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日本代表

ワクワクしかない久保建英の台頭。中島、南野、堂安の"ファーストセット"はもはや不動ではない

清水英斗

2019.09.06

久保が台頭してくれば、この原口もレギュラー争いに絡んでくるだろう。写真;徳原隆元

久保が台頭してくれば、この原口もレギュラー争いに絡んでくるだろう。写真;徳原隆元

 少なくとも現状、中島と久保を両サイドで起用するのは、あまり現実的ではない。守備の問題もあるが、それ以上にふたりともがボールプレーヤーであるため、ふたり同時にボールを欲しがれば、前線の連携が薄くなってしまう。両サイドで中島と堂安が保つ、絶妙なバランスは、中島と久保では成立しない。また、久保と堂安では利き足が被り、両サイドに配置できない。

 一方、原口と久保なら?

 右で作って左で仕留める。中島と堂安のセットが、左右反対で成立する。今回は練度の低さを露呈したが、この形が成立するなら、森保ジャパンはファーストセットの戦い方を踏襲しつつ、たとえば中島や堂安を招集できないとき、久保と原口をセットで起用するプランも考えられる。また、今までは控え扱いだった原口も、右サイドで久保が台頭し、中島以上の輝きを見せれば、左サイドでレギュラーポジションをつかむ可能性すら生まれてくる。

 久保の台頭により、今後、ファーストセットは掻き回され、様々な未来が見えてくるのではないか。それこそが、健全な競争だ。
 もちろん、サイドだけではない。コパ・アメリカのように久保をトップ下で起用すれば、大迫と南野以外のパターンもあり得る。大迫の抜群のポストプレーと、南野の鋭い飛び出しは、まさに水魚の交わりだが、そこに久保が割って入ると、どうなるか。

 大迫は少しボールを受けるプレーを制限されるかもしれない。しかし、久保がトップ下に入るなら、たとえば永井謙佑のような飛び出し型の1トップと、縦の関係を組むケースも考えられる。実際、大迫を欠く試合では、そんなプランも出てくるのではないか。

 ワクワクしないか?

 だって、久保が出てきたことで、森保ジャパンの可能性が、ぱあっと開けたのだから。まさしくキープレーヤー。なるほど、それならば、久保の招集にこだわった理由も理解できる。

 だいたいクラブの事情など、来月はライバルが怪我をして出場機会が来たとか、その次は重要な試合が控えているとか、シーズン全体を見れば、選手にとっての勝負所は何度も訪れる。そのたびにクラブ事情を出されたら、きりがない。代表チームの強化が成立しないのだ。そもそも気遣って招集外にしたところで、それが起因してクラブでレギュラーを確保できる保証など何もないのだから。

 だったら今、最適と思うチーム作りをする。そして初戦からの数試合で結果を残し、余裕や手応えが出てきたら、初めて一部の選手を招集外とし、休ませることも考えられる。

 そうした戦略的順序の原則に加えて、パラグアイ戦では久保の重要な起用法が見られた。改めて森保監督の招集判断は、支持に足るものになったと思う。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)
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