レアル・マドリーの新監督に就任することが決定的なシャビ・アロンソに求められること、それは戦術的なアプローチからチームにバリエーションをもたらし、攻守両面でテコ入れを図る指導だ。キリアン・エムバペが加入した今シーズン、ヴィニシウス・ジュニオールとの連携の構築がスムーズに進まなかったことがクローズアップされているが、同じような現象はピッチ上のあちこちで見られた。
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息の合ったユニットと感じさせたのは、エムバペとジュード・ベリンガムをはじめ一握りで、今シーズンのマドリーはとにかく個の力で局面を打開する場面が多かった。オフ・ザ・ボール時にはさらにその傾向が顕著になり、それが失点増に繋がっていた。DFラインを中心に怪我人が続出していた影響ももちろんあるが、カルロ・アンチェロッティ監督の戦術・選手起用のいずれにおいても代り映えしない采配が組織の硬直化を招いていたことも事実だった。
フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、アロンソに期待される役割を「モダン化」と形容する。レバークーゼンでは、オートマチズムを追求しながら、連携を使って意図的にスペースを創出する多彩な攻撃を実現させた。一方、マドリーの選手たちは自由度の高い戦術的な枠組みで創造性を発揮するアナーキーさが特徴だ。
アンチェロッティ監督はその部分を強みに変えて昨シーズンまで好成績を残してきたが、ブランコ氏は「アロンソも選手の特長に合わせて戦い方を調整するだろう。レバークーゼンと同じやり方ができないことは十分承知の上で来るはずだ」と推察する。
エムバペとヴィニシウスの融合は大きなテーマとなるが、監督交代を境に飛躍が期待されるのが、アロンソの現役時代のポジションと同じ中盤の選手たちだ。中でも、前述のブランコ氏は、今シーズン尻上がりにパフォーマンスを上げたオーレリアン・チュアメニの名前を挙げる。「チュアメニはボールを受けた後、どこに出すかという判断がワンテンポ遅れる。ルカ・モドリッチやトニ・クロースのような先を読む力が備わっていないからだ。しかし、アロンソがポゼッションスタイルのサッカーを導入してプレーしやすい下地を作れば、フランス代表で見せているような展開力を発揮できるはずだ」
同じフランス人のエドゥアルド・カマビンガもブランコ氏が注目する中盤の選手の1人で、「アロンソなら中盤で彼の能力に合った役割、ポジションを見出すことができるはずだ」と切り出すと、同じくディベートに参加していたフリージャーナリストのアレックス・デ・ジャノ氏は、「アロンソの下で周りの状況を見てプレーする術を磨けば、ポテンシャルはあるだけに、面白い存在になれる」と付け加える。
アロンソのインテリジェンスの高さは、キャリア選択にも表われている。新指揮官の幼馴染で、当時、地元のライバルチームとして対戦したこともあるというスペイン紙『AS』のアリツ・ガビロンド記者は、「アロンソは、メガクラブへの登竜門と位置づけたレバークーゼンで、正真正銘のレジェンドになり、2年半の忘れられない時間を過ごした後、アディオスを告げた。彼は自分の望む形で、望むタイミングで去る。彼がプロセスとタイミングをコントロールする。選手時代も同様だった」と指摘する。
監督としてはメガクラブ初挑戦でその点を不安視する向きもあるが、スペイン紙『エル・パイス』は、「アロンソは自分のスタイルを押し付けようとはしない。選手たちよりも自分を低く位置付ける。そのような精神的なバランスは、彼のようなキャリアを持つ人物にとって、スター選手揃いのドレッシングルームで信頼を得るための礎となるだろう」というチェルシーのアナリストの言葉を紹介している。
新たな風を起こすべく、新進気鋭の指揮官が満を持して古巣の再生に挑む。
文●下村正幸
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フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、アロンソに期待される役割を「モダン化」と形容する。レバークーゼンでは、オートマチズムを追求しながら、連携を使って意図的にスペースを創出する多彩な攻撃を実現させた。一方、マドリーの選手たちは自由度の高い戦術的な枠組みで創造性を発揮するアナーキーさが特徴だ。
アンチェロッティ監督はその部分を強みに変えて昨シーズンまで好成績を残してきたが、ブランコ氏は「アロンソも選手の特長に合わせて戦い方を調整するだろう。レバークーゼンと同じやり方ができないことは十分承知の上で来るはずだ」と推察する。
エムバペとヴィニシウスの融合は大きなテーマとなるが、監督交代を境に飛躍が期待されるのが、アロンソの現役時代のポジションと同じ中盤の選手たちだ。中でも、前述のブランコ氏は、今シーズン尻上がりにパフォーマンスを上げたオーレリアン・チュアメニの名前を挙げる。「チュアメニはボールを受けた後、どこに出すかという判断がワンテンポ遅れる。ルカ・モドリッチやトニ・クロースのような先を読む力が備わっていないからだ。しかし、アロンソがポゼッションスタイルのサッカーを導入してプレーしやすい下地を作れば、フランス代表で見せているような展開力を発揮できるはずだ」
同じフランス人のエドゥアルド・カマビンガもブランコ氏が注目する中盤の選手の1人で、「アロンソなら中盤で彼の能力に合った役割、ポジションを見出すことができるはずだ」と切り出すと、同じくディベートに参加していたフリージャーナリストのアレックス・デ・ジャノ氏は、「アロンソの下で周りの状況を見てプレーする術を磨けば、ポテンシャルはあるだけに、面白い存在になれる」と付け加える。
アロンソのインテリジェンスの高さは、キャリア選択にも表われている。新指揮官の幼馴染で、当時、地元のライバルチームとして対戦したこともあるというスペイン紙『AS』のアリツ・ガビロンド記者は、「アロンソは、メガクラブへの登竜門と位置づけたレバークーゼンで、正真正銘のレジェンドになり、2年半の忘れられない時間を過ごした後、アディオスを告げた。彼は自分の望む形で、望むタイミングで去る。彼がプロセスとタイミングをコントロールする。選手時代も同様だった」と指摘する。
監督としてはメガクラブ初挑戦でその点を不安視する向きもあるが、スペイン紙『エル・パイス』は、「アロンソは自分のスタイルを押し付けようとはしない。選手たちよりも自分を低く位置付ける。そのような精神的なバランスは、彼のようなキャリアを持つ人物にとって、スター選手揃いのドレッシングルームで信頼を得るための礎となるだろう」というチェルシーのアナリストの言葉を紹介している。
新たな風を起こすべく、新進気鋭の指揮官が満を持して古巣の再生に挑む。
文●下村正幸
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