現地報道によると、オリオル・ロメウの獲得を巡ってはクラブ内でも賛否両論が起こっていたという。そんな中で、誰よりもその実現に向けてプッシュしたのが、ほかでもないシャビ監督だ。スペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムニスト、シャビエル・ボッシュ氏は以下のように述べている。

「指揮官が獲得を希望したのは、優先順位の高い順にマルティン・スビメンディ（レアル・ソシエダ）、ヨシュア・キミッヒ（バイエルン・ミュンヘン）、マルセロ・ブロゾビッチ（アル・ナスル）の３人だった。しかし資金難でいずれも手が届かず、そこで浮上したのが、ジローナで充実したシーズンを過ごしていたラ・マシア育ちのロメウだ」

　シャビがロメウに目を付けた理由を、スペインメディア『Relevo』のアルベル・ブラジャ記者は次のように推察する。

「ロメウは経験とインテリジェンスを併せ持ち、自分の長所と何よりも限界を理解している。フゴーネス（創造者）で構成されるチームにおいて、周りを輝かせる接着剤的な存在になれると踏んだのだろう」
  　ただしロメウがバルサに復帰するのは、2011年夏に退団して以来12年ぶりのことで、しかも９月で32歳になる。スビメンディらの獲得に失敗した末の妥協案という印象も拭えない。そもそもバルサには、ニコ・ゴンサレスというセルヒオ・ブスケッツがみずからの後継者に指名した選手がいる。実際カンテラでも、それを見越して指導が行なわれていた。

　しかし現地の複数のメディアはニコについて、「肝心のシャビがアンカーへの適性を疑問視している」と報じており、それは大なり小なり、さまざまな局面に顔を出して持ち味を発揮するフレンキー・デ・ヨングも同じである。

　このシャビ監督の決断に疑問符をつけるのが、スペイン紙『スポルト』のジョアン・マリア・バルト記者で、「ロメウ獲得のために600万ユーロ（実際は移籍金340万ユーロ＋パブロ・トーレの１年間レンタル）を支払うかどうか検討されている一方で、クレ（バルサ・ファンの呼称）の半数はニコを希望していた。資金不足で息詰まっているのであれば、一時的な応急処置に600万ユーロを費やすよりも、デ・ヨングとニコを組み合わせるほうが望ましい」と見解を述べている。