サッカー界を席巻するスーパースターの『出場なし』の波紋は止まらない。

　現地２月４日、香港で行なわれた米メジャーリーグサッカーのインテル・マイアミと香港選抜が親善試合をし、マイアミが４-１で完勝を収めた。アルゼンチン代表FWのリオネル・メッシは脚の故障のため大事をとり、ピッチに立つことなくベンチで過ごした。

　だが、地元ファンはスーパースターの「出番なし」に我慢ならなかった。試合途中からメッシの試合出場を求めるかのように観衆からブーイングが沸き起こり、後半アディショナルタイムには「返金しろ！」「メッシはどこだ？」といった野次が飛び交うなど怒りが最高潮に達し、スタジアムはブーイングに包まれた。

　結局、メッシは最後まで出番なし。約４万人の観衆は失望と怒りを抑えられず、試合後もブーイングは鳴り止まなかった。さらに、インテル・マイアミの共同オーナーであるデイビッド・ベッカム氏が現地ファンに挨拶するためにマイクを持ったが、スピーチが観衆の野次にかき消される異様な状況で親善試合は幕を閉じた。

　この異常事態は、海外メディアも取り上げている。カナダの大手全国紙『The Globe and Mail』は「ベンチで過ごしたインテル・マイアミのリオネル・メッシは、香港ファンから大ブーイングを浴びる」と報道。その一部始終を伝えている。

　同紙は「メッシの欠場が明らかになると、香港スタジアムに集まった３万8000人の観衆からは、『返金！返金！』『メッシが欲しい』という声が上がった。マイアミが４-１で勝利した後、共同オーナーであるベッカム氏は観客に感謝しようとしたが、ファンのブーイングによって叶わなかった」と、その光景を説明。試合のチケットは１時間足らずで即完売し、オーストラリアや韓国から駆けつけたファンもいたという。
  　香港での騒動はサッカーの母国にも届いている。英大衆紙『The Guardian』は「負傷したリオネル・メッシが出場しなかったことを受け、香港政府は『非常に残念だ』と語った」と報じ、スーパースターに向けられたブーイングの嵐に興味を注いでいる。

　同メディアはメッシ以外にも、バルセロナの元同僚であるウルグアイ代表FWルイス・スアレスも出場せず、ベンチを温めていたことを紹介。「インテル・マイアミの指揮官は危険を冒せなかった」と指摘し、スタープレーヤーのコンディションを考慮した決断に理解を示している。チームを率いるヘラルド・マルティーノ監督は「レオ（メッシ）とスアレスの欠場に対する多くのファンの失望は理解している。せめて彼らをしばらくの時間、出場させることができれば良かったのだが、リスクが大きすぎた」と弁明。楽しみにしていた地元ファンに詫びた。

　イベントを主催したスポンサーの一部であるファッション誌『Tatler Asia』によると、「通算８度のバロンドール受賞者であるメッシは、”負傷しない限り”香港で行なわれる親善試合でピッチに立つ契約を交わしていた」と見過ごせないコメントを残している。​​​​​また、試合が行なわれた４日夜には香港政府も声明を発表する異例の事態に。「メッシが今日の試合に出場しないことについて、政府だけでなく、すべてのサッカーファンが主催者側の取り決めに非常に失望している。主催者はすべてのサッカーファンに説明する義務がある」と遺憾を示すなど、スーパースター不出場の波紋は広がっている。
　
　ワールドツアー中のインテル・マイアミは日本にも来る。７日には東京・国立競技場で昨季のJリーグ王者・ヴィッセル神戸との対戦（19時キックオフ）を控えている。メッシは記者会見で「明日プレーできるかどうかは分からないが、良くなっているという感触はある」と話し、コンディションは上昇していると言うが、試合出場については明言をしていない。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】メッシ”不出場”に香港ファンが怒り！大ブーイングが起こる異常事態の一部始終