「メッシが4000万ユーロ稼ぐとしたら、それはクラブにとっては、8000万ユーロの支出を意味する。そんな中でどうすれば、彼らがUEFAのルールに合わせられるのかを理解するのは非常に難しい。現在アップグレードの中のパリSGが、どのようにFFPに調和していくのかを、我々は注目している。それにより、他のクラブも同じことができるよう期待している」

　バイエルンでは、監督のユリアン・ナーゲルスマンもパリSGに対しては批判的であり、「移籍の記事を見て、思わず驚いて自分の目をこすることがよくある。どのクラブも資金調達が容易でない中で、金に糸目をつけない補強を許可できる者がいることが、私には理解できない」と語っている（スペインのスポーツ紙『MARCA』より）。
  　クラブの収支のバランスを図る目的で2014年に施行したFFPについては、コロナ禍による緊急措置として現在はルールが緩和されているものの、クラブの収入が減少した一方で、支出が大幅に上昇することになるパリSGが、幾らこの先メッシ効果によって収入の回復が見込めるとはいえ、数年で赤字をなくすことは厳しいと見られており、ハイナー社長の言葉には幾らか皮肉も込められている。

　財政事情でバルサがメッシを放出し、この逸材を手に入れた金満クラブも今また、“帳尻合わせ”に苦労している状況……現在のサッカー界の様々な面が、ここに表われていると言えよう。

構成●THE DIGEST編集部