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海外サッカー

冬の移籍市場で主役となったチェルシー、なぜ驚異的な札束攻勢が可能なのか? その理由と今後の展開を英BBCが検証

THE DIGEST編集部

2023.02.02

今冬の移籍市場で大盤振る舞いを見せたチェルシー。アメリカ人投資家トッド・ボーリー氏が昨夏以来、大型補強を展開している。(C) Getty Images

今冬の移籍市場で大盤振る舞いを見せたチェルシー。アメリカ人投資家トッド・ボーリー氏が昨夏以来、大型補強を展開している。(C) Getty Images

 欧州主要リーグの冬の移籍市場が幕を閉じたが、主役は8選手を加えるのに、3億ポンド(約480億円)以上を費やしたチェルシーであることに異論はないだろう。

 昨年、ロシアがウクライナを侵攻したことで、それまでクラブの財政を支えてきたオーナーのロマン・アブラモビッチ氏の資産が英国政府によって凍結され、一時はクラブの存続すら危ぶまれる状況だったが、5月に経営権がアメリカ人投資家トッド・ボーリー氏のコンソーシアムに移ると、夏の移籍市場ではいきなり2億5000万ポンド(約399億円)という支出ランキングトップの金額を費やして補強を展開した。
 
 さらにシーズンに入ってからは、トーマス・トゥヘルを解任してグレアム・ポッターをブライトンから引き抜いたチェルシーは、今冬はアーセナルが獲得目前に迫っていたシャフタール・ドネツクのミハイロ・ムドリクを強奪し、さらに英国記録となる1億680万ポンド(約171億円)でベンフィカからエンソ・フェルナンデスを引き抜くなど、無尽蔵な札束攻勢でマーケットを席巻している。

 改めて、その財政力を見せつけた金満クラブだが、欧州ではUEFAが定めたファイナンシャル・フェアプレー(FFP)があり、この収入と支出のバランスを取ることを各クラブに求める規定においては、戦力補強に費やせる金額には上限がある。その中で、チェルシーになぜこれほどの支出が可能なのか、そして今後はどうなるのかを、英国公共放送『BBC』が特集している。

 同メディアの説明では、プレミアリーグのクラブには3年間で計1億500万ポンド(約168億円)の損失が許されるが、それを超えた場合には多額の罰金、リーグの勝点やカップ戦出場権の剥奪などの厳しいペナルティーが科せられる。

 一方でUEFAの現在の規定では、年間で収益よりも最大440万ポンド(約7億円)多い支出が許されるが、クラブのオーナーが完全にカバーできる場合に限っては、上限が2660万ポンド(約42億5000万円)まで伸びる。そして、昨年6月に導入された新たな規則では、クラブの給料、移籍金、代理人への手数料は収益の70%に抑える必要がある一方で、3年間での損失は4996万ポンド(約80億円)まで許容される(この変更に対応するために、3年間の猶予が与えられている)。

 サッカー界の金融関連の専門家であるキーラン・マグワイア氏によれば、チェルシーの2021年までの損失は500万ポンド(約8億円)に抑えられているため、かなりの余裕があるという。また、この数年にチャンピオンズ・リーグ(CL)、UEFA スーパーカップ、クラブワールドカップに優勝したことで、追加の資金が加わったことも、大きいようだ。
 
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