●ユベントス
ローマ、ナポリと同様に、攻撃陣の強化が期待されていたのが4位ユベントス。ポストプレーで前線の基準点となれるドゥシャン・ヴラホビッチが故障で長期離脱中、新戦力のジョナサン・デイビッド、ロイス・オペンダはともに、DFを背負うよりも前を向いてスペースに抜け出すのを得意とするタイプであるため、11月に途中就任したルチャーノ・スパレッティ監督は、ポストプレーヤータイプのCF補強を求めていた。
当初候補に上がっていたジャン=フィリップ・マテタ(クリスタル・パレス)、ユーセフ・エン=ネシリ(フェネルバフチェ)の獲得が条件面などで折り合わず不成立に終わり、補強のメドが立たないままデッドラインが近づいてきたところで候補に上ってきたのは、昨冬にパリ・サンジェルマンからレンタルで獲得した後、夏に獲得話が流れて半年で去ったフランス代表ランダル・コロ・ムアニ(トッテナム)。しかしこちらも、新たなレンタル先となっていたトッテナムが放出に難色を示して話が進まず、結局最大の補強ポイントだった基準点型CFは空席のままとなった。
ユベントスはこのウィンドウで、ケナン・ユルドゥズの控えが手薄だった左ウイングに元サッスオーロ、アタランタのジェレミー・ボガ(ニース)を、夏に獲得したジョアン・マリオが期待外れだった右SBにスウェーデン代表エミル・ホルム(ボローニャ)を、それぞれ買い取りオプションつきレンタルで補強している。財政上の制約から会計年度内の大型支出が困難となっており、支払いを来シーズン以降に先延ばしできるこの方式以外では補強が難しいという内部事情が、前線で狙い通りの補強が実現できない制約要因になった格好だった。
●ミラン
現時点で首位インテルの対抗勢力として一番手のポジションにいる2位ミランも、やはりCFの補強が今冬の大きなテーマだった。今シーズンから指揮を執るマッシミリアーノ・アッレーグリ監督は、本来左ウイングのラファエウ・レオンを3-5-2システムのCFにコンバートする大胆な施策で一定の成果を生み出しているが、対戦相手や試合状況によっては、前線で基準点となれる大型CFのオプションは必要不可欠というのが、前半戦を戦った結論だった。
すでに昨年末の段階でドイツ代表のベテランCFニクラス・フュルクルクを、ウェストハムから買い取りオプションつきレンタルで補強済みだった。そのフュルクルクは主に途中出場で試合の流れを変える、あるいはリードを守り切る駒として6試合に出場し、1ゴールを記録している。しかしミランはそれに飽き足らず、さらなる強化を目指して、移籍ウィンドウ終盤になってユベントスが獲り損ねたマテタの獲得に動いた。
レンタルではなく完全移籍という条件を提示したこともあって交渉は順調に進み、クリスタル・パレスとは移籍金3500万ユーロの完全移籍で、選手とも年俸300万ユーロ+ボーナスで、デッドライン前日には合意に到達した。しかし、その後のメディカルチェックで、膝に潜在的な故障を抱えていることが明らかになり、デッドラインデー当日になって獲得をキャンセルする結果に。ちなみにミランは夏にも、ヴィクター・ボニフェイス(当時レバークーゼン、現ブレーメン)の獲得を同じ理由で断念している。
●インテル
首位を走るインテルは、シーズンが順調に運んでいるうえ、陣容にも大きな穴がないため、積極的に補強を進めるというよりも、好条件で戦力を上積みできるチャンスがあれば動くというスタンスでこの移籍ウィンドウに臨んでいた。
その中で浮上してきたのが、かつて足かけ7年にわたって在籍し、現在はPSVでプレーする37歳のイバン・ペリシッチの復帰という案件。右のデンゼル・ドゥムフリースが足首の手術で長期離脱中なのに加え、左のカルロス・アウグストも故障がちと、やや手薄になっていたウイングバックの即戦力という位置付けで本人とも合意に達していたが、PSVが移籍を承諾しないため交渉が進まず、破談に終わった。
チーム強化を含めたクラブ経営の全権を握るジュゼッペ・マロッタ会長は、リスクを取って積極策に打って出るよりは、消極的に見えても手堅く足元を固めるタイプ。目先の戦力アップを望むサポーターからは不満を買いやすいが、結果としてピッチ上とピッチ外の双方で、複数年にわたって安定した結果を積み重ねる手腕の持ち主であることは、ユベントス時代からの実績が示す通り。
「修復のメルカート」での動きが少なかったという事実は、現時点で「修復」の必要がない水準までチームが固まっている、つまり夏のチーム編成が成功したということを意味する。その点では、夏に大型補強を行なったにもかかわらず、さらなる補強を必要とした他の4チームと比べて、よりポジティブなメルカートだったと言えるかもしれない。
