3月16日に開催されたイタリア・セリエA第29節、ベルガモのゲヴィス・スタジアムで行なわれた首位攻防戦のアタランタ対インテルは、首位インテルが2ー0で勝利し、3位アタランタを勝点差6まで突き放した。
同日に2位ナポリがヴェネツィアと引き分けて勝点2を取りこぼしたことから、この試合が始まる時点での勝点はインテルとナポリが61、アタランタが58。もしアタランタが勝てば、残り9試合の時点で3チームが勝点61で並ぶ三つ巴の状況が生まれるところだった。
過去2シーズンの優勝を分け合ってきたインテル、ナポリとは異なり、アタランタはもともと一介の「プロヴィンチャーレ」(地方都市の中小クラブ)に過ぎない。昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)優勝をはじめ、2018ー19から20ー21まで3シーズン連続で3位に入るなど、近年はセリエAと欧州カップ戦の双方で好成績を収めてきたとはいえ、スクデット(セリエA優勝チームが胸につけるトリコロールのエンブレム)の可能性がここまで現実味を帯びるのは、過去には一度もなかったことだ。
本来ならば当然優勝争いに絡んでいるはずのユベントス、ミランがそれぞれの理由で不振に陥り、インテル、ナポリも独走態勢を築けなかったことで、アタランタにも優勝の可能性が生まれた今シーズンは、文字通り千載一遇のチャンスである。それだけに、ベルガモの人々がこの試合にかける期待は大きかった。
それが象徴的に表われていたのが、試合前にゴール裏のウルトラスが掲げた、この2つの横断幕だ。
「夢を実現できないことは問題ではない。問題はそれを信じなかったことだ。最後の最後まで」「針と糸は抽き出しに用意してある。それを胸に縫い付けるためのファイナル10試合!」
「スクデットを胸に縫い付ける」という「夢」に最も近いところに立っているのは、チームを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督も同じだった。就任9年目、この1月に67歳を迎えた指揮官は、20年を超えるキャリアの大半をジェノア、アタランタというプロヴィンチャーレで送ってきた。唯一ビッグクラブを率いるチャンスを得た11ー12シーズンのインテル(長友佑都も在籍していた)では、開幕わずか3試合で解任の憂き目に遭っている。
アグレッシブなハイプレスとマンツーマンディフェンスに基盤を置いた特徴的な3ー4ー3システムによる独自の攻撃サッカーを奉じ、4バックのゾーンディフェンスとポジショナルプレーが主流となるなかでも時流に流されることなく、我が道を追求し続けてきた指揮官には今、時代の追い風が吹いている。チャンピオンズリーグ(CL)ではプレーオフで伏兵クラブ・ブルージュに苦杯をなめたものの、それだけになおさらスクデット争いへの野心は大きかった。
【動画】セリエA上位対決となったアタランタ対インテルのハイライト!
しかし試合が始まってみれば、アタランタは本来の持ち味をなかなか発揮できないまま、中盤での一進一退の攻防に終始する不本意な展開を強いられることになった。大きな理由は、インテルが思い切ったマンツーマンハイプレスでアタランタのビルドアップを阻害してきたことだ。
インテルはホームのアタランタにボールを委ねて受けに回る慎重策を選ぶのではないかという戦前の予想とは裏腹に、シモーネ・インザーギ監督は相手と同じ武器(マンツーマンハイプレス)を使って正面から力比べを挑む道を選んだ。この積極的かつ自信に満ちた振る舞いを前に、アタランタは後方からのビルドアップを諦め、ロングキックからセカンドボールを狙う「次善の策」に甘んじなければならなかった。
最初に大きな決定機を作り出したのはインテル。7分にマルキュス・テュラムがラウタロ・マルティネスとの縦のパス交換からうまく裏に抜け出し、GKとの1対1から左足でシュートを打ったが、右ポストに弾かれて得点ならず。アタランタも18分にマリオ・パシャリッチが左からのクロスにヘディングで合わせたが、インテルGKヤン・ゾマーのファインセーブに阻まれた。
その後も中盤を舞台にインテンシティーの高い攻防が続いたが、双方とも決定的なチャンスを作れないまま前半が終了。そして試合が動いたのは、後半開始から間もない54分のことだった。
ハカン・チャルハノールのコーナーキックにカルロス・アウグストが頭で合わせてインテルが先にゴールネットを揺らしたのだ。インテルがこのCKを得た直後、体調不良を訴えた観客を救護するため試合が中断するアクシデントが発生し、6分後にプレーが再開された直後の得点だった。アタランタ守備陣がC・アウグストを完全にフリーにしてしまったのは、この中断で途切れた集中力を取り戻せなかったからかもしれない。
