専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
なでしこ

8強で散ったなでしこJの“硬軟自在ぶり”をスペインメディアが評価!「日本は、何が、どのように、どこでできるかを知っていた」

下村正幸

2023.08.14

惜しくもベスト4進出はならなかったが、日本はプレークオリティーの高さを世界に見せつけた。(C)Getty Images

惜しくもベスト4進出はならなかったが、日本はプレークオリティーの高さを世界に見せつけた。(C)Getty Images

 サッカー女子ワールドカップでベスト8敗退に終わったなでしこジャパンだが、その戦いぶりにはいまも多方面から称賛の声が寄せられている。

 スペインメディアが特に評価しているのは、その硬軟自在のサッカースタイルだ。0-4で完敗し、なでしこの軍門に降ったスペインのホルヘ・ビルダ監督は試合後、「代表の監督に就任してからこれほどの負けを経験したことはない」とショックの色を隠さなかったという。

 スペイン紙『エル・パイス』が着目したのが、タイトなディフェンスでスペースとパスコースを消し、一気に攻撃へ転じるカウンターだ。「なんていう切れ味の鋭さだろう! 超音速の疾走でスペインをズタズタに切り裂いた」と褒め称えた。

 いうまでもなくスペインは、ショートパスを繋ぐスタイルで男子代表が世界を席巻した国だ。堅守速攻スタイルに対しては、潜在的に拒絶反応を示す傾向がある。『AS』紙の前編集長アルフレッド・レラーニョ氏は、「個人的にはイニシアチブを握ろうと試みたスペインのサッカースタイルのほうが好きだ」と私見を述べながらも、「日本は、何が、どのように、どこでできるかを知っていた。スペインのボール回しが乱れるのを辛抱強く待ち、猛烈なスピードで攻め上がり、効果的にゴールを決めた」と、選手の相互理解に基づいたなでしこジャパンの組織力を、勝敗を分けた要素に挙げている。

 なでしこジャパンが堅守速攻に特化したチームではないことを実証したのが、次のノルウェー戦だった。

「スペイン戦からガラリとプレーの色を変え、ボール支配率を高めるスタイルのサッカーを、これまでにない形で示した。牙の鋭さに欠けるノルウェーは日本の”ティキタカ”の前に屈している。チーム一丸となって素晴らしいサッカーを見せる日本に対し、ノルウェーは特定の選手の輝きに依存するしかなかった」と報じたのは『AS』紙だ。
 
 同紙は日本の質の高いポゼッションサッカーを高く評価。その一方で、「その切れ味の鋭さについてはスペインの選手に聞けばいい。ノルウェーもイケダ(監督の池田太)流の薬を味わわされた」と、スペインも苦しめられたカウンターの威力に改めて舌を巻いた。

 敗北を喫したスウェーデン戦の戦いぶりについても、決してネガティブな論調ではなかった。『エル・パイス』紙は以下のように分析している。

「後半は選手交代が功を奏し、日本が攻勢に転じた。ウエキ(植木理子)のクロスバーに直撃したPKも反撃ムードに水を差すことはなく、その諦めない姿勢が報われたのが、87分のハヤシ(林穂之香)のゴールだった。しかし、後半防戦一方だった中でもスウェーデンは、嵐を乗り切る老練さを見せ、そのまま試合終了のホイッスルを迎えた」

 そして「日本は試合の入りの悪さの代償を支払わされた。その結果スペインは、より実力が劣るほうの国(スウェーデン)と準決勝で顔を合わせることになった」と締めくくっている。

文●下村正幸

【動画】ベスト8進出を決定づける宮澤ひなたのゴール!

【関連記事】「なんて素晴らしい瞬間なんだ!」なでしこJ主将・熊谷紗希とノルウェー代表FWの胸熱抱擁が賞嘆の嵐!FIFA公式も称賛「何があっても友達」

【関連記事】「信じられないほど情けなく間抜け」「すべて台無し」英国女子FWの愚行に非難止まず!米放送局は残りの決勝T欠場を言及【女子W杯】
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号