを専門とした分析記事を配信している『Goalkeeper.com』のジョシュ・ハリソン氏の見解によれば、ゴール右上を鋭いスピードボールで射抜いたメッシのシュートは「99.9%の確率で決まるものだった」という。
PKにおいて絶対的な自信を持っていたリバコビッチの守るゴールを巧みにこじ開けたメッシ。チームを36年ぶりの世界一に前進させた10番の先制ゴールは、綿密な計算によって生み出されたものだった。
構成●THE DIGEST編集部
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もっとも、名手メッシと言えど、楽な局面ではなかった。というのも、今大会のリバコビッチは、とりわけPKにおいて抜群のビッグセーバーぶりを発揮していたからだ。
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「僕はヘロニモ・ルジとディブ(エミリアーノ・マルティネスの愛称)とともに、クロアチアのゴールキーパーの技術を学んでいた。僕らが話し合って見出したのは、彼がどれだけ動かずにこっちのキックを待っているか、という点だ。
だから、彼が動くのを待ってシュートするよりも、いきなり蹴って驚かせたほうがいいというのが最善の方法だった。時間をかければかけるほど難しくなっていくからね。だから僕は、ああやって蹴ることを決断したんだ」
ちなみにイギリスでGKを専門とした分析記事を配信している『Goalkeeper.com』のジョシュ・ハリソン氏の見解によれば、ゴール右上を鋭いスピードボールで射抜いたメッシのシュートは「99.9%の確率で決まるものだった」という。
PKにおいて絶対的な自信を持っていたリバコビッチの守るゴールを巧みにこじ開けたメッシ。チームを36年ぶりの世界一に前進させた10番の先制ゴールは、綿密な計算によって生み出されたものだった。
構成●THE DIGEST編集部
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