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「あんなのは好きじゃない」 大敗を喫したスペイン女子の10番がブラジルのサッカーを批判…一方で母国紙からは「弱く、遅く、無能」と酷評【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.07

注目の一戦は、ブラジルの大勝に終わった。(C)Getty Images

 現地時間8月6日に行なわれたパリ・オリンピック女子サッカーの準決勝で、ブラジル代表はスペイン代表を4-2で下し、2008年北京大会以来3度目の決勝進出を果たしている。

 グループステージ(GS)最終節(スペインが2-0で勝利)の再戦となった一戦は、スペインのオウンゴールという思わぬ形で開始6分に早くも試合が動き、ブラジルは相手にボールを持たれながらも決定機を創らせず、逆に前半終了間際にガビ・ポルティーリョが加点。さらに71分にアドリアーナのヘッドでリードを広げ、後半アディショナルタイムにもケロリンが4点目を挙げて、守りではスペインの反撃を2点に抑えた。

 ブラジルの総合メディア『terra』は、「全ての困難に打ち勝ち、ブラジルの選手たちは対戦相手を圧倒した。攻撃の見事なパフォーマンスで3ゴールを奪い、さらに相手のオウンゴールも加わり、4対2でスペインを下して、メダルを確保。次は10日にアメリカと金メダルを懸けて対峙する」と、自国代表への賛辞をまじえて伝えている。

 一方、GSでの対決では世界王者の強さを見せつけながら、ブラジルのリベンジを許してしまったスペインの母国メディアでは、マドリードのスポーツ紙『MARCA』が「ブラジルの見事な勝利」と題した記事で、「ブラジルはスペインの機動力を妨ぐために個々のマークと高いプレッシングラインを設定。開始6分でオウンゴールでの得点という利益を得ると、『カナリーニャ』は遠慮なく自分たちのゲームプランを遂行することができ、そのカウンターはスペイン守備陣にとって毎回悪夢となった」と、対戦相手を称えた。
 
 同メディアはまた、大崩れして初の金メダル獲得の夢が潰えた自チームについては「スペインは弱く、遅く、無能であり、混乱して苛立ち、運という変わりやすい要素に左右されるチームのように見えた。この日は何もかも上手くいかず、良いゲームコントロールも見られず、重要な局面ではデュエルに敗れ、危険なエリアでの正しい判断も見られなかった。ジェニ(・エルモソ)のペナルティーエリア外からのシュートだけが、奇跡を夢見させた」と酷評している。

 スペイン・メディアも完敗を認めざるを得なかった一戦だが、これを受け入れることができない者も存在する。そのひとりが、前述の『MARCA』紙の記事にも登場したエルモソで、この34歳のベテランFWは、自国のラジオ局『COPE』に対して、「最終的にはゴールが全て。(敗北は)私たちのミスだと思う。私たちは本来のサッカーができなかった。後半の自分たちのサッカーには満足しているけど、リードされた状況では難しかった」と反省の弁を述べながらも、自らの行く手を阻んだ相手チームへの苛立ちも隠せなかった。

「サッカーをしていないチームから4ゴールも取られるなんて……。ブラジルは私たちを研究し、どうやって痛めつけるかを分かっており、DFラインの裏側を狙ってきた。私にとって、それはサッカーじゃないし、あんなのは好きじゃない。そして、明らかにブラジルは意図的に時間を稼ぎ、試合の進行を遅らせた。それは、彼女たちにとっては有効だった。結果、ブラジルは決勝に進み、私たちは銅メダルを目指すことになった」

 このコメントを紹介したブラジルの総合メディア『Globo』は「苛立ったスペインの背番号10は、ブラジルに対して批判的な態度を示した」と綴るに止まり、すでに関心を決勝に向け、過去42回の対戦で4勝5分け33敗と大きく負け越し、最後の勝利は10年前(2014年12月)という米国相手に、2004年アテネ大会、08年北京大会と連続して決勝で敗れた屈辱を晴らすことを期待している。

構成●THE DIGEST編集部

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