海外サッカー

「AZの至宝」「ピッチの上でダンスを踊る!」オランダの逸材アタッカーが躍動中

中田徹

2019.12.19

今シーズンのAZではエールディビジで4得点・7アシスト、ヨーロッパリーグで2得点・2アシストと躍動中。EURO2020での登録メンバー入りも期待されるオランダの逸材アタッカーだ。(C)Getty Images

 オランダU-21代表のレギュラー格を5人も擁するなど、若手逸材の台頭が著しいAZのなかで、「クラブの至宝」としてとくに大きな期待を寄せられているのが、右ウイングやトップ下で活躍中のカルビン・ステンフスだ。

 AZの前監督ファン・デンブロム(現ユトレヒト監督)が「ピッチの上でダンスを踊る」と表現したように、20歳のレフティーは舞うようにボールをキープし、視野をつねに遠くに確保する。

 その先に見据えるのは、フリーランニングでスペースに走り込むチームメイトの姿だ。阿吽の呼吸で通すCFミロン・ボアドゥへのスルーパスはとくに絶品で、AZでもオランダU-21代表でも強力なホットラインを形成している。
 
 腰高で線が細く、一見華奢な印象を受けるものの、体幹が強いため簡単には当たり負けしない。ボール運びがスムーズで、タッチにはリズムがあり、相手ゴール前の密集地帯でも独力で局面を打開できる万能型アタッカーだ。

 時にはパンチの利いた豪快な一撃を、時にはカーブをかけて四隅を狙ったコントロールショットをミドルレンジから蹴り分けるキック技術を誇り、得点能力が非常に高い。

「もはやオランダ代表に選ばれるかどうかの議論は不毛。問題はいつ選ばれるかだ」との声が挙がっていたほどで、事実、11月のEURO予選に向けたA代表のメンバーに招集され、11月19日のエストニア戦でデビュー。いきなり2アシストを記録し、5-0の勝利に貢献した。

 近未来のオランイェ(オランダ代表の愛称)で、主力を担っていても不思議はない才能だ。

Calvin STENGS
カルビン・ステンフス(FW/AZ)
■生年月日:1998年12月18日(21歳)
■身長・体重:182㎝・68kg
■国籍または代表:オランダ代表

文●中田徹
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年11月21日号より加筆・修正