約2か月前にマンチェスター・シティとの契約を延長したジョゼップ・グアルディオラ監督は、スポーツディレクター(SD)のアイトール・ベギリスタインからある報告を受けると、「もう1度言ってくれ」と驚いた様子で聞き返したという。
【動画】三笘がマンU戦で大暴れ!1ゴール・1アシストの活躍
そう、アーリング・ハーランドが契約を2034年6月まで延長した件に関してだ。実際、衝撃の度合い
は、同じく大きな驚きをもって受け止められた指揮官の契約延長をさらに上回る。まず期間が異なる。グアルディオラの2年に対し、ハーランドは2027年6月に満了する契約を7年延長。そのとき、ハーランドは33歳になっている。
さらにグアルディオラの時も指摘されたが、クラブは今なお、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)違反疑惑の渦中にある。おまけにチームはグアルディオラ体制では初の公式戦5連敗を喫するなど、今シーズンはプレミアリーグでもチャンピオンズリーグでも低空飛行を続けている。
公表されてはいないが、英紙『The Guardian』によると、新契約でハーランドは週給60万ユーロ(約9700万円)程度、年俸にするとおよそ3000万ユーロ(約48億円)を受け取るという。サッカー界においては極めて異例の長期契約だ。
ハーランドの決断の背景には何があったのか。スペイン紙『AS』のアリツ・ガビロンド記者が指摘するのが、グアルディオラ監督の存在。そしてもうひとつが昨夏のキリアン・エムバペのレアル・マドリー加入だ。
「マドリーにはキリアン・エムバペとヴィニシウス・ジュニオールが、バルセロナにはラミン・ヤマルがいる。ハーランドはバロンドールを獲得するには、グアルディオラ監督と彼のプロジェクトにキャリアを委ねるしかないと考えた。だからグアルディオラ監督が契約を延長した後、すぐに続いた。エムバペが新プロジェクトの目玉としてサンティアゴ・ベルナベウに降り立ったとき、すでにその認識が広がっていたが、これでマドリーへの扉は閉ざされた」
一方、ジャーナリスト兼作家のジョアン・カニェテ・ベイル氏はさらに踏み込んで、シティとハーランドの異質性に言及する。
「ハーランドのケースは、ビジネスが活況を呈するサッカー界において、大金を手にしながら、クラブとファンをリスペクトしてキャリアを過ごすことが可能であることを示している。感傷的な価値を高めることの重要性を証明した。競争力を維持し、ファンとの絆を強めるためには不可欠なことで、それがひいてはサッカーへの理解を深め、ビジネスの可能性を広げることにも繋がる。近年シティが進めてきた経営戦略を振り返ると、多方面においてお金を油水のように使う、例えばパリ・サンジェルマンのようなクラブとは対極に位置するところを通って現在の道に至ることが分かる。ハーランドもまた一線を画した価値観を持った選手であることを示した」
もちろん長期契約は大きなリスクだ。スポーツに怪我は付き物だし、将来を保証された選手がモチベーションを低下させるケースは少なくない。しかしシティは、グアルディオラ監督が「日々、見せているコミットメントは実証済みだ」と太鼓判を押す高いプロ精神にかけ、ハーランドはシティと一蓮托生の関係を続けることを選んだ。
ここで忘れてならないのは、このふたつの契約達成に寄与したベギリスタインSDの存在だ。自身は昨年10月に今シーズン限りでの退任を発表したが、可能な限りの置き土産を残そうと、その最後の日まで、後任に就くことが決定しているウーゴ・ヴィアナとの二人三脚でチーム強化に取り組んでいる。前出の『AS』紙ガビロンド記者は「現サッカー界で最高のマネージャー」とその手腕を絶賛する。
文●下村正幸
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そう、アーリング・ハーランドが契約を2034年6月まで延長した件に関してだ。実際、衝撃の度合い
は、同じく大きな驚きをもって受け止められた指揮官の契約延長をさらに上回る。まず期間が異なる。グアルディオラの2年に対し、ハーランドは2027年6月に満了する契約を7年延長。そのとき、ハーランドは33歳になっている。
さらにグアルディオラの時も指摘されたが、クラブは今なお、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)違反疑惑の渦中にある。おまけにチームはグアルディオラ体制では初の公式戦5連敗を喫するなど、今シーズンはプレミアリーグでもチャンピオンズリーグでも低空飛行を続けている。
公表されてはいないが、英紙『The Guardian』によると、新契約でハーランドは週給60万ユーロ(約9700万円)程度、年俸にするとおよそ3000万ユーロ(約48億円)を受け取るという。サッカー界においては極めて異例の長期契約だ。
ハーランドの決断の背景には何があったのか。スペイン紙『AS』のアリツ・ガビロンド記者が指摘するのが、グアルディオラ監督の存在。そしてもうひとつが昨夏のキリアン・エムバペのレアル・マドリー加入だ。
「マドリーにはキリアン・エムバペとヴィニシウス・ジュニオールが、バルセロナにはラミン・ヤマルがいる。ハーランドはバロンドールを獲得するには、グアルディオラ監督と彼のプロジェクトにキャリアを委ねるしかないと考えた。だからグアルディオラ監督が契約を延長した後、すぐに続いた。エムバペが新プロジェクトの目玉としてサンティアゴ・ベルナベウに降り立ったとき、すでにその認識が広がっていたが、これでマドリーへの扉は閉ざされた」
一方、ジャーナリスト兼作家のジョアン・カニェテ・ベイル氏はさらに踏み込んで、シティとハーランドの異質性に言及する。
「ハーランドのケースは、ビジネスが活況を呈するサッカー界において、大金を手にしながら、クラブとファンをリスペクトしてキャリアを過ごすことが可能であることを示している。感傷的な価値を高めることの重要性を証明した。競争力を維持し、ファンとの絆を強めるためには不可欠なことで、それがひいてはサッカーへの理解を深め、ビジネスの可能性を広げることにも繋がる。近年シティが進めてきた経営戦略を振り返ると、多方面においてお金を油水のように使う、例えばパリ・サンジェルマンのようなクラブとは対極に位置するところを通って現在の道に至ることが分かる。ハーランドもまた一線を画した価値観を持った選手であることを示した」
もちろん長期契約は大きなリスクだ。スポーツに怪我は付き物だし、将来を保証された選手がモチベーションを低下させるケースは少なくない。しかしシティは、グアルディオラ監督が「日々、見せているコミットメントは実証済みだ」と太鼓判を押す高いプロ精神にかけ、ハーランドはシティと一蓮托生の関係を続けることを選んだ。
ここで忘れてならないのは、このふたつの契約達成に寄与したベギリスタインSDの存在だ。自身は昨年10月に今シーズン限りでの退任を発表したが、可能な限りの置き土産を残そうと、その最後の日まで、後任に就くことが決定しているウーゴ・ヴィアナとの二人三脚でチーム強化に取り組んでいる。前出の『AS』紙ガビロンド記者は「現サッカー界で最高のマネージャー」とその手腕を絶賛する。
文●下村正幸
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