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「転機となる可能性のある勝利」 アンチェロッティ体制下での初白星でW杯本大会出場を決めたブラジル代表に母国メディアは賛辞と期待!

THE DIGEST編集部

2025.06.12

ヴィニシウス(左)のゴールでブラジルが勝利し、W杯出場を決めた。(C)Getty Images

 ブラジル代表は現地時間6月10日に行なわれた2026年北中米ワールドカップの南米予選第16節でパラグアイ代表を1-0で下し、勝点を25に伸ばしてストレートイン圏内の6位以上を確定させたことで、世界で唯一の全大会(23回)連続出場を継続している。

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 サンパウロでのホームゲーム、44分にラフィーニャの右サイドでの仕掛けから、こぼれ球を拾ったマテウス・クーニャが縦に抜け出してクロスを入れると、ゴール前に飛び込んだヴィニシウス・ジュニオールが合わせて先制ゴール。その後は追加点こそなかったものの、試合を優勢に進めながらリードを守り切り、3試合ぶりに白星を手にした。

 今予選では5敗を喫し、歴史的な不振の中で監督交代を繰り返すなど混乱の極みにあった「セレソン」。そんな中で5月に史上4人目となる外国人代表監督としてブラジルに到来した名将カルロ・アンチェロッティは、初陣となった5日前のエクアドル戦はスコアレスドローに終わったが、2戦目で初勝利を飾るとともに、予選突破という最初の成果を得ることとなった。

 先月までレアル・マドリーで共闘していたヴィニシウスのゴールで最初の一歩を刻んだイタリア人指揮官は、「良い試合だったと思う。特に前半は非常に良く、ボールポゼッションをしっかりとコントロールできた。後半はペースを落としたが、全体的に満足できる内容だった」と印象を明かし、攻守の良かった点について具体的に言及している。

「攻撃面ではクーニャ、ガブリエウ・マルチネッリ、ラフィーニャらが、良い連係を見せた。ヴァンデルソンは右サイドでパラグアイを押し込むのに大いに貢献した。彼らのプレーは非常に良かった。(守備では)チームが後方でも良い仕事をしたことで、失点せずに終われた。とりわけカゼミーロらMFが素晴らしいハードワークを見せてくれた」
 
 また、「サッカーには、ボールを持っている時も、持っていない時も『激しさ』が必要だ。常にプレッシャーをかけ続けることが重要で、相手に対して思い通りに試合を進めさせないようにしなければならない。そのためには選手は走り続け、チームのために犠牲を払うという、献身性と強い姿勢を持つ必要がある。この2試合で、チームはそれを示した」と、オフ・ザ・ボールの面にも賛辞を贈った。

 ブラジル到着からここまでを「全ての意味で素晴らしい15日間だった」と振り返ったアンチェロッティが果たした最初の仕事に対し、『Globo』は1993年のアメリカW杯予選ボリビア戦、2001年の日韓W杯予選パラグアイ戦同様、「転機」となる可能性のある勝利だったと報じている。

「今後、ブラジルが『主役を狙うチーム』へと進化する転機となる可能性を感じさせた。最少得点だったものの、攻撃陣が時折見せたプレーにはワクワク感があった――久しぶりのことだ。左サイドでマルチネッリとヴィニシウスが活発に動いてパラグアイの堅い守備を揺さぶり、中盤ではカゼミーロとブルーノ・ギマランイスが試合のリズムを支配し、ラフィーニャもゴールから離れた位置ながら、チームを引っ張ろうと積極的だった」

 そして同メディアは、「幾つかの面で『試合前よりも大きくなってピッチを去った』ことが、最大の収穫だ。それは控えめながらも、将来へと繋がる有望なものだ。新体制をスタートさせたばかりのアンチェロッティ監督にとって、この初陣は祝うべき内容だった。もちろん、彼が目指すレベルにはまだ程遠いものの、少しずつそのサッカーの理念が見え始めてきた」と、ポジティブに自国代表チームを評した。

 なおブラジルは今後、「6度目の世界王者」に向けて万全の準備をするべく、「様々な異なるタイプのチームとの対戦が必要」(同メディア)ということで、9月にW杯予選の残り2試合をチリ(ホーム)、ボリビア(アウェー)と争った後、10月にはアジア遠征を計画し、対戦相手は日本、韓国が想定されているという。続いて11月は欧州でアフリカ勢と、来年3月には欧州のトップレベルとのテストマッチを希望しており、本大会直前の6月は欧州の中堅クラス、そして北米のチームとの対戦を予定しているようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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