2月18日に行なわれたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のノックアウトフェーズ・プレーオフ第2レグ、フェイエノールトと対戦したミランは1ー1の引き分けに終わり、0ー1で敗れた第1レグと合わせて2試合合計1ー2で敗退、ベスト16進出を逃した。
この日は同じイタリア勢のアタランタも、クラブ・ブルージュに1ー3(2試合合計2ー5)で敗れて姿を消し、翌19日もユベントスがPSVに2試合合計3ー4で敗退。出場5チーム中、ベスト16に生き残ったのは、リーグフェーズを4位で終えて直接進出を決めていたインテルただ1チームという惨憺たる結果に終わった。
そのなかでもミランの敗退は、「ベスト16をドブに捨てた」という強い言い方すらできるほど自滅的なものだった。開始直後に先制点を挙げて2試合合計のスコアを1ー1の振り出しに戻し、その後も一方的に攻勢に立って決定機を生み出していたにもかかわらず、後半開始早々にテオ・エルナンデズがつまらないシミュレーションで2枚目のイエローカードをもらって退場。それまでのいい流れをぶち壊しにしてしまったのだ。
しかも、10人になって以降は、戦術的にもメンタル的にも十分な反発力を見せられないまま、2試合合計1ー2となる同点ゴールを相手に許し、延長戦に持ち込むことすらできずに試合終了。今シーズンの開幕以来、監督交代を間に挟んでも今なお引きずり続けているパフォーマンスの不安定さ、困難に直面した際のレジリエンス(精神的回復力)の不足といった、戦力や戦術とは異なるレベルの欠点を改めて露呈する格好となった。
前半は、すべてが狙い通りに進んでいるように見えた。セルジオ・コンセイソン監督は、クリスチャン・プリシック、ラファエウ・レオンの両ウイングに、CFサンティアゴ・ヒメネス、トップ下のジョアン・フェリックスと冬の移籍マーケットで獲得した新戦力を加えた4人のアタッカーを同時にピッチに送り出した。
6日前の第1レグで初めて試された時に、ほとんど機能していないように見えたこの布陣は、しかしキックオフ直後のアクションでコーナーキックを奪うと、そこからのプレーでヒメネスが頭でねじ込んで開始わずか38秒で先制。その後もフェイエノールトを敵陣に押し込め、主導権を握って攻め続けた。
第1レグとの違いは、中盤からバランサー役のユースフ・フォファナを外して(スタメン落ちは今シーズン初)ティジャニ・ラインデルス、ユヌス・ムサというダイナミズムを備えたMFを2枚並べたこと。同時に、ボール保持時には最終ラインを思い切って押し上げ、チームの重心を高く保った。これによって攻撃の圧力だけでなく、ボールロスト時のゲーゲンプレッシングの強度も高まり、敵陣でのボール奪取やセカンドボール回収が増加し、ほぼ完全に試合をコントロールしていた。
とくに強力だったのが左サイドからの仕掛けだ。大外に開いたレオンやテオがサイドチェンジをフリーで受け、そこからドリブルやコンビネーションで仕掛けて相手を困難に陥れる場面が何度も繰り返された。追加点こそ奪えなかったものの、前半はボール支配率60%ー40%、シュート数11本ー2本(枠内4本ー0本)、コーナーキック3本ー0本の数字が示す通り、完全にミランのペースだった。
そして後半も開始直後から同じようにミランが攻勢に立ち、開始早々、やはり左からレオンとテオが仕掛けて、最後はカイル・ウォーカーがシュートを放つ決定機を作り出す。5万人以上のミラニスタで埋まったサン・シーロには、2試合合計でも勝ち越しとなる2点目が決まるのは時間の問題、という空気が濃厚に漂っていた。
それを一変させたのが、テオの退場劇である。テオは前半終了間際の44分に、ピッチ中央付近でドリブルするアニス・ハジ・ムサのシャツを後ろから掴んでこれ見よがしに引きずり倒す、まったく無意味なファウルで1枚目のイエローカードをもらっていた(しかも、累積警告で次戦出場停止にリーチがかかっている状況だった)。
そして51分、自陣からの速攻で左サイドを持ち上がるレオンを追い越しながらペナルティーエリアに進入し、そのレオンからのパスを受けようとするタイミングで、タックルに来たDFジバイロ・レアドに躓くような形で転倒する。それを後方から見ていたシモン・マルチニアク主審は、躊躇なく2枚目のイエローカード、続いてレッドカードを提示する。リプレー映像は、接触がまったくないにもかかわらず自らつんのめって倒れたテオの姿をはっきりと映し出していた。
この転倒がシミュレーションにあたるかどうかは議論の余地もあるだろう。しかしイエローカードを1枚もらっている状況で見せるべきプレーでないことは確かだ。1枚目のイエローをもたらした馬鹿げたファウルも含めて、重要な試合の緊迫した状況のなかで、十分な感情のコントロールを保つ能力に欠けていることを改めて示した格好だった。
【動画】ミラン対フェイエノールトのハイライト!