同日に2位ナポリがヴェネツィアと引き分けて勝点2を取りこぼしたことから、この試合が始まる時点での勝点はインテルとナポリが61、アタランタが58。もしアタランタが勝てば、残り9試合の時点で3チームが勝点61で並ぶ三つ巴の状況が生まれるところだった。
過去2シーズンの優勝を分け合ってきたインテル、ナポリとは異なり、アタランタはもともと一介の「プロヴィンチャーレ」(地方都市の中小クラブ)に過ぎない。昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)優勝をはじめ、2018ー19から20ー21まで3シーズン連続で3位に入るなど、近年はセリエAと欧州カップ戦の双方で好成績を収めてきたとはいえ、スクデット(セリエA優勝チームが胸につけるトリコロールのエンブレム)の可能性がここまで現実味を帯びるのは、過去には一度もなかったことだ。
本来ならば当然優勝争いに絡んでいるはずのユベントス、ミランがそれぞれの理由で不振に陥り、インテル、ナポリも独走態勢を築けなかったことで、アタランタにも優勝の可能性が生まれた今シーズンは、文字通り千載一遇のチャンスである。それだけに、ベルガモの人々がこの試合にかける期待は大きかった。
それが象徴的に表われていたのが、試合前にゴール裏のウルトラスが掲げた、この2つの横断幕だ。
「夢を実現できないことは問題ではない。問題はそれを信じなかったことだ。最後の最後まで」「針と糸は抽き出しに用意してある。それを胸に縫い付けるためのファイナル10試合!」
「スクデットを胸に縫い付ける」という「夢」に最も近いところに立っているのは、チームを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督も同じだった。就任9年目、この1月に67歳を迎えた指揮官は、20年を超えるキャリアの大半をジェノア、アタランタというプロヴィンチャーレで送ってきた。唯一ビッグクラブを率いるチャンスを得た11ー12シーズンのインテル(長友佑都も在籍していた)では、開幕わずか3試合で解任の憂き目に遭っている。
アグレッシブなハイプレスとマンツーマンディフェンスに基盤を置いた特徴的な3ー4ー3システムによる独自の攻撃サッカーを奉じ、4バックのゾーンディフェンスとポジショナルプレーが主流となるなかでも時流に流されることなく、我が道を追求し続けてきた指揮官には今、時代の追い風が吹いている。チャンピオンズリーグ(CL)ではプレーオフで伏兵クラブ・ブルージュに苦杯をなめたものの、それだけになおさらスクデット争いへの野心は大きかった。
【動画】セリエA上位対決となったアタランタ対インテルのハイライト!
しかし試合が始まってみれば、アタランタは本来の持ち味をなかなか発揮できないまま、中盤での一進一退の攻防に終始する不本意な展開を強いられることになった。大きな理由は、インテルが思い切ったマンツーマンハイプレスでアタランタのビルドアップを阻害してきたことだ。
インテルはホームのアタランタにボールを委ねて受けに回る慎重策を選ぶのではないかという戦前の予想とは裏腹に、シモーネ・インザーギ監督は相手と同じ武器(マンツーマンハイプレス)を使って正面から力比べを挑む道を選んだ。この積極的かつ自信に満ちた振る舞いを前に、アタランタは後方からのビルドアップを諦め、ロングキックからセカンドボールを狙う「次善の策」に甘んじなければならなかった。
最初に大きな決定機を作り出したのはインテル。7分にマルキュス・テュラムがラウタロ・マルティネスとの縦のパス交換からうまく裏に抜け出し、GKとの1対1から左足でシュートを打ったが、右ポストに弾かれて得点ならず。アタランタも18分にマリオ・パシャリッチが左からのクロスにヘディングで合わせたが、インテルGKヤン・ゾマーのファインセーブに阻まれた。
その後も中盤を舞台にインテンシティーの高い攻防が続いたが、双方とも決定的なチャンスを作れないまま前半が終了。そして試合が動いたのは、後半開始から間もない54分のことだった。
ハカン・チャルハノールのコーナーキックにカルロス・アウグストが頭で合わせてインテルが先にゴールネットを揺らしたのだ。インテルがこのCKを得た直後、体調不良を訴えた観客を救護するため試合が中断するアクシデントが発生し、6分後にプレーが再開された直後の得点だった。アタランタ守備陣がC・アウグストを完全にフリーにしてしまったのは、この中断で途切れた集中力を取り戻せなかったからかもしれない。
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