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海外サッカー

「才能あるベテランの居場所」モドリッチ、デ・ブライネが新天地に選んだセリエAは「最上でなくても魅力的な価値がある」英紙が評価

THE DIGEST編集部

2025.07.20

ミランに加入したモドリッチ(左)と、ナポリと契約したデ・ブライネ(右)。(C)Getty Images

ミランに加入したモドリッチ(左)と、ナポリと契約したデ・ブライネ(右)。(C)Getty Images

 レアル・マドリーでチャンピオンズリーグ6回制覇などの輝かしい成績を収め、クロアチア代表としても2018年ロシア・ワールドカップで準優勝を果たし、さらに自身も同年に個人賞の最高峰バロンドールを受賞したルカ・モドリッチが7月14日、イタリア・セリエAのミランに加入した。

1年+1年延長のオプション付き契約を結ぶなど、現役での活動に意欲を燃やしているモドリッチの新たな挑戦に、英国の日刊紙『The Guardian』が注目。30代後半までキャリアを継続する選手が増加している点について、「フィジカルコンディショニングの向上」「ポストキャリア支援の充実」と2つの理由を挙げている。

前者は「現在のサッカー選手は、より健康的な生活を送り、食事や栄養、リカバリーに対する理解が進んでいる。身体を破壊するような悪質なタックルも減少し、圧倒的な運動量を必要とする戦術にも対応できるようになってきた。加えて、スポーツ医学の発展により、以前なら致命的だった怪我も回復が可能になっている」という見解だ。

後者については「MLSやサウジ・プロリーグなどは、スター選手を迎える資力と環境が整っており、一定レベルの競技力と報酬を提供している。リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)やクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)のような選手のように、こうしたリーグでキャリアを続ける流れが一般化。ベテランでも競い続ける場が増えた」と説明している。

 9月9日に40歳を迎えるモドリッチは近年、90分間プレーすることは少なくなったものの、怪我は少なく、ピッチに立てば様々な形でチームに貢献。決定的なプレーも全く錆び付いていない。そんなモドリッチが新天地に選んだのは、米国やサウジアラビアではなく、自身が子どもの頃に憧れたミランだった。

「この決断は、モドリッチ個人にとって意義あるものというだけでなく、セリエAが『才能あるベテラン選手の居場所』として、揺るぎない地位を有していることを示すもの」との見解を同紙は示した。

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 モドリッチよりも先に、ナポリにはマンチェスター・シティで長く活躍した34歳のケビン・デ・ブライネが加入。インテルには36歳のヤン・ゾマー、37歳のフランチェスコ・アチェルビ、36歳のヘンリク・ムヒタリアンが健在で、アタランタでは34歳のマルテン・デ・ローンが相変わらず中盤の要として奮闘。ラツィオの37歳、ペドロ・ロドリゲスが二桁得点とベテラン選手の存在感が目立つセリエAの平均選手年齢は、欧州の主要31リーグの平均を14か月上回っているという。

 1980年代から2000年代前半に世界最高峰リーグと呼ばれた黄金期に比べ、現在のセリエAの地位は低下。資本力で欧州トップ10にイタリアのクラブは存在せず、ピッチ上でも2010年のインテル以降、この国から欧州王者は生まれていない(準優勝は4回)。それでも同紙は「MLSやサウジ・リーグより上位におり、今もスター選手は揃っているが、多くは『ピークを少し過ぎたベテラン』である」と評する。

 資本力で太刀打ちできないプレミアリーグのクラブに、有望な若手選手を引き抜かれるなど「かつての覇権は失った」リーグだが、同紙は「リーグの特徴を持つことが不可欠ななか、プレーのペースがやや緩やかで、ベテラン選手でも活躍できる点が魅力になっている」と指摘している。

「これは、スヌーカー(ビリヤードの一種)のトップ選手たちの多くが、10年、20年と長く活躍するのに似ている。運営側ではなく、とりわけ見る側に“安心感”をもたらす。ロメル・ルカク、スコット・マクトミネイ(いずれもナポリ)、ルベン・ロフタス=チーク(ミラン)といった選手たちが、セリエAで馴染みの顔として活躍を続けているのはその一例だ」

 デ・ブライネ、モドリッチについても、前者は「喧騒のプレミアリーグで中堅クラブに留まるより、ナポリでの新たな挑戦を選んだ」、後者は「MLSではなく、ミランという『少し落ち着いた、しかし歴史あるクラブ』でプレーする道を選んだ」とし、「全てが『激流のようなテンポ』である必要はなく、最上でなくても魅力的な価値がある」と、カルチョの国のリーグの良さを説明した。

 また、「ユベントスの支配(2011-12から19-20シーズンにかけて9連覇)が終わって以降、この5シーズンで3クラブが優勝(インテル、ミラン、ナポリ)、6クラブがトップ3(前述4クラブとアタランタ、ラツィオ)に食い込んでおり、多様で活気ある競争構造が育まれている」との魅力も指摘。セリエAやその各クラブが、他国の資本を受け入れ始めているだけでなく、独自の魅力を持ち続ける努力は選手やファンを惹きつけるうえで重要なのだ。

構成●THE DIGEST編集部

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