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アトレティコへの移籍が秒読み段階? 久保建英の同僚DF&MFに退団説が浮上! 「彼らの穴を埋めるのは至難の業」と地元記者が危惧

下村正幸

2024.07.01

ル・ノルマン(左)にはアトレティコが、メリーノ(右)にはアトレティコに加えバルサも興味を示している。(C)Getty Images

 レアル・ソシエダはいま、クラブ史に残る黄金期を過ごしている。過去5年間で見ても、2019-2020シーズンのコパ・デル・レイ制覇に始まり、2023-2024シーズンはチャンピオンズリーグ(CL)に参戦。ベスト16に進出した。新シーズンもヨーロッパリーグへの参加を決めており、5年連続欧州カップ戦参加はクラブ史上初の快挙だ。これは様々な面で限界がある地方クラブにとって、偉業以外の何物でもない。

 この快進撃を長く支えてきたのが、イマノル・アルグアシル監督の下で主力を担ってきたロビン・ル・ノルマン、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディ、ミケル・オジャルサバルといった選手たちだ。途中、マルティン・ウーデゴー、アレクサンデル・イサク、アレクサンダー・セルロトが流出し、ダビド・シルバ、ブライス・メンデス、久保建英が加入。シルバは昨夏に引退したが、チームの軸が変わらない組織力の高さが強みであり続けていた。

 しかし今夏、その不動の主力の一角を担ってきたふたりが流出の危機に晒されている。ル・ノルマンがアトレティコ・マドリーから熱烈なアプローチを受け、ミケル・メリーノの契約延長交渉が長期化しているのだ。ル・ノルマンについては、一部の現地メディアで移籍発表は時間の問題と言われており、先日は、過去形でアルグアシル監督について述べた『ラジオ・マルカ』でのインタビューの言葉が、別れのメッセージと解釈された。

 メリーノも、バルセロナやアトレティコからラブコールを受けていると報じられている。現行契約は来年の6月まで。ソシエダとしてはこの状況を迎えるまでに合意したかったところだが、交渉は遅々として進まなかった。今のままだと来夏、メリーノはフリーで出て行くことになる。今夏に相応のオファーが届けば、ソシエダは移籍を容認せざるを得ないだろうというのが現地メディアの見解だ。
 
 過去10年において"ソシエダ最高のDF"の呼び声高いCBル・ノルマンと、アルグアシル監督が"ラ・リーガ最高の選手"と評したこともある攻守のバランサーにして中盤のファイターであるメリーノ。地元紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』のミケル・レカルデ記者は、「大げさに騒ぎ立てる必要はもちろんないが、ふたりのコマンダーを欠く新シーズンのソシエダが、より良いチームになっているかという問いに対する答は明白だ。それはノーだ」と危機感を訴える。

 ソシエダは、スペインではレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコの3強に次ぐ地力を持ったチームと言っていい。しかしそれが結果に結びつくかは、過密日程を強いられる中、主力がシーズンを通してフレッシュな状態を保てればという条件付きだ。2023-2024シーズンは、連戦による疲労の蓄積で、久保、メリーノ、スビメンディ、ル・ノルマン、イゴール・スベルディア、ブライス・メンデスら主力が、順番にパフォーマンスを落とし、新戦力の不発、FW陣の不調も重なって、年明け以降の失速に繋がった。

 選手層は、はっきり言って欧州カップ戦を戦うチームとしてはかなり貧弱だ。そのうえで主力が二枚抜けたら弱体化は避けられない。CBならホン・パチェコやホン・マルティン、MFならベニャ・トゥリエンテスと後継者として名乗りを上げそうなカンテラーノはいるし、外部からも後釜の確保に動くはずだが、「ル・ノルマンとメリーノの穴を埋めるのは至難の業」というのがレカルデ記者の見解だ。

 2023-2024シーズン、シルバ引退の煽りをモロに受けた久保にとっても、もちろん他人事ではない。ふたりを欠くとなれば、ソシエダが誇るポゼッションとハイプレスが融合したフットボールの威力と機能性が低下することは避けられない。ル・ノルマンとメリーノのダブル流出危機を前に、ソシエダと久保は大きな分岐点に立たされている。

文●下村正幸

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