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ラツィオの鎌田大地、ナポリ戦でゴール以外に見せた「さらなる活躍への期待を膨らませた要素」とは【現地発】

片野道郎

2023.09.06

セリエA初ゴールを決めた鎌田をエースで主将のインモビーレ(右)が祝福。(C)Getty Images

 今夏に移籍したラツィオで開幕から3試合連続スタメン出場を果たし、3節では強敵ナポリに初黒星をつける決勝ゴール。鎌田大地は新天地で着実にその足場を固めつつある。

【動画】ナポリ対ラツィオのハイライト!L・アルベルトと鎌田が笑顔で抱擁したラストシーンは必見!!

 最初の2試合はレッチェ、ジェノアという格下相手に2連敗したチームの中で、鎌田もぱっとしない出来だった。『Gazzetta dello Sport』紙はジェノア戦でのパフォーマンスを「水から出た魚」(場違いな状況を表す常套句)と評したほどだ。

 続く第3節は、昨シーズンの王者で今シーズンも開幕2連勝と好調のナポリが相手。もしここで3連敗ということにでもなれば、チームの(そして鎌田の)周囲にネガティブな空気が渦巻く事態は避けられなかっただろう。

 この非常にデリケートな試合でチームに初白星をもたらし、困難な状況からチームを救い出したという意味で、鎌田のセリエA初ゴールはずっしりとした重みを持っている。最初の2試合を終えた段階では、「前任者」のセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチの不在を嘆く声が少なくなかったが、この勝利後はそうした論調はすっかり鳴りを潜めた。
 
 このセリエA初ゴールに対しては、決勝点という重要性だけでなく、技術的な難易度の高さを評価する声も挙がっている。中盤の右サイドでフェリペ・アンデルソンがピオトル・ジエリンスキの縦パスを引っかけてカウンターアタックに転じた時点で、鎌田はまだその後方、自陣に10メートルほど入った位置にいた。

 そこからスタートを切り、敵陣を大きく斜めに横切ってトップスピードでペナルティアーク左に走り込むと、前方にいたルイス・アルベルトがスルーしたF・アンデルソンからの横パスを柔らかいタッチでコントロール。左コーナーフラッグに向いていた身体を大きく捻りながら左足を振り抜き、相手DFアミル・ラフマニの股を抜く鋭角のダイアゴナルシュートをファーポスト際に流し込んだ。

 シュートを放った鎌田のさらに外、ペナルティーエリア左角からやや中に入った位置には、エースストライカーのチーロ・インモービレが完全にフリーな状態で浮いており、鎌田からのパスを呼び込んでシュートを打つ態勢を完全に整えていた。

 そのインモービレ自身も含めて誰もがパスを出すと予想したシチュエーションから、半ば強引に難易度の高いシュートを決めたプレーは、鎌田のクオリティーとパーソナリティーをイタリア中に示す「挨拶代わり」の意味でも、小さくない意味を持つだろう。
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「あの態勢から、あれだけ強いシュートを決めるのは凄い」とエースが感服