この日は同じイタリア勢のアタランタも、クラブ・ブルージュに1ー3(2試合合計2ー5)で敗れて姿を消し、翌19日もユベントスがPSVに2試合合計3ー4で敗退。出場5チーム中、ベスト16に生き残ったのは、リーグフェーズを4位で終えて直接進出を決めていたインテルただ1チームという惨憺たる結果に終わった。
そのなかでもミランの敗退は、「ベスト16をドブに捨てた」という強い言い方すらできるほど自滅的なものだった。開始直後に先制点を挙げて2試合合計のスコアを1ー1の振り出しに戻し、その後も一方的に攻勢に立って決定機を生み出していたにもかかわらず、後半開始早々にテオ・エルナンデズがつまらないシミュレーションで2枚目のイエローカードをもらって退場。それまでのいい流れをぶち壊しにしてしまったのだ。
しかも、10人になって以降は、戦術的にもメンタル的にも十分な反発力を見せられないまま、2試合合計1ー2となる同点ゴールを相手に許し、延長戦に持ち込むことすらできずに試合終了。今シーズンの開幕以来、監督交代を間に挟んでも今なお引きずり続けているパフォーマンスの不安定さ、困難に直面した際のレジリエンス(精神的回復力)の不足といった、戦力や戦術とは異なるレベルの欠点を改めて露呈する格好となった。
前半は、すべてが狙い通りに進んでいるように見えた。セルジオ・コンセイソン監督は、クリスチャン・プリシック、ラファエウ・レオンの両ウイングに、CFサンティアゴ・ヒメネス、トップ下のジョアン・フェリックスと冬の移籍マーケットで獲得した新戦力を加えた4人のアタッカーを同時にピッチに送り出した。
6日前の第1レグで初めて試された時に、ほとんど機能していないように見えたこの布陣は、しかしキックオフ直後のアクションでコーナーキックを奪うと、そこからのプレーでヒメネスが頭でねじ込んで開始わずか38秒で先制。その後もフェイエノールトを敵陣に押し込め、主導権を握って攻め続けた。
第1レグとの違いは、中盤からバランサー役のユースフ・フォファナを外して(スタメン落ちは今シーズン初)ティジャニ・ラインデルス、ユヌス・ムサというダイナミズムを備えたMFを2枚並べたこと。同時に、ボール保持時には最終ラインを思い切って押し上げ、チームの重心を高く保った。これによって攻撃の圧力だけでなく、ボールロスト時のゲーゲンプレッシングの強度も高まり、敵陣でのボール奪取やセカンドボール回収が増加し、ほぼ完全に試合をコントロールしていた。
とくに強力だったのが左サイドからの仕掛けだ。大外に開いたレオンやテオがサイドチェンジをフリーで受け、そこからドリブルやコンビネーションで仕掛けて相手を困難に陥れる場面が何度も繰り返された。追加点こそ奪えなかったものの、前半はボール支配率60%ー40%、シュート数11本ー2本(枠内4本ー0本)、コーナーキック3本ー0本の数字が示す通り、完全にミランのペースだった。
そして後半も開始直後から同じようにミランが攻勢に立ち、開始早々、やはり左からレオンとテオが仕掛けて、最後はカイル・ウォーカーがシュートを放つ決定機を作り出す。5万人以上のミラニスタで埋まったサン・シーロには、2試合合計でも勝ち越しとなる2点目が決まるのは時間の問題、という空気が濃厚に漂っていた。
それを一変させたのが、テオの退場劇である。テオは前半終了間際の44分に、ピッチ中央付近でドリブルするアニス・ハジ・ムサのシャツを後ろから掴んでこれ見よがしに引きずり倒す、まったく無意味なファウルで1枚目のイエローカードをもらっていた(しかも、累積警告で次戦出場停止にリーチがかかっている状況だった)。
そして51分、自陣からの速攻で左サイドを持ち上がるレオンを追い越しながらペナルティーエリアに進入し、そのレオンからのパスを受けようとするタイミングで、タックルに来たDFジバイロ・レアドに躓くような形で転倒する。それを後方から見ていたシモン・マルチニアク主審は、躊躇なく2枚目のイエローカード、続いてレッドカードを提示する。リプレー映像は、接触がまったくないにもかかわらず自らつんのめって倒れたテオの姿をはっきりと映し出していた。
この転倒がシミュレーションにあたるかどうかは議論の余地もあるだろう。しかしイエローカードを1枚もらっている状況で見せるべきプレーでないことは確かだ。1枚目のイエローをもたらした馬鹿げたファウルも含めて、重要な試合の緊迫した状況のなかで、十分な感情のコントロールを保つ能力に欠けていることを改めて示した格好だった。
【動画】ミラン対フェイエノールトのハイライト!
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