海外サッカー

「進むべき方向を見失っている」パリ五輪予選敗退で“恥の上塗り”のブラジルサッカーに母国メディアも辛辣… 宿敵の元名将からは「文化の衰退」

THE DIGEST編集部

2024.02.15

五輪予選で敗退したブラジルは、昨年のU-20W杯でもイスラエルに敗れベスト8に甘んじ、男女A代表もまた苦闘を強いられている。王国の復権はまだまだ遠いようだ。(C) Getty Images

 パリ・オリンピックのサッカー男子南米予選で、過去2大会で金メダルを獲得してきたブラジル代表が、2004年アテネ大会以来となる予選敗退を喫した。

 5チームによる総当たり方式の予選ステージ(グループA)を3勝1敗の首位で通過した後で行なわれた、2グループの上位2チームによるリーグ戦(ファイナルステージ)で、2位以内に入ればパリへのチケットを手にできたブラジルは、初戦のパラグアイ戦を0-1で落とし、続くベネズエラ戦は2-1で制して2位に浮上するも、結果的には引き分けでも良かった宿敵アルゼンチンとの最終戦で防戦の末に0-1で敗れ、五輪3連覇の夢はその舞台にすら立つことなく潰えることとなった。

 
 このような結果に終わったことについて、ブラジルの総合メディア『Globo』は、DFのミシェル、カイキ・ブルーノ、MFマルロン・ゴメスを起用できなかったことは言い訳にはならないとし、アレクサンデル、マウリシオ、ガブリエウ・ペック、ジョン・ケネディ、そしてエンドリッキといった優れた人材を擁した集団が一敗地にまみれた原因は、その戦い方にあったと断言している。

 同メディアは、ラモン・メネゼス監督率いるチームがファイナルステージに進出した4チームの中で最も得点が少なく、予選ステージでも敗退したウルグアイをも下回った他、ファイナルステージでは全ての対戦相手よりもシュート数が少なかったことを紹介し、攻撃力が低かったことを指摘する。

 また、「予選期間中のチームの合言葉は『バランスを保つ』だったが、そんなことは起こらず、選手の間隔は広くなり、攻撃の組み立てにおける創造性の欠如も、前線での効果的なプレーもほとんどなかった。加えて全試合において、守備が脆弱になる瞬間が何度もあった」と綴り、攻守両面での問題を挙げている。

 同メディアは、東京五輪で金メダルを獲得した14の団体チームのうち、パリ行きの資格を得られなかったのはブラジルの男子チームだけだと紹介。しかし、同国サッカー界全体で見ると、屈辱はこれに止まらず、男子A代表は2026年ワールドカップ予選で3連敗を喫するなど1940年以降で最悪の成績に瀕しており、女子A代表は昨年のワールドカップで史上最悪の結果(グループリーグ敗退で全体18位)、男子U-20代表もU-20W杯でイスラエルに4強入りを阻まれた……。
 
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