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海外サッカー

セスク監督率いる昇格組コモ、トップ10入りでセリエA序盤戦のサプライズに「主導権を握って戦うアクティブで攻撃的なスタイルが、着実に形になりつつある」【現地発コラム】

片野道郎

2024.10.01

昨シーズンの暫定監督、助監督を経て、今シーズンから正式監督に就任したセスク。志向するサッカーは、ミケル・アルテタやシャビ・アロンソら世代の近いスペイン人監督と共通する点が多い。(C)Getty Images

昨シーズンの暫定監督、助監督を経て、今シーズンから正式監督に就任したセスク。志向するサッカーは、ミケル・アルテタやシャビ・アロンソら世代の近いスペイン人監督と共通する点が多い。(C)Getty Images

 セリエAは開幕から6試合を消化した。例年、シーズン序盤は開幕後の8月末まで続く移籍マーケットのドタバタによるチーム編成の遅れや、新監督を招いたクラブの戦術浸透度の低さなどから、番狂わせやサプライズが起こりがち。今シーズンは、ウディネーゼやトリノといった地方クラブが単独首位に立つ珍しい状況があった。

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 とはいえ、シーズンが進むにつれて順位表が徐々に固まり、どのチームもほぼ収まるべきところに収まるのが常だ。実際に今シーズンも、6節を消化した現時点で首位ナポリ(勝点13)、2位ユベントス(同12)、得失点差で3位にミラン(同11)、4位にインテル(同11)と、まずまず順当な並びになってきている。

 その中でサプライズと言えるのは、ミラン、インテルと並んで勝点11のトリノ、ユベントスとともにここまで無敗を保ち勝点10で6位のエンポリ、開幕4試合で3勝を挙げて一時は単独首位に立ったウディネーゼ、そしてとりわけ注目したいのが、昇格組ながら直近2連勝でトップ10に入ってきたコモだ。

 チームを率いるのはセスク・ファブレガス。アーセナル、バルセロナ、チェルシーとトップクラブを渡り歩いてその中盤を支え、スペイン代表としてワールドカップ1回、EURO2回の優勝に貢献した「あの」セスクだ。
 
 2019年にチェルシーからモナコに移籍した後、35歳になった22年にキャリア最後の舞台として選んだのが、当時セリエBのコモだった。選手としては1シーズンで引退したものの、その後すぐに指導者に転身し、1年目の昨シーズン途中に下部組織のプリマベーラ(Uー19)指揮官からトップチームの暫定監督に内部昇格。

 ライセンスの関係上、暫定期間の1か月が終わった後は、名目上の監督を迎えてアシスタントコーチとして支える体裁を取りながら、実質的な指揮官として振る舞った。就任時点で6位だったコモを優勝したパルマに次ぐ2位にまで引き上げて、21年ぶりのセリエA昇格をもたらした。

 コモのオーナーは、インドネシア三大財閥のひとつジャルムグループを率いる億万長者ハルトノ家。コモをビッグクラブに成長させたい強い野心を持っており、22年のセスクの獲得は選手として以上に、引退後の監督への転身をサポートし、チーム強化はもちろんコモというクラブの成長・発展につながる中期的なプロジェクトの中核という含みを持っていた。

 実際にセスクは、22年の加入時に単なる選手としてだけでなく、アーセナル時代の「戦友」ティエリ・アンリを誘う形で少数株主としてクラブに出資もしている。そして監督就任1年目から期待に応えて、というよりも期待を上回る仕事を見せてチームをセリエA昇格に導き、37歳のリーグ最年少監督として今シーズンの開幕を迎えた。
 
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