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海外サッカー

偉大なる記録樹立とスポンサー商品拒否…C・ロナウドにまつわる2つの話題を現地メディアが検証

THE DIGEST編集部

2021.06.18

 このような大きな話題を大会序盤で提供したC・ロナウドだが、一方でその行動が物議を醸してもいる。試合前日に行なわれた記者会見で、席に置かれたコカ・コーラのボトルを撤去し、一緒に置かれていた水入りのペットボトルを掲げて「アクア(水)」と声を上げたのだ。ストイックさで知られ、食生活にも細心の注意を払う彼は、炭酸飲料などに対して否定的な立場をとっていることは有名だが、大会スポンサーの商品に対しても「ノー」の姿勢を示したということだろう。

 これにより、コカ・コーラ社の株価が下落して時価総額が40億ドル(約4400億円)も下がったことが報じられ、大きな話題となったが、同社は「誰にも好きな飲み物がある」と声明を出すにとどめているという(英国公共放送『BBC』より)。

 15日にも、フランス代表のポール・ポグバが同じくスポンサーである『ハイネケン』のボトルを席上から足元に移したことが、飲酒が禁じられているイスラム教徒ゆえの行動と推測されているが、スペインのスポーツ紙『MARCA』がスポーツマーケティングの専門家などの意見を聞きながら、スポンサーの視点から、これらの行為について検証している。
 
 専門家たちによれば、2選手に対しては何らかの制裁措置がなされるべきだが、UEFAら大会運営側としてはC・ロナウドのような客を呼べる選手を出場停止にするのも難しい。そこで、あまり重くない処分を下せば、これに続く選手が次々に出てくる危険性があるという。そして、「選手は今や神となったが、それでもルールを守る必要がある」とし、大会に投資する者たちに対しての“約束”も果たさなければならないと主張する。

 専門家のひとりは、「彼らがやったことは間違っている。もし、私がコカ・コーラの人間だったら、間違いなく文句を言うだろう。選手が勝手にスポンサーを“削除”するようなことが許されるようになった場合、果たして次の大会に投資しようという企業がいるだろうか」と語っている。

 コカ・コーラ社の株価下落については、報じられているほど大きなダメージではなく、すぐに回復しており、逆にハイネケンの場合は上昇しているので、劇的な影響があるわけではないとのことだが、それでも選手の言動に影響力があるのは間違いないという。そして運営側は、いらぬトラブルを避けるためにも、選手とその選手が“嫌う”ブランドは一緒にしないことが得策だと指摘した。

 抜群の影響力を誇るビッグネームたちによる今回の一件は、現状に一石を投じるものとなるのか、あるいは自身の信念を押し付けるエゴイスティックな愚行として終わるのか。今大会のピッチ上のパフォーマンスとともに、見守っていきたいところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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