文●片野道郎
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当初候補に上がっていたジャン=フィリップ・マテタ(クリスタル・パレス)、ユーセフ・エン=ネシリ(フェネルバフチェ)の獲得が条件面などで折り合わず不成立に終わり、補強のメドが立たないままデッドラインが近づいてきたところで候補に上ってきたのは、昨冬にパリ・サンジェルマンからレンタルで獲得した後、夏に獲得話が流れて半年で去ったフランス代表ランダル・コロ・ムアニ(トッテナム)。しかしこちらも、新たなレンタル先となっていたトッテナムが放出に難色を示して話が進まず、結局最大の補強ポイントだった基準点型CFは空席のままとなった。
ユベントスはこのウィンドウで、ケナン・ユルドゥズの控えが手薄だった左ウイングに元サッスオーロ、アタランタのジェレミー・ボガ(ニース)を、夏に獲得したジョアン・マリオが期待外れだった右SBにスウェーデン代表エミル・ホルム(ボローニャ)を、それぞれ買い取りオプションつきレンタルで補強している。財政上の制約から会計年度内の大型支出が困難となっており、支払いを来シーズン以降に先延ばしできるこの方式以外では補強が難しいという内部事情が、前線で狙い通りの補強が実現できない制約要因になった格好だった。
●ミラン
現時点で首位インテルの対抗勢力として一番手のポジションにいる2位ミランも、やはりCFの補強が今冬の大きなテーマだった。今シーズンから指揮を執るマッシミリアーノ・アッレーグリ監督は、本来左ウイングのラファエウ・レオンを3-5-2システムのCFにコンバートする大胆な施策で一定の成果を生み出しているが、対戦相手や試合状況によっては、前線で基準点となれる大型CFのオプションは必要不可欠というのが、前半戦を戦った結論だった。
すでに昨年末の段階でドイツ代表のベテランCFニクラス・フュルクルクを、ウェストハムから買い取りオプションつきレンタルで補強済みだった。そのフュルクルクは主に途中出場で試合の流れを変える、あるいはリードを守り切る駒として6試合に出場し、1ゴールを記録している。しかしミランはそれに飽き足らず、さらなる強化を目指して、移籍ウィンドウ終盤になってユベントスが獲り損ねたマテタの獲得に動いた。
レンタルではなく完全移籍という条件を提示したこともあって交渉は順調に進み、クリスタル・パレスとは移籍金3500万ユーロの完全移籍で、選手とも年俸300万ユーロ+ボーナスで、デッドライン前日には合意に到達した。しかし、その後のメディカルチェックで、膝に潜在的な故障を抱えていることが明らかになり、デッドラインデー当日になって獲得をキャンセルする結果に。ちなみにミランは夏にも、ヴィクター・ボニフェイス(当時レバークーゼン、現ブレーメン)の獲得を同じ理由で断念している。
●インテル
首位を走るインテルは、シーズンが順調に運んでいるうえ、陣容にも大きな穴がないため、積極的に補強を進めるというよりも、好条件で戦力を上積みできるチャンスがあれば動くというスタンスでこの移籍ウィンドウに臨んでいた。
その中で浮上してきたのが、かつて足かけ7年にわたって在籍し、現在はPSVでプレーする37歳のイバン・ペリシッチの復帰という案件。右のデンゼル・ドゥムフリースが足首の手術で長期離脱中なのに加え、左のカルロス・アウグストも故障がちと、やや手薄になっていたウイングバックの即戦力という位置付けで本人とも合意に達していたが、PSVが移籍を承諾しないため交渉が進まず、破談に終わった。
チーム強化を含めたクラブ経営の全権を握るジュゼッペ・マロッタ会長は、リスクを取って積極策に打って出るよりは、消極的に見えても手堅く足元を固めるタイプ。目先の戦力アップを望むサポーターからは不満を買いやすいが、結果としてピッチ上とピッチ外の双方で、複数年にわたって安定した結果を積み重ねる手腕の持ち主であることは、ユベントス時代からの実績が示す通り。
「修復のメルカート」での動きが少なかったという事実は、現時点で「修復」の必要がない水準までチームが固まっている、つまり夏のチーム編成が成功したということを意味する。その点では、夏に大型補強を行なったにもかかわらず、さらなる補強を必要とした他の4チームと比べて、よりポジティブなメルカートだったと言えるかもしれない。
文●片野道郎
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