EURO2024開幕から2週間。大会はグループステージ(GS)を終え、決勝トーナメントに突入する。
ほとんどのグループがおおむね「順当」な結果に終わったなかで、サプライズと言えるのは、1年半前のカタール・ワールドカップで3位となり、FIFAランキングでもトップ10に入っているクロアチアの敗退、GS最終節でポルトガルを破ってグループ3位ながら初出場でベスト16に勝ち上がったジョージアの健闘、そしてフランス、オランダを尻目にグループDを1位で勝ち上がったオーストリアの躍進だろうか。
【動画】EURO初出場で決勝トーナメントに進んだジョージア。首都トビリシでは大勢のファンが通りを埋め尽くして、歴史的快挙を祝った
この項では、ジョージアの健闘ぶりをデータから読み解いていく。
●ジョージアの最大の功労者はGKママルダシュビリ
FIFAランク9位のクロアチアが敗退した一方で、同74位と出場国中最も低いジョージアが、史上初めて出場したビッグトーナメントでベスト16進出を果たした。
データを見る限り、チームとしての全体的なパフォーマンスは、勝ち残ったチームよりも敗退したチームのそれに近いレベルに留まっている。しかし、そのなかでも作り出した数少ないチャンスを確実にゴールに結びつけ、与えた数多くの決定機を失点に至ることなく食い止めたという点において、勝ち上がりに値する戦いを見せたことは確かだ。
ジョージアの総シュート数21は全体で下から5番目、枠内シュート9は下から4番目に過ぎない。しかしその数少ないシュートが生み出したゴール期待値は4.14で上から9番目。PK(xGは0.788で固定)を2本も得て、どちらもしっかり決めたことが大きいが、オープンな攻防となったトルコ戦(結果は1ー3で敗戦)でも14本のシュートを放って1.37xGを記録している。
xGというのは、ひとつひとつのシュートについて距離、角度、コース、GKやDFのポジション、シュートの難易度などから得点の可能性をAIが算出し、それを積算した数字だ。
ジョージアといえば、セリエA・ナポリでの大活躍で大きな注目を集めたフビチャ・クバラツヘリアが看板プレーヤーだが、今大会で目立っているのは、2つのPKを含めてチーム4得点中3得点を叩き出し、得点王ランキングのトップに立っているFWジョーゼス・ミカウターゼだ。
GS3試合すべてで得点を挙げた選手は、EURO史上9人目。ちなみに他の8人はミシェル・プラティニ(フランス)、アラン・シアラー(イングランド)、フロストフ・ストイチコフ(ブルガリア)、サボ・ミロシェビッチ(当時ユーゴスラビア)、ミラン・バロシュ(チェコ)、ルート・ファン・ニステルローイ(オランダ)、ガレス・ベイル(ウェールズ)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)という錚々たる顔ぶれだ。
しかし、ジョージア勝ち上がり最大の功労者を挙げるとすれば、ビッグセーブを連発してチームを救ったGKママルダシュビリ以外にはいないだろう。
GS3試合で24チーム中最も多い25本の枠内シュートを受けながら、そのうち21本をセーブ。その25本の「被枠内シュートxG」は7.5(これも出場国中最大)に上っている。本来なら7~8失点していてもおかしくないところを4失点に抑えたのだから、これ以上は望めないほどのパフォーマンスだった。
実際、「被枠内シュートxG」と失点の差分3.5は、2位ウナイ・シモン(スペイン)の3.3、3位マイク・メニャン(フランス)の2.8を上回り、全GK中トップ。間違いなくGSのベストGKだ。
文●片野道郎
【関連記事】なぜオーストリアは、フランス、オランダを押し退けて、1位でGSを突破できたのか? 躍進の秘密をデータで読み解く【EURO2024コラム】
ほとんどのグループがおおむね「順当」な結果に終わったなかで、サプライズと言えるのは、1年半前のカタール・ワールドカップで3位となり、FIFAランキングでもトップ10に入っているクロアチアの敗退、GS最終節でポルトガルを破ってグループ3位ながら初出場でベスト16に勝ち上がったジョージアの健闘、そしてフランス、オランダを尻目にグループDを1位で勝ち上がったオーストリアの躍進だろうか。
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●ジョージアの最大の功労者はGKママルダシュビリ
FIFAランク9位のクロアチアが敗退した一方で、同74位と出場国中最も低いジョージアが、史上初めて出場したビッグトーナメントでベスト16進出を果たした。
データを見る限り、チームとしての全体的なパフォーマンスは、勝ち残ったチームよりも敗退したチームのそれに近いレベルに留まっている。しかし、そのなかでも作り出した数少ないチャンスを確実にゴールに結びつけ、与えた数多くの決定機を失点に至ることなく食い止めたという点において、勝ち上がりに値する戦いを見せたことは確かだ。
ジョージアの総シュート数21は全体で下から5番目、枠内シュート9は下から4番目に過ぎない。しかしその数少ないシュートが生み出したゴール期待値は4.14で上から9番目。PK(xGは0.788で固定)を2本も得て、どちらもしっかり決めたことが大きいが、オープンな攻防となったトルコ戦(結果は1ー3で敗戦)でも14本のシュートを放って1.37xGを記録している。
xGというのは、ひとつひとつのシュートについて距離、角度、コース、GKやDFのポジション、シュートの難易度などから得点の可能性をAIが算出し、それを積算した数字だ。
ジョージアといえば、セリエA・ナポリでの大活躍で大きな注目を集めたフビチャ・クバラツヘリアが看板プレーヤーだが、今大会で目立っているのは、2つのPKを含めてチーム4得点中3得点を叩き出し、得点王ランキングのトップに立っているFWジョーゼス・ミカウターゼだ。
GS3試合すべてで得点を挙げた選手は、EURO史上9人目。ちなみに他の8人はミシェル・プラティニ(フランス)、アラン・シアラー(イングランド)、フロストフ・ストイチコフ(ブルガリア)、サボ・ミロシェビッチ(当時ユーゴスラビア)、ミラン・バロシュ(チェコ)、ルート・ファン・ニステルローイ(オランダ)、ガレス・ベイル(ウェールズ)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)という錚々たる顔ぶれだ。
しかし、ジョージア勝ち上がり最大の功労者を挙げるとすれば、ビッグセーブを連発してチームを救ったGKママルダシュビリ以外にはいないだろう。
GS3試合で24チーム中最も多い25本の枠内シュートを受けながら、そのうち21本をセーブ。その25本の「被枠内シュートxG」は7.5(これも出場国中最大)に上っている。本来なら7~8失点していてもおかしくないところを4失点に抑えたのだから、これ以上は望めないほどのパフォーマンスだった。
実際、「被枠内シュートxG」と失点の差分3.5は、2位ウナイ・シモン(スペイン)の3.3、3位マイク・メニャン(フランス)の2.8を上回り、全GK中トップ。間違いなくGSのベストGKだ。
文●片野道郎
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