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「2030年は史上最もクレージーなW杯!」3大陸6か国共催で出場国枠、移動距離、真逆の気候と問題山積! 構想から外されたチリは悲痛な叫び

THE DIGEST編集部

2023.10.06

2034年に行なわれるW杯は3大陸6か国での共催となった。(C) Getty Images

 FIFA(国際サッカー連盟)は、2030年のワールドカップが、スペイン、ポルトガル、モロッコによる共同開催となり、さらに開幕3試合がウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの南米3か国で行なわれることを発表した。

 欧州、アフリカという異なる地区での本大会開催は初めてのケースとなるが、そこに南米勢が加わるという特異な状況となったのは、W杯の記念すべき第1回大会が1930年にウルグアイで開催され、それから100年という節目の時を迎えるからである。

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 ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、「分断された世界において、FIFAとサッカーは団結しつつある」「サッカー界全体を代表するFIFA評議会は、1930年にウルグアイで第1回大会が開催されたW杯の100周年を、最も適切な方法で祝うことに全会一致で合意した」「2030年、アフリカ、ヨーロッパ、南米の3大陸が、この美しい試合を一緒に祝いながら、世界を歓迎し、団結させる」との声明を発している。

 元々、ウルグアイは違う形での「祝福」を望んでおり、第1回大会で決勝を争ったアルゼンチンの他、チリ、パラグアイとの南米4か国による共催を提唱していた。ゆえに、ウルグアイの日刊紙『EL PAIS』は「完全なる開催からわずか3試合に減ったことで、一部では南米の敗北だと主張する声もある」と報じている。

 しかし、これに対してCONMEBOL(南米サッカー連盟)のアレハンドロ・ドミンゲス会長は、より経済的にも政治的にも有利な国々が立候補している中で、真っ向勝負を挑むのは「無責任な提案」であり、この重要なイベントから「何か」を得るために交渉することは、悪い考えではなかったと主張。インフラ整備などに大金を費やす必要なく、W杯創設から100年目というロマンティックな要素が2030年大会に含まれたことは、南米にとって「勝利」だと考えているようだ。

 AFA(アルゼンチン・サッカー協会)のクラウディオ・タピア会長も、「南米にとって、この歴史ある大会の開催国となるための、投票と投資を得ることは事実上不可能だったが、ドミンゲス会長の強固な決意により、3つの国が大きな投資なしに、全て現物利用が可能な状況下で開催国になることができた」と、好意的に捉えている。

 ただ、共催構想に参画しながら、唯一開催国から外れることになったチリでは、日刊紙『LA TERCERA』が「チリ・サッカー界は、ここ最近受けた中でも、最も痛ましい打撃のひとつに見舞われている。我々のW杯の夢は、最後に水泡に帰した」と綴るなど、少なくない悲しみが広がっているようだが、この決定についてドミンゲス会長は、「これはFIFAが決定したことであり、我々(CONMEBOL)の判断ではない」と言及した。
 
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史上最多6か国での大会に存在する様々な問題