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海外サッカー

4年連続で選手登録問題に直面するバルサ、地元の記者や識者からは“いい加減にしろ感”満載の苦言が続出!「計画性がまるでない」「同じ罠にはめられている」

下村正幸

2024.08.21

今夏の補強の目玉であるダニ・オルモもまだ選手登録できていない。(C)Getty Images

今夏の補強の目玉であるダニ・オルモもまだ選手登録できていない。(C)Getty Images

 もはやこの時期の風物詩になってしまっている。

 またしてもバルセロナが選手登録に悪戦苦闘している。今夏もイニゴ・マルティネス、パウ・ビクトル、マルク・カサド、パブロ・トーレの登録を完了したのはラ・リーガ開幕節(バレンシア戦)を翌日に控えた8月16日だった。補強の目玉であるダニ・オルモにいたってはいまだ登録できていない。

 振り返れば、この問題はロナルド・クーマンがチームを率いていた2021年夏に始まった。当時はジェラール・ピケが年俸カットに応じ、メンフィス・デパイら新戦力をなんとか登録することができたが、ジョアン・ラポルタが同年3月に会長に復任したことを踏まえると、現政権が誕生して以来、4年間ずっと同じ状況が続いていることになる。これは、クラブの舵取りを託されてから3年以上が経過したにもかかわらず、財政状況が改善されていない、なによりの証左だ。

 ラポルタ政権批判の急先鋒として知られるスペイン人ジャーナリストのマルサル・ロレンテ氏も、この惨状について、「資産を切り売りして、向こう何十年の収入を抵当に入れたにもかかわらず、負債総額を膨れ上がらせた。おかげでファイナンシャル・フェアプレーに抵触し、選手登録で苦労する状況が4年も続いている。いい加減にしてほしい。『前政権の負の遺産のせいだ』というお決まりのフレーズは、もはや通用しない」と苦言を呈する。

 一方、スペイン紙『スポルト』のコラムで、「この選手登録を巡る問題は、行き当たりばったりの経営の一端を示す好例だ」と指摘するのは、作家でクレ(バルサファン)であることを公言するウーゴ・スコッシア氏だ。

「外から見ていると、今のバルサには計画性がまるでない印象を受ける。この未熟なやり方は、幻想を売り続けるだけ売り続け、どんな戦略も描けなくなった瀬戸際の局面で、現実の世界を知らされることに基づいている。厄介なのは、その時に我々に与えられる手札が悪いだけでなく、プレーしている人間(クラブ幹部)がそのゲームの仕方を知らないことだ」
 
 ラポルタは、第1次政権期(2003~2010年)に黄金時代を築いた栄光の再現を夢見るソシオの期待を受けて会長に再選出された。リオネル・メッシやシャビらレジェンドを無下に扱い、経営の透明性が担保できていないと指摘されても強権を発動し続けることができるのも、この過去の威光があるからだが、スコッシア氏は「我々は考え方を改めるべきだ」と主張する。

「毎年我々は同じ罠にはめられている。もはや過去の成功体験にとらわれて寛容になることも、慈悲深くなることもできないし、そうすべきではない。手遅れになる前に、現政権に真剣さと計画性を要求する必要がある。もしラポルタがラポルタでなかったら、とっくの昔に追放され、スタジアムの貴賓席からではなく、自宅のソファで試合を観戦していたはずなのだから」

 スコッシア氏のこのコラムが配信されたのは8月15日。それから約1週間が経過し、現在バルサの周辺ではダニ・オルモの選手登録問題に絡んで、イルカイ・ギュンドアンの放出話で持ちきりだ。

 現地のメディアは、「ハンジ・フリックの監督就任を境に、チーム内での序列が下がったことで選手本人が退団を申し出た」と報じている。その決断の背景にクラブからの圧力がどこまで作用したのかは定かではないが、問題は、またしても瀬戸際の局面でゴタゴタ劇を繰り返している点だ。スコッシア氏が訴える計画性のあるクラブ運営は、今のところ夢物語だ。

文●下村正幸

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